米国市場:年内上昇のファイナル・ナイトか?

米国市場:年内上昇のファイナル・ナイトか?

今日の日本市場でハッキリと感じたこと。それはウォール街は出来ることならば年末高を演出して決算を乗り切りたいと思っている、ということ。誰が仕掛けたのかは分からないけれど、日経平均は17日▲¥520、20日▲¥607と米国市場に連動するかのように売り叩かれた。その時の空売り比率は42.3%、47.6%だから、短期筋が叩きに来たのは18日だったことが分かるので、今日(21日)の△¥579は、20日の売り方のショートカバーだったことが分かる。なぜ買い戻したか?というと、今夜米国市場は同じようにショートカバーになると踏んだから。もしかしたらその筋の情報が入っていた可能性も、無きにしも非ず。だから僅か1日、翌日にはすべて買い戻したということかもしれない。

と言うわけで、今夜米国市場が上昇と踏んでいるのは、ウォール街の意向だと思う。この局面、様々なリスク要因に囲まれてはいるけれど、とりあえず年末にこれ以上株価を下げたのでは決算に影響が出かねない、という事情が見え隠れする。なので、現時点(20時30分)でダウCFD$316高、ナスCFD1.21%高、SP500CFD1.02%高、ラッセル2000CFD1.31%高と全面高の様相。これが大引けまで維持できるかどうかは別の話だが・・・。

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けれども、今夜仮に大幅高で引けたなら、これが年内上昇のファイナル・シーンだと思う。良いシナリオならばクリスマス25日までは今夜の引け値レベルで横這い(揉み合い)だろうし、悪ければ今夜の高値が天井になりかねないと思う。理由は爆発的に感染拡大が確実になってきた米国でのオミクロン株。英国では遂に1日の感染者数が9万人を超えた。遂に20日、米国の感染者数がデルタ株最高値と同等の25万越えとなった。しかも米国当局は来年1月末で1日の感染者数が100万人に達するという予測まで発表する始末。こうなると、現在のインフレに拍車を掛けるのは確実で、それもかなりの悪性インフレになる可能性がいよいよ見えてきた。

なので、株式市場はこれ以上上昇の仕様がない状況に追い込まれつつあると思う。恐ろしいのは、このオミクロン株の感染拡大とFRBの利上げを市場がリンクさせること。オミクロン株で感染者が爆発的に増えると、生産や物流のボトルネックがますます細くなってしまい、その結果商品が不足してインフレが加速してしまうという悪循環に対して、残念ながらFRBは金融引き締めでインフレには対処出来ても、その処方は景気の悪化を加速させてしまう。切羽詰まって中国人民銀行のように利下げしようものなら、インフレはぶっ飛んで行く。つまり、FRBにはもう現状の経済環境に対する処方が何もないのだ。

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いよいよ袋小路に叩きこまれそうな米国経済だが、要するにこれが金融ジャブジャブ経済の末路なのかもしれない。経済は生き物と言われるけれど、単純に不況ならばジャブジャブにすればよい、という答えをリーマンショック以降繰り返してきたし、それは決して不正解や誤りではなかったと思う。しかし、今回は新型コロナ感染拡大によって、ジャブジャブでは解決できない物理的な要因に対してなす術はないということを思い知らされるかもしれない。

と言うわけで、早ければ今夜、遅くともクリスマスまでには、米国市場は嫌でもオミクロン変異株感染急拡大を織り込まなければならない状況になるかもしれない。

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一方現在新型コロナ感染者が極少数で推移している日本だが、これもまた1月末には1日3000人レベルの感染数となるという予測もNHKでは盛んに報道し始めた。仮にそうなれば、大幅な営業制限が再び始まり、期待のGOTOは吹っ飛ぶ。日本人には新型コロナを抑制するファクターXがあるという説は昨年から出ていたが、今月になって理研が日本人の6割の白血球の型「HLA-A24」が新型コロナの感染細胞を攻撃する、と発表した。それがために日本では急激にコロナ感染が収束状態になったとされるわけだが、デルタ株にしろそれ以前のコロナにしろ多数の感染者や死者が出ていることを証明できない。したがって、防疫してもオミクロン株の流入が止められない以上、日本でも感染拡大の可能性は大いにある。

しかし、問題は国内よりも海外の状況であって、欧米の経済が停滞すればダイレクトに日本企業の業績悪化をもたらすわけで、そうなるようならば日本市場は米国市場と連動して下値を模索するしかないだろう。

出来れば今夜は最後の仇花で結構なので、米国市場に大幅高して欲しいと思う。そして出来れな日経CFDも明日はGUで寄り付いてくれることを祈っている次第。個人的にはそこが勝負処かもしれないと感じたので、ここまで煮詰まったら年内勝負で行くしかないだろうと考え直している。