新型コロナで思考停止に陥った米国社会 後篇

新型コロナで思考停止に陥った米国社会 後篇

今回の大統領選挙では、不自然な開票状況に発端としてトランプ陣営による不正指摘が多発している。投票に先立ってトランプ大統領は、過去に不正が横行している郵便投票の中止を訴えていた。しかし、民主主義の橋頭保ともいえる米国の、それも大統領選挙での事前の不正主張は取り合われなかった。

今回は新型コロナ感染拡大中の選挙という特殊性から、各州の司法当局、選挙管理委員会は投票方法の多様化に極めて寛容だったのだ。

だが、その結果、現実に不正が横行しているらしく、また事務手続き上の管理不足も露呈し、トランプ陣営は開票の最終結果を待たず提訴を開始した。この問題は決して軽んじられてはいけない民主主義の根幹の問題である。

世界がバイデン大統領誕生に震える

国中の反トランプ派を動員して展開された今回の大統領選挙だが、特にメディアはほぼすべてが反トランプ側に回り、トランプバッシングを展開した。現代においてメディアの影響力は決して少なくないし、現在発言しているような得票差を演出することは十分に可能だろう。それは事前の支持率調査からも十分に分かることなのだ。

さらに民主党は新型コロナ感染流行を十分に利用した。下院議長のペロシは緊急性が問われたトランプ政権の追加新型コロナ対策に対し、政権が合意不可能な巨額予算を要求し、バイデンの方が景気が良くなるということを演出し、それにウォール街が相乗りしたのだ。

しかも、ウォール街は今回の選挙が拗れることを織り込み始めた。大統領選挙のカオスが少なくとも年内継続であり、また上院でねじれが継続するとバイデンの政策は行き詰まると見ているために、現状に変化がないと読んだ。その結果、株式市場はバブルに踊っている。

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ほくそ笑むのは中国のみ

しかし、バイデンが新大統領になれば、それを最も歓迎するのは明らかに中国だ。バイデンの政策は外交に関しては全くポリシーがない。特に対中関係においては、長年中国から巨額な資金援助を受けている民主党の大統領が、対中政策で強硬な姿勢を取れるはずがない。

米国議会は上下院ともに対中強硬政策を主張しているといわれるが、大統領が親和政策を打ち出せば、強硬法案も大統領署名なしでは志向されないのが米国の制度なのだ。

加えて経済はともかく、中国の領土拡張主義をオバマ政権時代に8年間も容認したバイデンが、阻止できるはずがない。中国は現在の大統領選の経緯を、ほくそ笑みながら眺めているに違いない。

香港、台湾、そして日本

バイデンは民主党の政策実行のために、軍事予算を大幅に削減する可能性がある。また中国の香港支配、台湾への実力行使、そして南沙諸島での海洋占領と軍事拡大、さらには日本の尖閣諸島の占領を容認する可能性が大いに高まる。

中国は実力で香港支配を強化した結果、米国での中国企業の資金調達を阻止された場合でも香港、上海市場で十分に補完できると考えている。そして明らかにそこは自由主義市場ではないことが、アリババ傘下のアントによる史上最大の上場劇を、理由もなく緊急で却下したことだ。アリババの創業者で共産党員のジャック・マーによる共産党批判発言をその理由と後付けしたのだ。中国支配が広がれば、資本主義もまた大いに脅かされるだろう。

また台湾は香港同様に一国二制度を主張して、台湾の独立主権を一貫して否定しているが、トランプ政権は東アジアの安全保障の観点から、日本、台湾、米国、インドを重視し中国をけん制している。バイデンはその政策を無視するだろう。そして日米安保でさえ、オバマ時代と同様に軽んじる方向へと舵を切るはずだ。

そうなれば中国の海洋進出は、決定的になる。軍事バランスは崩れ、習近平がオバマ大統領に提案したハワイをボーダーとする太平洋分割統治へまい進することになる。残念だが現時点で菅政権がそのことを意識していると思えないし、日本企業の経済的メリットを重視するかもしれない。明らかにそれが日本の国益を蹂躙するものと位置付ける戦略は持っていない。

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中東は混乱に引き戻される

あろうことかバイデンは、外交においてはオバマ時代のトレースをするだろう。すなわち、軍事予算を削減し核保有を減らす、中東ではイラン核合意に復帰する、アフガニスタンやイラクからは撤収して中東をもとの軍事的混乱地域に引き戻す。

トランプ大統領はその言動から、批判されることが多く評価されることが少ないが、長期間にわたって軍事的混乱を繰り返す中東に和平をもたらす可能性のあった唯一の大統領だ。近年、テロ支援で中東を支配しようとしていたイランを核合意離脱で排除することで、今、中東はイスラエルとの関係改善の方向で大きく動き出している。

それを修復不可能なレベルに引き戻すのがバイデンと民主党であることは疑いの余地はない。

好き嫌いはあるものの、トランプ大統領は明らかに世界で最も平和に貢献した大統領であるとともに、再選されたならノーベル平和賞は確実である。あの中東を和平に導くとなれば、これ以上の功績は思い当たらない。

