米雇用統計がもたらすバブル!?
- 2021.05.08
- 世界情勢
米国の雇用統計が出たけれども、内容は超サプライズだったよなぁ・・・。何これ!?と目を疑ったよ。これだから雇用統計ってのは信じられない面がある。
まず5日に出たADP雇用統計では前月比で74.2万人増となっていた。ADPは民間部門で米国大手企業の大部分がADP社とアウトソーシング契約してるから、意外と信頼性が高いんだよ。3月は56.5万人だったし、4月の予想が80万人に対しての74.2万人なので全然悪くないよね。
ところが、本家本元の雇用統計は・・・
4月 非農業部門雇用者数変化(前月比)26.6万人(コンセンサス97.8万人)
4月 失業率 6.1%(コンセンサス5.8%)
4月 平均時給(前月比)0.7%(コンセンサス-0.4%)
となったわけだが、それにしても26.6万人というのはネガティブサプライズだよ。理由はよく分からないけれど、民間(ADP)が好調で、それに対してこうした数字が出てくるというのは、どうなんだろう?という気がするよ。ふざけた話だが、3月に発表された91.6万人というのも、こっそり下方修正されて77万人になってるし・・・。
ロイターなんかは次のように分析してる。
雇用の内訳は、レジャー・接客が33万1000人増加し、そのうちレストランやバーが半分以上を占めた。一方、人材派遣は11万1000人減少。製造業も1万8000人減った。世界的な半導体の供給不足により、自動車メーカーが減産を余儀なくされた。運輸・倉庫では、宅配・メッセンジャーが7万7000人落ち込んだ。小売りは1万5300人減少した。
この説明ではやはり新型コロナで大幅な解雇をした「レジャー・接客」が再雇用したということだろけど、他部門は軒並みマイナスだって。その辺が良く分からないんだよね。ADPは大幅プラスって言ってるのになぁ・・・。
そしてちなみにいつも出てくる平均時給だけども、30.17ドルと増加!これはどういうカテゴリなのかいまいちよく分からないんだが、少なくとも日本なんか¥1,200ちょびだからとんでもない差がついていることになる(日本のアルバイト・パートの平均時給は¥900台という統計もある)。
それで、いま米国では単純作業であっても22ドル以下での募集はまったく集まらない状況らしいので、統計的に今回のような結果になってしまっているのかな?とも思う。とにかく米国では、住宅関連、食料品関連のインフレが凄い勢いになってるわけで、もやは30ドルでフルタイムで働けても、都市部では家賃さえ払えないという状況だからね。その上、食料品やサービス・接客などが値上げになったら、生活は苦しくなる一方だ。
日本から見れば、本当に羨ましい状況と言えばそれまでだけど、賃金レベルに応じた苦しさと言うのがあるんだろうけどね。
とにかく、はっきりとネガティブ・サプライズだったわけだが、それに敏感に反応したのは米国債10年物金利で、1.580pの水準から一気に1.485pまで急落したけれど、その後何事もなかったようにシレっと1.588pまで回復!なんじゃそれ?という感じ。でもドル円は、¥109.20辺りから¥108.615まで落ちて(円高になって)そのままだけど・・・。しかし雇用統計がそうなればなったで、株式市場は今度はテーパリング時期が遠くなった、現状の金融緩和の継続期間が延長される、と解釈!3市場ともに大幅高になって週末の取引を終えた(溜息)。
結局、FRBにしても財務省にしても、雇用と物価がその政策の主眼なわけだから、金融当局は雇用がダメならテーパリングどころじゃないのは分かる。けれどもこうした動きに対して、例えば銅は(日本の船株みたいに)天井知らずの上昇を開始してるし、ジワジワと石油よりも天然ガス市況が遂に来てるしね。もちろん農産物はグングンと騰がってて、やはり今回の雇用統計を期にインフレ傾向がより強まることは確かかも。
当局が雇用という手かせ足かせをはめられてる限り、まだまだコモディティは行っちゃうかも。でもねぇ・・・恐らく銅とか農産物はもはや需給で上昇してるとは言い難くなってると思うけどね。半導体がやたら不足してるのに銅の需要がどんどん増加するなんて、あり得ないことだからね。
やはり、日米の株式市場、特に米国市場は部分的には完全にバブルになってるよなぁ・・・。米国の投資家の考える最大のリスクは「金利上昇」を「バブル懸念」が4月に抜いたんだよ。
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