11月FOMCと株式市場:センチメントは弱気に!?

11月FOMCと株式市場:センチメントは弱気に!?

投資において決めつけることが如何に危険なことなのか。昨夜のFOMCは投資家に対してそう警告したように感じたよね。特に短期で利食いを狙うような(俺のような)投資馬鹿にとっては、毎日が本当に勝負になって、この戦いを6勝4敗で切り抜けるためには、直前まで気が抜けないし、迷うし、腹も座らないし・・・。そうやって6勝4敗のペースを維持できる限りは勝っていける。そういう意味では今回のFOMCほど、迷いに迷ったことはなかった。

ウォール街の買い決め

とにかく先週から今週にかけては、FRBはこれ以上今のペースで利上げは出来ず、12月0.500p、2月0.250pで打ち止めなのでは?というウォール街の誘導に惑わされて、決算前と言うこともあって、買い転換しようか、とほとんど決めていた。けれども週末いろいろ調べてみると、やはり決めつけない方がいいかな、と思うようになった。そして日本企業の決算を見てゆくと、どれもこれも為替差益ばかりのつまらない決算だったしね。それはこれだけ円安になったら爆益になる。それでも爆益にならない決算はクズ決算だな、と。

それでいろいろポジションを建てていくうちに、ウォール街は本当に決めつけてるんだな、と感じるようになった。第一米国ダウの急騰は金融系の好決算を反映したものでもあったし、キャタピラーやハネウエルとかの公共事業系の好決算で強気になったという部分もあったのも事実。バイデン政権が愚かだから、7ー9月期のGDPを財政支出によって持ち上げて大幅プラスにしてしまったことも効いたし、新型コロナ明けで米国人が旅行、外食・エンタメに殺到したお陰でマック、ボーイング、ディズニーの業績は回復したんだよね。

なので決算を見て、利上げしても米国企業は十分吸収できると確信を持ったのかもしれないし、少なくともソフトランディングは可能と決め打って買い進んだのだと思う。ウォール街って強気の権化のような投資家ばかりだからね。

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米国のインフレを再考してみる

でも肝心のGAFAMは全滅だったし、テック系で例外だったのはIBMくらいのもの。まずはFRBの利上げで住宅業界は完全に死に絶えるよ。10%近い金利なんて払えるわけがない!それに伴って関連材の消費も悪化するしね。となると、ますます賃貸の需要が持ち上がってしまって、CPIでいうところのシェルター(賃料)なんか下がるはずがない。

おまけにいまのドル高は、米国のインフレを完全に抑え込む役割を果たしていて、それが米国経済の楔のようになってるから、8%台で済んでいる。とにかく輸入物価が上昇しないわけだからね。生活必需品はみんな輸入なわけで、それらの物価がドル高で持ちこたえてる。けれど、もしもFRBが、金融政策を緩めると宣言してしまったら、途端にドル高の巻き返しが起こってその結果輸入物価は一斉に跳ね上がっちゃうのは必至だよ。

ってことは、今の米国は(インフレを抑え込んでいるのは)マジで「ドル高頼み」ということになるからね。それが証拠に、昨夜予想通りの0.750p利上げが発表された瞬間にドル円は¥145.68まで円高になった。とういうことは、パウエル議長の会見でウォール街の思惑通りの内容になったら、ドカンと来たんじゃないかな。そうなれば、米国のインフレ退治もアウトだった可能性が高いよ。

こんな一連の流れを考えたとき、やはり米国ダウの急激な戻りは所謂「ブルトラップ」の範疇を出ることはないかも、と思うようになった。しかもNASDAQなんか、ブルトラップの兆候さえもなかったしね。

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愚かすぎるバイデン政権のために?

