株式市場を取り巻くネガティブ・ノイズ
- 2021.12.09
- 放言
日本市場は明日・明後日と米国CPI相場に突入し、15日のFOMCまでどう考えても厳しい展開になると思うんだが、その前に今の市場ではノイズみたいな扱いを受けているネガティブ・ファクターを見ておかないといけないね。
ネガティブノイズ 1(金融所得課税)
それには最初に取り上げたいのは、自分でも何を言ってるのか分からない状態と思われる岸田首相の金融所得課税の発言からだね。
「ちょっと何言ってるのか分からない」とサンドイッチマンの名台詞じゃないけれど、「投資環境を損なわないよう配慮し検討」ってどういうこと?増税することがすなわち思い切り投資環境を損なうんじゃないの?
全く新・資本主義とか意味不明の造語を繰り出して出鱈目な経済政策を遣ろうとしてるし、デジタル田園都市構想ってのもさっぱり分からない。昔大平内閣が田園都市構想ってのをぶち上げたけれどパクリじゃないの?
何度もしつこいと言われそうだけど、岸田が総理の間は日本経済は良くなるどころか悪化の一途をたどるだろうし、海外投資家はそれをよく分かってるからね。まさに日本経済の貧乏神だ。
ネガティブノイズ 2(恒大デフォルト)
次にとうとうフィッチが恒大集団を初のデフォルト認定したようだ。
これで実際にCDSの支払いが行われるかは不透明だけど、契約上は間違いなく支払いされなければならない。あのリーマンショックの時は、デリバティブの取引慣行を決めるとされる国際スワップデリバティブズ協会なる組織が最後の最後までデフォルト認定せず、結局金融当局の介入などもあって相対契約で解決したみたいだけど。
それって所謂インチキってことだ。今回恒大集団のCDSの総額は数百兆円といわれてるけど、フィデリティ、ブラックロック、ドイツ銀行とうとう多種多彩な引き受け先があって・・・。さて今後、ちゃんとフェアに処理するかどうかが見ものだね。
ネガティブノイズ 3(資源市況)
3つ目が天然ガス市況だよね。原油はWTIを見てもそれほどタイトにはなっていないし、天然ガスも一時の暴騰から落ち着きを取り戻したかに見える。けれど天然ガスは何カ月も貯蔵しておけない資源なわけだから(LNGでも約3週間程度)、需要と供給が非常にタイトなんだよね。
そして今後はますます天然ガス発電が増加する冬場に向かいつつある。とにかく石炭のように燃やそうとするととんでもない金額の排出権を購入しないといけないわけで、結局天然ガスよりも高くなってしまうらしいし、原油も同じようなもの。だから、出来るだけ低コストでエネルギー量が多くCO2排出量が少ない天然ガスで、あと10年、20年は凌がないといけないわけで・・・。
再度市況が暴騰し始めるのは時間の問題だろうね。
ネガティブノイズ 4(ウクライナ侵攻)
4つ目は、いよいよロシアはウクライナ侵攻の準備万端ってことらしい。国境に14万とも17万ともいわれる軍隊を配備しているけれど、このまま軍に冬を越させるのか?ってこともある。ロシア・ウクライナ国境って相当に寒いらしいしね。
それにロシアは実力でクリミア半島を占領したし、軍港もあるわけで、補給は問題ないし、陸と海で挟み撃ちにできるという軍事的優位もある。
報道には出てこないけれど、このロシアの出方で天然ガスの欧州への供給が決まってしまうという、非常に恐ろしい事情もある。ウクライナに入ってNATOが動くなら、天然ガスの元栓を絞められちゃうし、そうなれば欧州全体で何人凍死するか分からないと言われてるし、ガス価格はさらに暴騰すると、まず英国がコケル。その次にドイツ・フランスもヤバイ。
こういうことを考えると、いままさに冬を迎えつつあるこの時期、プーチンの出方によっては株式市場はひっくり返るだろうね。とにかくこの冬の時期が最も危険だよ。
ネガティブノイズ 5(台湾侵攻)
5つ目は台湾。北京五輪が終わるまでは、と言っても各国が外交ボイコットを表明してるのも、中国の台湾侵攻になると要人を人質にとられかねないという懸念もあってのこと。中国のことだから、五輪開催中にやる、なんてことも十分にありえるからね。
というわけで、インフレとテーパーだけじゃない株式市場の危うい立ち位置。にもかかわらず強気一辺倒の米国投資家!どれもメガトン級の破壊力をもったノイズなのに無視してかかる株式市場・・・。やはりどう考えてもバブルそのものだ!
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