米金利上昇を気にしない日本市場に違和感

米金利上昇を気にしない日本市場に違和感

米国債10年物金利がジワジワと上昇し始め、日本市場の大引け後1.774pを付けた。その後1.760pを跨ぐようなホバリングを続けている。

今日の日本市場は配当権利落ち日にかかわらず、指数上では夜間取引でほぼ落ち分を埋めていたし、大引けでは¥48高となって全埋め完了といった感じになって、配当唯どりということになったのだが・・・。

今日の日本市場でも、アルケゴス騒動が尾を引いていたような感じはあったけれど、ほぼほぼ気にする素振りもなく旺盛に買いが入っていたわけだが、それが個人的には相当に違和感があった。なぜなら米国債10年物金利上昇に対する警戒感がほぼ皆無だったからだ。

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なぜ、今日10年物金利の上昇を市場は気にしないのだろう?と思いつつも、後場はタイミングを見計らっていた。もちろん、売り玉を建てるためにだ。そして、一部は後場寄りで建てて、後場中の値動きを気にしながらも、大半は大引けで建ててポジションを決めた。その理由は、単純なのかもしれないけれど、31日にバイデン大統領が、例の350兆円政策の概要を発表するからである。

米国の財政政策においてどういう性格の予算であるのか、定かではないにしても、350兆円もの景気回復を目指したインフラ整備予算を中心としたもの、という話だけは伝えられている。その概要を明日(日本時間では1日)に公表する予定なのだ。したがって米国債10年物金利上昇は、もちろんその超大型予算による国債増発を懸念した売りによるものであることは間違いないのだ。

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しかも、まだ発表までに時間がある。米国株式市場は30日、31日の2日間(31日は場中の可能性が高い)、そして日本市場も31日がある。にもかかわらず、今日10年物金利が上昇しているのだから、今夜または明日にさらなる上昇があると見るべきなんじゃないか?と考えた。

仮に金利急上昇となって大きな影響を受けるのはNASDAQで、S&P500もこの水準以上の金利高は御免だろう。それでなくてもすでに5年物、3年物金利は急上昇しているからである。ダウはむしろ金利高を嫌気しない動きをしている。なので、日本市場のザラ場中に金利上昇が確認できても、ダウが弱含まないから気にならないのだろうか?

それよりも米国長期金利が上昇することによって円安ードル高に拍車が掛かるので、日本市場にとってはさほどネガティブとは感じないからなのか?

しかし、個人的に、今の日本市場の上値は非常重いと感じたこと、そして米国債10年物金利が1.800を越してくるようだと、流石にインフレ懸念がはっきりと意識されるだろうと思ったのだ。その場合、米国市場は総崩れになる可能性も考えられると読んでいる。

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もう一つ、大きな懸念も前提として持っているのは、今でさえコロナ禍対策のジャブジャブ資金が金融市場に混乱を招いている上に、従来の財政論を完全に無視したMMT張りの超大型予算を政策としてぶち上げるのは、大丈夫なのか?インフレにならないのか?下手をすれば急激なドル安に転換しないのだろうか?ということだ。

つい先日、200兆円予算を実行し今現在執行中である上に、今度は350兆円もの景気対策をぶち上げれば、流石に現在のインフレ懸念に拍車がかかるであろうことは、ごく普通に想像できる自体だと思うのだが・・・。

今夜のポジションの成否は別として、売り建てた真意は以上の通りだった。少なくともまだアルケゴス騒動には決着がついていない。恐らく米国金融市場には第二、第三のアルケゴスが眠っているはずだと思う。そうした中での大型予算発表は、さらなる混乱を生む可能性があるのではないか?

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