個人投資家のロスカット過多は負けの大きな要因:株式投資

個人投資家のロスカット過多は負けの大きな要因:株式投資

個人投資家にとって巷間指摘されているロスカットは、正しく使えれば非常に有益である半面、誤った使い方を繰り返してしまうと損失が予想以上に拡大してしまう「諸刃の剣」であると思います。

ロスカットを使うにはそれなりの技術が必要です。そこで、ロスカットの正しい方法を検討してみました。もちろん私の師匠の教えもありますが、私自身の経験から実践に即した方法もご紹介するつもりです。

何のためにロスカットするのか?

株式入門書などには、「買いと同時に逆指し値をしてロスカットする」とあります。「逆指し値」とは買値よりも一定の下値にトリガーを指定しておいて、株価が下がってしまいトリガーに抵触すると自動的に売り注文が出されるシステムですね。

もちろんこの方法は、株価が突発的な要因等で予想外の下落に見舞われた場合、損失を最小限度に食い止めるために行うものです。「いつかは戻るだろう」と考えて我慢してもネガティブな要因の大きさによって損失が凍結状態になることも十分に考えられるため、重要であることは間違いありません。

特に信用取引の場合は、追証回避のためにも重要な防衛手段ですね。しかし、多くの場合、特に需給要因の場合には株価の弾力性に応じて助かることも事実です。なので、どんな時でも有効であるとは言い切れない部分がありますね。

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ナンピン(難平)買いは成功率が低い

下落要因が需給(大量に処分したい投資家の存在等)によるものであれば、下げたところで追加買いをして平均取得価格を下げることを、ナンピン買いと言います。

確かに平均取得価格を下げておけば、戻り局面で容易に離脱が可能となり、上手くすれば下げ局面を利用して大きな利益を得ることもあります。投資家によってはロスカットするよりもアグレッシブだ、という意見もあると思いますが、現実にはナンピンは非常に成功率が低いです。

株価の下げ局面では特定投資家の売りたい株数よりも他の投資家がロスカットをするために多くの株が売られることになります。その場合、ナンピンポイントを見つけることが至難の業となるからですね。

私自身の経験では成功率は2割に満たないと思います。なので、急激な下落の場合はロスカットすべきだと思います。

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ロスカットには投資スタイルに合ったルールが必要

ロスカットする場合、自分なりのルールを決めておけ、と言われます。これも漠然としていて実践ではあまり役に立たないと思います。

たとえば、主力銘柄など出来高が多い株式の場合、日中の下落局面で買い下がることもあります。一度に全株を注文することは稀なので平均価格を下げるために買い下がりを行うわけですが、この場合は逆指し値を買いと同時に入れるのは、かなり難しい投資行動です。

またデイトレード等短期投資では、日中の値幅を狙うわけで、ロスカットの基準設定は非常に難しい問題です。なので、逆指し値はあくまでも相応の値幅を取っての下値という限定されたものなのですね。

それでも投資手法によっては、3%下値、5%下値に入れておくということは有効ですが、損失を嫌って0.5%下に入れるのは、ロスカット過多の原因になりかねません。

なので、「自らの投資手法に照らし合わせたルールを決める」と言うのが正しい表現だと思います。

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テクニカル投資を理解していないとロスカットは意味がない

そもそも株式投資では、ロスカットをしっかりとやっているから勝てると言うものではありません。そのことを、しっかりと認識せずにロスカットを多用すれば、損失が拡大するのは当然の結果です。

ロスカットよりも何処で買うか(空売りするか)の問題

そもそも株式投資は、ロスカットを設定するか否かの問題ではなく、基本はチャートや移動平均、出来高等のテクニカルでエントリーした株価を基準に不測の事態に備え設定するものです。

それができてこそ、初めてロスカットを設定する意味があるわけで、何処でエントリーしてもロスカットを設定しているから大丈夫、というのは大きな誤りですね。

ロスカットの回数を減らすことが重要

ロスカットの設定が意味を持つためには、テクニカルでの売買技術が前提条件となります。急騰銘柄を追いかけてエントリーを繰り返したり、急落銘柄を底値の確認を待たずにエントリーしていては、ロスカット過多に陥ってしまします。

それは本来のロスカットの意味とは違ってきます。大切なのはロスカットの回数を減らすことですね。多くの個人投資家が負けてしまう原因は、ロスカットにあるのではなくテクニカル投資の技術不足にあると思います。

ロスカットの設定は不測の事態に備えるため

ロスカットは株価が不測の動きをすることへの保険です。つまり、予想に反して大量に売られてしまう(買われてしまう)場合やネガティブ(ポジティブ)な材料が飛び出した場合などに株価が急激に反応した時に効果的です。

ロスカットの設定は安心のため、とも言われますが、そもそもその程度のセンチメントでは勝ち抜くことは難しいと思いますね。

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まとめ

ロスカットの正しい使い方とは、テクニカルで正しくエントリーした場合に効果的と言うことです。問題はロスカットすることでもなく、逆指し値することでもありません。

テクニカル投資の技術優先でロスカットを設定しなければ、ロスカット過多で損失は拡大してしまうということになります。

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