株式市場の岐路は日本社会の岐路
- 2020.11.21
- 放言
昨夜の日経平均は恐ろしく強かった。ファイザーが新型コロナワクチンの緊急使用許可をFDA(アメリカ食品医薬品局)に申請したと伝わると、ジワジワ上昇。恐らくこの状況では数日で認可されると思うし、そうなれば準備ができ次第、投与開始となるわけで、トランプ大統領の発言が実現することになる。
しかしなぜか、米国市場は反応せず、大引けにかけて値を垂らした一方で、日経平均CFDは¥188高と反発して週末を終えた。
さて、日本では、いよいよ新型コロナ感染拡大が止まらなくなってきてる。昨日・今日といわゆる専門家と言われる人がTV出演して様々なコメントをしているけれど、概ね地上波に出演するような人は、GoToを真っ向から否定する人はいない。なので、何を言っても全く心に響くことはない。「密を避け手洗い・マスクを必ず云々」その繰り返し。
何を言っても、GoToやってる以上、政府が感染拡大を奨励しているようなもので、黒岩神奈川県知事などは、食事中もマスクをしろ!と言っていた。マスクして、飲食するときだけ外し、また付ける。静かに会話は控えめに会食だって。
頭おかしいんじゃないか?
これから冬に向かって、コロナウイルス自体も低温・乾燥で活性化してくるわけで、社会生活を通常にやってても感染しやすいのに、GoToでお得です、とやったらそりゃあっという間に広まるに決まってる。イギリスやフランスなんかそのパターンなのだから、予測は容易だったはず。
むしろ欧州の方が1か月ほど早かったわけで、タイムラグがあったのだからそんなに感染拡大が嫌ならGoToはちょっと止めますとすればよかったのにね。トラベル、イート、商店街、と煽りまくってあとはイベントとかも準備されてるようだけど。
その結果何が起こったかと言えば、日本経済は完全にデフレ直行してしまったということ。結局GoToの本質は安売りなわけで、安いから殺到しているだけの話だからね。こんなことをしたところで、ミクロでは助かる事業者もいるかもしれないけれど、マクロでは自分の首を絞めているだけだと思う。
これで、ワクチンが普及してくると、新型コロナは結局季節性インフルエンザと同様の扱いになるだろうし、そうなったら経済は元に戻るというのは明らかな誤りだ。多分、いや確実にGoToの反動が出て、消費は低水準のままだろうね。さりとて通常価格に戻ってしまうわけだから、むしろ消費は減ってしまうだろう。
というわけで、結局のところ、こうした政策による景気刺激というのは上手く行かないんだよ。それをしないように、なんとか事業を持ちこたえさせる方法を講じるというのが正しいし、そのために赤字国債を発行して資金を調達するのは悪いことじゃない。あくまでも、苦しいけれど民間に努力してもらう、創意工夫をしてもらう、というスタンスでないと、経済は活性化できないと思う。
かれこれ20年前くらいからシャッター商店街が問題になっていて、等々歯止めもかからず対策もできなかった。従来の町のビジネスモデルが転換期になってしまって、そこから新しいビジネスの形がなかなか出てこなかったんだよ。けれども商店街という発想がそもそも地方では無理筋だったんだよね。自動車社会だから当然ダメダメ。なので、形が変化しなければ通用しないわけで、それは米国だって同じだよ。米国なんかはゴーストタウンのようになってるけどね。
で、現状を打破できないビジネスは滅びるのよ。そんなことは、淘汰されることを嫌がっていたら資本主義は成り立たない。商売がダメならやめるしかない。その決断ができない事業主は、借金まみれになっちゃって、家族や子供まで巻き込んで本当に不幸になるからね。
新型コロナで倒産件数はむしろ減ってるらしいけど、中小企業が優遇措置を受けるのは、いいとしても追加融資、無担保融資とか言って借りまくってビジネスを維持しているとすれば、将来の悲劇を増幅しているようなものだ。今、レクサスとかベンツとか乗って羽振りがよさそうな社長さんの9割以上が借金漬けだからね。借金して贅沢をするという形式が新型コロナで助長されてるよ。
けれども、将来はもう見えてるからね。不動産担保はダメ、無担保はもっとダメ、短期資金融資は地獄だしね。見栄を張らずに見直すことを考えないと、本当に地獄を見るよ。
というわけで、新型コロナの流行は、社会の在り方を変えるんだろうと思うし、変わらなければ社会はただ没落するだけだよね。何事も先の先を読む。株式市場もこれからバブルになるけど、中身はない。ないものははじけてしまい、悲惨な結果が待っているだろう。
だから、グロース株からバリュー株に矛先が変わってるんだろうね。けれどもここから大化けするグロース株が出ると思う。新しいビジネスを作れた会社が大化けする時代でもあるからね。
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