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論理と合理的判断を欠いたバイデン政策

大統領選挙で勝つためには、国民の共感が得られる政策をブチ上げる必要があるという理屈は分かるのだが、その政策が論理的な根拠があり、また合理的な判断に基づく目標であることが最低限必要なのは言うまでもない。その点ではトランプ大統領の3年半は、極めて公約の順守率が高いことを、メディアは報道すべきだと思う。

一見乱暴な言い回しで本質が見えにくい部分もあるが、ほとんどの政策は実効性があるものであったことは、否定のしようがない。「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」は単なるスローガンではなくて完全に政策目標であったし、雇用は増大し経済は順調で、なおかつ安全保障においては数々の実績を上げつつあったのは厳然たる事実である。

それに比較してバイデンの政策公約は、すべてにおいて抽象的な理想論であり、明確な論理的根拠を示したものは何一つない。新型コロナ対策に失敗した、人権を守り差別をなくせ、グリーンニューディール、バイデンケアで国民皆保険、等々耳障りだけを狙った実現性のないものを羅列したに過ぎない。

警察予算削減

全米でブラック・リブズ・マターという人種差別批判運動が荒れ狂い、アンティファに先導された暴動などが多発した。それに対しバイデンは、警察予算を削減し、警察組織を縮小すると公言し、シアトルで起こったリベラル派による武力での市街地占拠に対しては言及さえしなかった。同地域では警察さえも民主党系の州知事命令で介入を阻止されたのだ。

確かに米国では白人警官による黒人への過剰な取り締まりや、殺人にまで発展する例が少なくない。しかし、それは米国が銃社会、麻薬社会であることに根本原因があることはあきらかなのだ。取り締まる側も容疑者が銃を使うかもしれず、また麻薬で精神異常状態にある可能性は非常に高い中で、命がけで取り締まらざるを得ない。

人権や人種差別以前に、そうした常に命がけの状況に晒されていること自体が度重なる事故の原因であるわけだ。

しかるにバイデンは、警察はけしからん、として警察自体を縮小するという解決法を提案した。今年、全米では個人の銃所持率が跳ね上がり、前年比3倍以上銃が販売された。今、個人の登録銃だけでも6憶丁を超えると言われている。そうした中で犯罪を取り締まることが如何にハイリスクを伴うのか、全く理解していないボケ老人と言われても仕方ないだろう。

そんな状況で警察予算を削減すれば、米国社会は犯罪の温床と化すだろう。

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全移民の合法化と国境管理停止

現時点で米国に滞在する不法入国者数は約1100万人といわれていて、バイデンはそのすべてに対し米国在住資格を付与すると公約した。また、今後米国に不法入国することも、国境の厳格な管理を停止し、実質的には容認する姿勢を見せている。

片やトランプ大統領は米国社会へ持ち込まれるドラッグに関して厳しく追及する姿勢を示している。マイノリティに対し、就業率を増やすことでドラッグを扱うなと警告したのだ。

不法移民は、不法入国を助ける組織に高額な費用を支払わねばならない。そして所持金のないものは、ドラッグを持ち込み米国内の販売元に届ける、そして米国社会でドラッグを販売することでその費用を弁済する必要がある。また、上手く職にありつけない場合、継続的にドラッグを扱わなければならず、このことがメキシコや南米からの大量のドラッグ流入を助けている。

トランプ大統領は歴代の大統領として初めて、この問題に真正面から向き合い、国境に壁を作り、厳格な国境管理を開始した。不法移民は管理上、親と小さな子供を引き離さねばならないが、バイデンはそのことを人権無視とあからさまに非難した。

しかし移民の親子別管理はオバマ時代に始まったことであり、収容施設もオバマ時代に建設されたものだ。オバマ政権下の政策には目をつぶり、ひたすらにトランプ批判を繰り返したバイデンこそ、あからさまな偽善者と言わねばならない。

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米国社会の崩壊

副大統領候補カマラ・ハリスとバイデン AFPより

「米国社会が完全に分断される」と評論家は言うけれど、そういう意味不明の発言をされると、現実を分かってるのか?と思わず反発したくなる。かく言う自分も偉そうなことは言えないけれど、米国社会はずっと分断されたままで今日に至っていると考えるべきじゃないか、と思う。

かつて日本で小沢一郎は、民主党政権を誕生させる以前に、2大政党制の意義を説いていた。政権はシャドーキャビネットの存在で緊張感が生まれる、という理屈である。米国はずっと2大政党制を続けてきたけれども、逆を言えば共和党と民主党以外に、政党が育つ、つまり政治的マイノリティの意見を集約するための政党の育つ余地が完全になくなってしまっている。

それでいて、現代はダイバーシティ(多様化)の時代であるといわれる。そして2大政党制である米国では、保守系の意見を共和党に、多様性を持ったリベラル系の意見を民主党に集約してしまう。そして選挙制度は基本的に2大政党制しか前提にしていないと言える。

それは裏を返すと国家を分断することに等しいと思うし、かつて南北戦争が分断の象徴的出来事であったように、絶えず2大政党が国家の主導権を争ってきた歴史は、常に米国社会を分断することで争点を見出し、その解決を民主主義という多数決にゆだねてきた。