そもそも、米国のインフレをここまで引っ張ってるのは、明らかにバイデン政権の政策そのものなんだよね。まず、ロシアのウクライナ侵攻が始まる前から、OPECは原油価格が$80になるまで形だけの僅かな増産にしか応じていなかった。世界がコロナ禍から急激に回復するプラセスで、イラン核合意を主導してサウジを敵に回してた。それが、米国が増産要請してもOPECが応じなかった理由です。

仕方ないので米国は戦略備蓄の放出でWTIを調整せざるを得なくなって、その結果原油価格が不安定になってしまったんだよね。現時点でWTIは$89台になっていて、ここから需要期に向かわざるを得ない。これってバイデン外交の明らかな失敗だよ。そんな時、サウジとイランがまた揉めだしてしまって・・・。

そして約60兆円規模のインフラ投資の真っ最中で、中間選挙を前にして3期連続のGDPマイナスが嫌で、急激に公共事業予算を執行して、その結果キャタピラーやハネウエル、それに小松や日立建機、信越化学までが爆裂決算になったわけだよ。

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米国で消費がなかなか落ちないのは、学生ローンや奨学金の最高2万ドルの返済免除という政策にもある。これの予算は46兆円にもなるわけで、これがそのまま、消費に向かってしまった。

そうした数々のばら撒き政策によって、なんと米国債の流動性が怪しくなってきてるという、非常に危険な状況にあるんだよね。最近、イエレン財務長官ってちょっとダメな人なんじゃないかって思い出したのは、こうした政策を続けることで米国の雇用はなかなか悪化しないということを、肯定してるから。英国でも、日本でも、財政と金融が背反的なことをやってるけれど、本家の米国が最も酷いんだよね。

それで一番苦しんでるのはFRBだってこと。第一0.750pを4連発もかましてインフレが下がらないって、普通は何か特殊要因でもない限りあり得ないからね。今回のパウエル議長の発言は納得できるよ。結局政権は、金融緩和時代のままなんだよね。日英米みな、政治家が金融緩和ボケにかかってて、それをしないと政権を維持できないと思っちゃってる能無しばかりなんだよ。

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FOMCを裏付ける雇用統計・CPI?

今回のFOMCでの言い回しは、要するに「金融引き締めは決め打たない」という事。そろそろ利上げを考える必要があると発言したブレイナード副議長や他の連銀総裁の発言こそが、観測気球だったってこと。利上げを緩めるとなったら株式市場はにわかに買いに殺到することが分かった。

その結果、今金融政策を緩めると、途端にドルの巻き戻しが起こり、株は急騰してしまって、インフレ抑制どころの話ではなくなってしまうとFRBは考えたんだろうね。そして全く減らない雇用も頭痛の種で、バイデン政権とイエレン財務長官が雇用を重視してるなかで、雇用を減らすには緩い景気後退ではだめだと考えてるに違いないよ。

その意味では求人件数が予想外に増加したことを加味すると、週末の雇用統計はしっかりした数字が出てくると思う。はっきり言ってそうなってしまったら、FRBの利上げが緩むどころの話ではなくなっちゃうよね。

また来週のCPIも悪化しないんじゃないかな?もしも10月のCPIが悪化しているのならば、企業はもっと弱気な決算を出してきたと思う。仮にCPIが7%後半になってもそれはドル高の影響なんだと思うしね。原油は9月とほぼイーブン。家賃は高止まり。なのでドル高の分だけはCPIは下がるかと思いきや、10月はジワジワと生活必需品も上昇してる・・・。まともに下がったのは中古車価格位のものだからね。

なので結局今回のFOMCのパウエル発言を裏付ける結果になるかもしれない、と思ってるんだよね。ターミナルレートは本当にニックが言うように6%に近づかないとインフレ抑制は無理なのかもしれないね。

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センチメントは弱気に!?

少なくとも自分自身のセンチメントは、とても強気ではいられなくなったよ。気分的には売りポイントを探るような、従来のスタンスに戻った気がする。昨日のニック・ティミラスの書き込みで、それを信じてポジション建てをしたわけだが、まじで今回のFOMCに関してもドンピシャだった。

また「材料出尽くしで下げた」という意見もあるようだけど、これがブルトラップの頂点になったとも考えられるわけで、確かに短期筋は材料出尽くしで売ったのかもしてないけれど、ウォール街の底当てゲームでロングで入った投資家も少なくないと思うんだよね。

けれども結局は、今後は業績相場、景気懸念相場に回帰するんだな、と感じた次第。

明日は朝寄りくらいしか動けないから雇用統計は勝負かもしれないなぁ。