闇に向かって走り出したマーケット

闇に向かって走り出したマーケット

今夜の米国市場は、もしかしたらこの記事が出なければ、またぞろ大幅続伸していたのかもしれない。けれども出たら、こうして株価は下がってゆく(特にNASDAQ)。だが、こうなることは事前にわかっていたにもかかわらずこのところ強い動きを繰り返していた。

また逆に今夜の日経CFDは、米国債10年金利が2.550Pと上昇し、その影響で黒田総裁の発言をせせら笑うかのように¥123.450と再び¥123台へ。いままで為替感応度が高かった日本株なのだから、それこそ大幅上昇していいはずなのだが、米国市場の下落に連動している。

株式市場ではこういうことが多々あるのは分らなくもないが、なんでもあり、という動きになってしまうと何を見て投資をするのか、ポジションを建てるのかが全く分からなくなってくるからね。ということからして、とにかく今の株式市場の動きはメチャクチャで、特に日本市場の場合は3月のGPIF買いで急騰した後なので厄介だ。その辺の株価の動きに対する強烈な違和感を新年度になって感じていたわけだよ。

Advertisement

まぁ、ともあれ、今夜FRBのブレイナード理事は5月利上げにプラスして、(大規模な)QTを急速に実行すると断言した。

ただし、記事を読む限り、5月の利上げは0.250Pになるんじゃないか?と感じる。QTは恐らく月額500億ドルという大きな規模になるんじゃないか?と思う。株式市場にとって最悪の爆弾は、「利上げ0.500P+QT500億ドル」の組み合わせなので、利上げが0.250Pならば予想以下、ということで今夜の株式市場の反応は想像以上に鈍い!

しかし、これでQTのトリガーが絞られるということになると、逆イールドとあいまって、いよいよ楽観論は消し飛ぶ展開になるだろう。問題は、ハト派の筆頭だったブレイナード理事が例によってフォワードガイダンス的に発言したとなるとFRBにはもう金融引き締め以外になにも出来ないと言ってるようなもの。

Advertisement

本来、米国経済が高水準のインフレが止まらないような危機的状況になってから、そそくさと金融引き締めを開始するという、中銀の意味をなさない過去最大の大失態に陥ったFRBが、遅ればせながらインフレを抑えると言って景気悪化の局面で金融引き締めを急速に行ったら、本当に経済は、そして株式市場、債券市場はどうなるか分からないぞ!

米国には、今回のFRBの金融引き締めに対して株式市場は耐えられるという、極楽とんぼ的な見方が多いと言うけれど、その状況はロシアがウクライナ国境に17万もの兵力を構えていても、まさか侵略するようなことはないだろうと言っていたのと同じだろ。でも結果は、この悲惨な状況なんだよね。日本が「平和ボケ」と言うけれど、それを言うなら米国だって同じだということだ。

バイデン就任以来500万人近くの移民が米国に対しなだれ込んで、おまけにドラッグを持ち込んでもはやテキサス、ニューメキシコ、アリゾナ、そしてカリフォルニアはグチャグチャになってしまっているわけで、事態は内戦も起こりかねないくらいにひっ迫しているし、社会が崩壊しかねない状況。その上に強烈なインフレが覆いかぶさっていることを危機感を持って見れないんだよ。

Advertisement

その上、キエフ周辺からロシア軍が撤収した後に残されたのは、まさに地獄絵図。一般市民を老若男女を問わず殺害するジェノサイド。ロシア軍は今までにチェチェンでもグルジア、シリアでも同じようなことを繰り返し行ってきたけれど、だから今回も同じような感じで残虐行為を行った。でも、ウクライナはそうした国々とは比較にならないほど西欧化しているし、第一、イスラエル、インドに続くIT立国なのだから、情報戦や情報拡散という意味では、ロシアなど足元にも及ばない。

ネットやSNSを通じて惨劇がリアルタイムで世界中に配信され、流石にロシアをこのまま放置するわけには行かないという機運が世界中で急速に高まると思う。たとえウクライナが停戦したところで、明日は日本や他の地域かもしれないのだから。すでにロシアの残虐性は日本は嫌というほど経験しているわけで、虐殺もさることながら必ず若い女性がレイ○されまくり、最後には惨殺されてしまうということが起こる。とにかく時代に取り残されたような独裁国家は国民の民度が育たないんだよね。

Advertisement

そうした状況を前にして、世界中でジェノサイドに対する反感機運が盛り上がると、明日は我が身の危機感を感じる欧州や、中間選挙を控えた米国でも、このまま経済制裁を続けて様子を見る、程度のことでは済まなくなる可能性がある。欧州は追加制裁としてロシア産の石炭の禁輸に踏み切るらしいけど・・・。背に腹は代えられず天然ガスと原油は弄れなかったんだよね。けれどもその状態がいつまで続くか?という問題も出てきたと思う。

 

結局悲観論という事でもないけれど、ロシアがキエフ周辺から撤退して(まだ3分の1は残ってるけれど)、なんとなく楽観ムードで株式市場は上値追い、FRBの金融縮小も織り込み済みで上値追い、なんてことがとても通用するとは思えないんだけどね。

今夜、今のところ、米国三市場はNASDAQが金利急上昇を嫌って2%近く下げてるけれど、ダウもS&Pも大した下げになっていない。甘いんじゃないかなぁ・・・。もっともっと世界は急激に変化してると思うし、FRBは金融政策を大失敗しているわけだしね。

この反動は半端ないと思うよ。覚悟が必要だね。