PCEデフレータ、米国債10年物金利、ドル円

PCEデフレータ、米国債10年物金利、ドル円

今夜米国の5月個人消費支出が発表され、予想通り株式市場が急激に動いている。

21:30 (米) 5月 個人所得 [前月比] 0.4%
(0.5%)
0.5% 0.5%
21:30 (米) 5月 個人消費支出(PCE) [前月比] 0.9%
(0.6%)
0.4% 0.2%
21:30 (米) 5月 個人消費支出(PCEデフレーター) [前年同月比] 6.3% 6.4% 6.3%
21:30 (米) 5月 個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く) [前月比] 0.3% 0.4% 0.3%
21:30 (米) 5月 個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く) [前年同月比] 4.9% 4.8% 4.7%

数値は左が4月実績(修正済)、中央が5月予想、右が5月実績となるわけで、まずは個人所得が前月比で0.5%と従来通りの伸びとなっている中で、PCEの数値が低下していることが重要なんだろうね。この基本的な意味は、消費が減速しているから、当然貯蓄率が若干増加してると見れるんじゃないかな。実際4月では4.4%まで急激に落ち込んだ貯蓄率は5.6%まで回復している。しかもPCE自体前月比で、3月1.4%、4月0.9%、5月0.2%と急激に落ち込んでいて、これはまさにFRBの思惑通りの推移かもね。

それを踏まえて、PCEデフレータ、PCEコア・デフレータを考えると、デフレータは名目/実質なので、個人消費においてはインフレはやや抑制気味でると言えるかもしれない。というかこの程度の減少というのは、消費者が少しでも安いものを購入しようとする消費行動で十分に説明が出来てしまうわけで、もちろんそうした防衛意識は自動的に働くだろうから、この0.1%をして、インフレはピークを打った!と大騒ぎしても仕方のない事なんだろうけどね。

それよりも見るべきは、4月PCIが8.3%(前年同月比)の中で4月PCEデフレータ(前年同月比)が6.3%であったことを踏まえると、5月PCI8.6%のなかで5月PCEデフレータ6.3%というのは、インフレがピーク!?とは限らないんじゃないの?

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消費が落ち込んできているなかで物価上昇した、と考えることも出来るわけで、これってスタグフレーション的な動きになってるってことかも。恐らくこうした数字を踏まえて、パウエル議長もたの連銀総裁達もコメントしているのだろうから、とにかくPCI8.6%ってのを何とかしないといけないわけで、そのために少し利上げをしたら、消費が急速に落ち込んでいるということに相当ビビってるはず。

企業としても、徐々に在庫が増えてる感覚じゃないかな。モノが売れなくなると作ったり、仕入れしたりする量を減らすわけだけど、そうした企業行動以上に消費が減るという悪循環が、6月のPCEで見られたら、その辺から急激にリセッションへと向かい始めるんだろうと思うけどね。

その時に、大きな足枷になるのが原油価格や住宅だろうけど。原油は$110なんていうのは限界を超えていて、車社会の米国ではどうにもならない手枷だし、高金利のなかで住宅が売れなくなると急激に市況が悪化するけれど投げ売りも出来ないみたいな足枷が・・・。そこに消費者のファイナンスがカードのリボ払いで悪化し始める。

と言うことはFRBとしては、7月に0.750pの利上げをすれば、かなりヤバいと覚悟してると思うよ。そこで効いてくるのがMBSの縮小で、急激に金融機関の動きが鈍る。というかパウエル議長が「非常に困難」という意味が分かるというものだね。

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さて、今夜の米国市場は、とりあえず目先インフレにピーク感が出た、ということでPCE警戒感から大幅に落ち込んでスタートした三市場も安心感から急激に戻してはいる。けれどもこの先の景気に対しては、相当にネガティブに考えているんじゃないかと思うよ。その証拠に米国債10年物金利が急速に低下し、ドル円も¥135.600近辺と一気に¥1、ドル安に振れた。これって期待インフレ率が低下したことを意味するし、米国景気の先行きに関してかなりネガティブな印象を持ってるということの証明かもね。

それはそうで、7月の利上げの影響を考えると、もしかしたら本当に悲惨なのはこれからじゃないか?って考えるのが自然だもの。

それでグローバルな状況を考えると欧州はあまりに厳しいし、米国経済にも大いに不安が残るとなれば、大企業の業績はたとえハイテクと言えども見通しの下方修正が出てきてるしね。いっそう7月から始まる決算相場が混乱するかも。ということで、7月相場は下手すると下方にサマーラリーなんてことになるんじゃないかな?状況を見る限り、7月相場も相当に荒れるね。

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余談だけど、日本市場が戻り相場っぽくなって、チャート解説して戻りは何処まで?みたいなことばかり言っていて、それに従ってポジションを建てた個人投資家も多いと思うんだよね。俺自身も魔が差して!?買持して痛い目見たけれど、とにかく今の状況は、テクニカルでどうこうするようなものじゃないと改めて反省したよ。

なんか昨今のYOUTUBEブームでテクニカルが株式投資の主流みたいになってる厭らしさね。そういうのは大いに危険というか、嵌るんだよなぁ・・・。俺がいつも心がげようとしていることは、つまりは師匠の言っていた、「チャートのどの時点でも上か下かは1/2なんだ」という意味だよね。もちろんある程度はチャートで予想しないと仕方ないけれども、「チャートで成功すれば苦労はしませんよ」なんて言って笑ってたけどね。

やはり最も重要なのは、大口のセンチメントだと俺も思う。個人投資家のセンチメントはあまり当てにはならないんだよね。だいたい嵌め込まれてる場合が多いから。そういう意味ではまだまだ、ワンナイトギャンブルは通用するな、と思ってる。俺の場合睡眠時間を削れば削るほど、勝つ可能性が上がるんだよなぁ・・・(苦笑)。

もちろん、今夜の米国市場を見ても、すでにポジションが固まってるので何も出来ないけれど、明日の日本市場への流れ、そして明日の晩の米国市場への流れを自分なりに見ておかないと、とても怖くてポジション建てられない。なのでポジションの浅い日は、だいたい迷ってて流れが掴めていない時です。