胆嚢摘出顛末記

胆嚢摘出顛末記

9月1日から心機一転で9月相場、と意気込んでいたものの、夕方くらいにはいよいよ発熱が38度を超える状態になり、猛暑の中毛布を体に巻きながらブログを書き終えたのはいいけれど、どうにも起きているのが辛くなってしまってベッドに直行・・・。

何やら発熱と同時にドレナージしていた胆嚢周辺の違和感も、我慢できない状況になってきた。それでも、1日は早々に寝てしまって、結構塚い眠りにつくことができたせいか、何とか朝までベッドの中で我慢できた感じだった。

しかし、そもそも3日に入院して4日に手術という日程が決まっていたこともあって、2日に異変の連絡をするのも気が引けたけれど、ただ事ではない気がして、ザラ場開始と同時刻に病院へ連絡。移動手段があれば至急来院してくださいという返事をもらい、自力で外来まで運転して出向いた。

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受付を済ませると即、血液と尿検査、そしてレントゲンと検査をこなして主治医の診断を受けたわけだが、結果は「即、入院してください」ということに。いわゆる緊急入院で、翌3日は血液検査の結果肝臓の機能障害が出始めていて、「おそらく胆管(肝臓から出ている本線)内が目詰まりを起こしている」という診断で内科的治療(胃カメラを使い十二指腸まで到達させた後、十二指腸側から胆管にプラスチック・ステントを挿入し流動を確保するという離れ業)を行った。

十二指腸から逆方向にステントを挿入するという極めて難易度の高い内科治療(もはや外科手術と同じ?)らしく、たまたまこの分野では日本トップクラスの技術のある内科医が在籍していて助かった次第。

これによって肝臓の状態がかなり落ち着いたことを(血液検査で)確認して翌4日に朝一番手で外科手術となった。

そもそも、こうなった要因は約2カ月半の間、維持管理してきたドレナージのドレーンが胆嚢を突き抜け、(雑菌で)感染した胆液が漏れていて、それが体内で炎症を起こしているという、最も危惧された事態に陥ってしまったということ。胆嚢内に刺したドレーンの先は返りが付いているのだが、引き抜き脱落ばかりを気にしていたら、突き抜けるとは・・・。

しかも胆嚢から雑菌感染した胆汁が(ドレナージされないために)肝臓から出る胆管の本線に流れ込んでしまって、目詰まりを起こし肝機能が危険な状況に追い込まれているとは・・・。

事例としては結構あるらしく、そもそも横隔膜の上下動などで(胆嚢自体が)胎動しているので胆嚢壁が腐ってくると起こりうるという・・・。

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それにしても胆嚢摘出手術の安全を確保するためにドレナージして炎症を抑えた形で手術するのが目的であったのに、これでは本末転倒ということでもう待てる状態ではないという判断。いわゆる緊急手術ってことですか・・・。

術式は「腹腔鏡による胆嚢・胆石全摘出」ということで、「もしもの時は開腹しますので同意してください」ということで4日9時から手術開始。

ところが開始早々、思わぬ障害にぶち当たることに・・・。子供のころ(45年前)に盲腸摘出手術をしたことが原因で、盲腸があったあたりから胆嚢まで著しい癒着が発覚。これが時間を経ていてかなり厳しく開始早々胆嚢摘出どころではない騒ぎになって「いったいこの人は何をした!?」と術場は騒然となったそうな。

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このような事態になって通常は1時間そこそこで済むはずの「腹腔鏡胆嚢・胆石全摘出」は癒着剥離だけで2時間近くかかったらしく、さらに炎症が悪化した状態での腹腔鏡による摘出も極めて難しいという状況で、都合3時間半にも及ぶ異例の腹腔鏡手術となってしまった。そして術後を考慮して開腹せずにこの難手術を最後まで腹腔鏡でやり遂げてくれた素晴らしい主治医とそのチームに、本当に感謝するしかありませんでした。

いやいや何がラッキーと言って、これ以上のラッキーはあり得ない感じですよ。

死地を彷徨うといえば大げさかもしれないけれど、でも今回は十分にそれに匹敵する事態だったと思ってます。元来、肝臓、胆嚢領域の手術は甘く見ているととんでもないことになる・・・、血管回りや胆管回りは通常(開腹)手術でも、合併症の危険が高い難しい領域だといわれているわけですから。実際ドクターにとっては難易度が高いと聞きました。

この記事を書いているのが8日なので、腹腔鏡でやり遂げてくれたおかげで、術後4日目にして退院の上、社会生活に復帰できた次第です。

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