下がらない原油価格とFRBの金融引き締め姿勢

下がらない原油価格とFRBの金融引き締め姿勢

こういう原油価格の推移($116を呆気なくブレイク)を見てるとね、どうもFRBの金融政策って米国経済にとっては自虐的で自殺行為なのかもしれないよね。こういう時には、特に中銀が大幅利上げをしたという時には株価も債券も下げて当然だし、今後の世界経済の行く末を考えるとどう考えても秋まで、原油価格が上昇するような要因は見当たらないよ。

中国、インドはせっせとロシア原油を買っているから需給云々ではない。要はロシア原油を買わなくなった欧州が中東から買えば全く需給の問題は生じない。ただ、問題があるとするとロシア産原油はパイプラインだから、いざ中東から大量に買うとなると、受け入れ設備等の問題があるのは確かだけど。そういうのだって需給という観点から見ればかえってだぶつく、みたいな余韻のはず。

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昨日突然スイス中銀が利上げをしたけれど、これで世界で金融緩和姿勢を維持するのは日銀だけになった(中国人民銀行は特殊なので別です)。今日の相場が急落したのはスイス銀行利上げによるマインドの悪化だけじゃなくて、なかなか引き締めを強化しようとしないECBに対する警鐘であるとともに、これでリセッションは全世界的にほぼ確実ということを再認識したからじゃないかな。

原油を巡る状況は日々需給が緩んできてるにも関わらず、価格が硬直化して下がらないとなると、そしてFRBが言うように年内に失業率が3.6%から4.1%に悪化するというような事態にならないとすると、インフレは金融政策では収まらないよ。さらに言うと米国経済は年前半には減速するけれど年後半には再び成長路線に乗る、なんてことは、金利が急激に上昇しQTもバンバンやるという状況下では、ただの夢物語に過ぎないんじゃないか?下手すると本格的にスタグフレーションに落ちそうだよ。

やはり今回のウクライナ戦争とか、原油やコモディティの上昇とか、こういうことは皆それを志向する勢力にとっては笑いが止まらないことだしね。変な話だけど、世界中でせっせと地道な経済活動で築き上げた富が、資源国に日々吸い上げられてるというこの状況は、どうにもならないところまで来てるよ。

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馬鹿な話だけど、原油なんか掘削する気ならほとんど無尽蔵にある。シェールもあるしね、日本なんかは領海やEEZにはとんでもない油田があるのが分かってる。けれども海洋掘削はコストがかかるし、第一脱炭素を掲げている以上簡単にはできない。欧州は気候変動に対し異常なほどガチガチだから、大量にパイプラインで天然ガスや原油を消費しているのに、それを棚に上げて再生可能エネだとしか言わないし。

で、原油だけじゃないけれど、今回の世界的なインフレの背景は、極めて政治的・政策的な要因が大きいと言えるよね。とにかく今夜の原油価格を見る限り、需給の観点からは完全に逆行してる。昨夜のパウエル議長の会見では「戦争による原油高、コモディティ高はFRBの範疇ではない」なんてシレっと言っていたけどね。それじゃダメと分かってて金融引き締めするのか?と聞いてみたいよね。結局FRBが出来るのは不況にして失業率をあげることだけなんだぁ・・・とかなり失望した。

原油価格がこの後どうなってもINPEXだけなので、どうでもいいんだけど、読みが外れたことが本当に悔しいんだよね。昨日から本当に忸怩たる思いってやつだ。

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さて直近の景気指標やデータ次第、なんて回答したパウエル議長の発言にも失望したけれど、だったら景気指標で利上げを決めるなら、その通りにポジションを取って行くしかないと思った。そこでFRBが今の金融状況についてどう見ているのか?を表す指標がある。セントルイス連銀が週単位で発表する金融ストレス指数ですよ。

これがまだゼロ以下に位置するから、FRBは利上げしてもQTしても全く問題なしと考えてる・・・。だったら今回は0.750pでいいんじゃないかっていう結論だったらしい。でも最近は急激に上昇してるんで、これが今後QTや利上げの影響が出始めると、どうなるかは分からないけれどね。

もしも急激に立ち上がってしまうようなら、0.750はもうできなくなるし、9月の約12兆円のQTだって怪しくなるよ。利上げに関してのフォワード・ガイダンスが全く当てにできないとなった今回のFOMCなので、QTのそれだって鵜呑みになんかできやしないわ。

こっちも今度はそのつもりでポジションを建てないといけないしね。

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でだ、ここで株式市場に対して重要なことは、つまりはとにかくFRBがばら撒いた資金の量が莫大過ぎるという点で、これをいつも考えていないといけないわけだよね。だから、昨日FOMCで利上げして株式市場がショートカバーで上昇しても、だからこそ売りたいと思う投資家がたくさんいること、それに利上げについてもやれ0.750pが想定内とか言う前に、極低金利の資金がジャブジャブしているときにいきなり0.750pが影響ないはずがないし、また7月に0.750pやると、いよいよ部分的にはクラッシュも出てくる。当然だよ。

さらに年内3.5%まで利上げと言うなら、年内と来年に資金を貸し出そうとする銀行の腰がバンバン引けちゃうし、さらに利上げを見込んだ金利の資金でないと出さない、みたいな意地悪をするしね。なので市中金利に対する上昇圧力は半端ないんだよ。

まぁ、それがリセッションの最大要因だけどね。

さて、米国市場が深押しを始めたな。日経平均CFDも連動してる。明日の朝が怖いね。