全ては2021年1月6日の上下院合同会議の結果次第

全ては2021年1月6日の上下院合同会議の結果次第

現在トランプ大統領はホワイトハウスを後にしてフロリダの別荘で過ごしている。大統領選挙の混沌でさぞかし疲れたろうと思うが、74歳にしてその精力的な行動は本当に凄いとしか言いようがない。大統領の執務をこなしながら全米を飛び回り演説に明け暮れ、また新型コロナに羅漢しながらも短時間で回復、さらに選挙後のこの日替わりメニューのような状況の変化に対応し、対中強硬策を次々に打ち出す。

全米中の主要メディアやウォール街、民主党支持者のバッシングと情報封鎖に耐えながら、強硬手段に訴えることなく選挙不正を指摘し、自分は勝者だと言い切る精神力と体力に驚嘆させられる。なかでももっとも厳しいのは、自分が信頼していた人間に次々に裏切られることだろう。

私自身の経験からも、裏切りは何よりも堪えるはずだ。

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さてこの選挙の混乱を通じてトランプ大統領の主張に賛同し行動すると見られていた裏切り者として、何と陣営の弁護士リン・ウッド氏が名指しで指摘した中に副大統領のマイク・ペンス氏が登場し、トランプ支持者は騒然となっている。

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リン・ウッド弁護士は昨年死亡した例の変態富豪であるジェフリー・エプスタインのプライベートアイランドを訪れた有名人たちの名簿を入手している。今までは、ペンス副大統領の名前は公表されていなかったが、23日に上院議長として選挙人投票結果を受け取ったときに、その承認を拒否しなかったということで「裏切り者」のレッテルを貼ったのだろう。

しかしトランプ大統領とペンス副大統領は同日ホワイトハウスで協議していて、副大統領の役割は形式的なもので、選挙人団の投票結果を一方的に拒否することはできないとペンス副大統領は説明したらしい。これは、いずれにしても各州の議会が決定した選挙人を議長には拒否する権限はない、ということでそうした事例は前例がないという主張だろう。

可能性としては考えられるが、逸脱した判断をしたくないということだ。実際、当事者でもある副大統領が議長という立場を利用して自身に有利な決定はできないだろうし、あくまでも上下院議員の1名以上が異議を唱えた場合議長として上下院のそれぞれで再協議を行うというのがルールである。

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このリン・ウッド弁護士は、トランプ派にとっては英雄扱いされているが、どうも手段が行き過ぎてると思う。この名簿を盾にして手当たり次第に関係者をSNSで糾弾するという手法は、弁護士としていかがなものか?ということ。こうしたことは、かえってトランプ陣営を乱すだけなのでは?と思う。

1月6日の選挙人投票の結果証人が終わり、以降結果が覆らなければ、憲法上に規定されている唯一の日程である1月20日の宣誓就任式まではペンス氏の出番はない。したがって6日にすべてが決まるということになる。

ただし、候補者自身が辞退すれば別だが・・・。

実際今回の選挙では、投票から現在にいたるまで様々な不正の証拠が明らかになった。ウィスコンシン州では第7巡回区控訴裁判所が郵便投票の無効を認める判決を遂に出したが、議会の決定を覆す権限は司法にはないとして選挙人の再選定を命令することはできないとした。

今回の投票に不正があったというトランプ大統領の主張は大方認められつつあるものの、司法は政治介入を敬遠し判断そのものを拒否するか、または証拠不十分と主張して棄却している。総じて司法には権限がないという主張を繰り返すばかりである。

ここがある意味民主主義を重視するという米国の立場の尊重であると言えなくもない。とにかく選挙で選ばれた議会の力は日本の感覚よりもはるかに強力であり、それは連邦でも同様なのだということかもしれない。

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これは見方を変えれば米国大統領選挙の欠点が、今回の選挙で如実に現れたということ。不正をしても何をしても議会が選挙人を認定してしまえば、それを覆す権限は議会にしかないということ。そもそも、勝った州で選挙人を総取りするということは、州単位ではほぼ独裁国家のような状況になるという意味でもある。今回のように得票が拮抗すればするほどに、半数の民意は踏みにじられるわけで、これが米国分断の最大の原因なのだと思う。

各州で得票に応じた選挙人を振り分けたら(2つの州は実際そうしている)、結果はどうあれ少なくとも物理的な投票不正以外の現在の問題は解決できるように思うが・・・。

いずれにしても、来年1月6日の選挙人投票の上下院合同議会での承認にすべてはかかっていると思われる。

トランプ大統領の再選は、そこで異議が発せられ不正のあったと思われる州の選挙人の無効が認められた場合のみ下院投票で選ばれる以外に道はないと思う。少なくともペンス副大統領が議長権限で決めるべきことではない。

仮にバイデンが次期大統領として承認された場合、バイデンは「選挙不正という十字架」を背負った大統領であることは覆せないはずだ。

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