なので、米国社会の政治的、思想的分断を憂慮するよりも、今回の大統領選挙は、民主主義の正当な解決方法が機能しなくなるような、たとえて言えば誰も喧嘩を仲裁することができなくなるような危険性を露呈したということかもしれない。

選挙という政治イベントを重視するのであれば、少なくともメディアは節度を持つべきだと思うし、台頭したネットにおいてプラットフォーマーの節度を追求しなければならないはず・・・。国民に対して公平な情報を供与する手段をしっかりと確保できないならば、社会が迷走してしまうのはむしろ当然で、それが現実をなって非常にわかりやすい形で展開されてしまったのが、今回の大統領選挙である。

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米国は麻薬の巨大市場になる

この選挙期間中にオレゴン州では、住民投票によって少量のハードドラッグ(ヘロイン、コカイン、覚せい剤等)の所持、および使用に関し、非合法としない決議がなされた。すでにマリファナは合法化されているので、少なくともオレゴン州は、巨大消費地であるカリフォルニア州やワシントン州に隣接する麻薬拠点になることは避けられない状況になった。

またこの選挙期間中に、ニュージャージー、モンタナ、サウスダコタ、アリゾナの4州で嗜好用大麻が合法化され、これで全米の15州で大麻が合法化されたことになる。そして間もなくニューヨークでもクオモ知事の肝入りで合法化へと議論が高まっている。

こうした動きは、米国社会でドラッグの取り締まりが出来ていないとう事情もあるが、合法化することで税収の拡大を狙うという本音が見える。

少なくともトランプ大統領は米国社会のドラッグ漬けに警告を発し、反対の立場を政策を行ってきたわけだが、民主党系の州はことごとく合法化を推し進めた。つまり、バイデンの不法入国に対する合法化政策、国境管理政策とこの動きが連動すれば、米国社会は驚くほどのスピードで麻薬社会に変貌するかもしれない。

そこに6憶丁の銃が蔓延しているのだ。

4年しかやらないと予防線を張るバイデン

バイデンは仮に当選したとして大統領職を1期のみと公言している。現在77歳のバイデンは1期で81歳の最高齢大統領になることは自覚しているのか、副大統領に極左思想を持つといわれるカマラ・ハリスを指名している。

バイデンは選挙での政策公約に関し、自らが就任中に実現可能なものを提示することなく、実現に時間と費用を擁するものばかりを主張している。そして自分の健康に万一のことがあれば、後は極左のハリスに託すという姿勢である。

つまり、バイデンの選挙公約は、新型コロナ対策以外にどれも実現性は極めて乏しいだけでなく、崩壊に危機にあえぐ米国社会を極左大統領に託すという可能性を堂々と主張しているのだ。

大統領選挙を通じてそうしたことを、米国は大手メディア、大手SNS等すべてを上げてのメジャー報道機関で完全に隠蔽した。米国民はその可能性さえ、知らされなかったのだ。

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バイデン当選の瞬間に世界はカオスへと突き進む

今日の時点ではわずかながら開票は進んでいるものの、バイデンの当選という報道はない。またトランプ陣営は全力を挙げて今回の郵便投票における不正を各州の地方裁に提訴し、防戦を開始していることも要因かもしれないが、トランプ敗北の報道もないままだ。

不思議なことに現時点で最もトランプ敗北を明確に示唆するのは、保守系と称されたFOXであって、CNNでさえまだ未確定の態度を崩していない。

しかし時間とともに間もなく、開票結果は出るだろう。その時数字の上ではバイデンが270以上を獲得するはずで、そうなると勝利宣言をするだろう。バイデンはここ数日何度も会見を開き、勝利宣言をしたくてウズウズしている。

その理由の一端として、トランプ政権下で進められた民主党に対する司法捜査がある。中国から不正な献金を受け取りマネロンしたクリントン財団への容疑、そしてバイデンに対する、中国、ウクライナ、ロシアからの資金供与疑惑の追及は、自身が大統領にならぬ限り差し止めることはできないという事情だ。

トランプ大統領はヒラリークリントンを2016年のTV討論で「一生刑務所で過ごすことになる」と言い放った。今回のTV討論でもバイデンに向け、同様の警告を発していたが、バイデンは完全否定した。その直後にハンター・バイデンのスキャンダルが出始めたが、バイデンはあいまいな発言に終始した。

そしてそのころから大手メディアのトランプ大統領攻撃は一層激しくなっている。

もしも、バイデンが米国の大統領に就任したら、米国史上初の「不正選挙による大統領」という烙印が押されかねない。現時点でさえ、そうした不正投票の事実はたとえ選挙結果に影響しないとしても、今回の大統領選挙の最大の汚点となるのは明白だろう。

ここまでくると、バイデン、トランプのどちらが大統領に?という事よりも、今回の大統領選挙そのものが、米国社会を深い闇の中に追い込むことになるかもしれない。そして、バイデンが大統領となれば、世界はこの老人によって、カオスの中へ突き進むことになるだろう。

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