日本の政治は劣化し、2024年も日本社会のダッチロールは続く

日本の政治は劣化し、2024年も日本社会のダッチロールは続く

創価学会名誉会長 池田大作氏が死去した。2010年以降公式の場には姿を見せることなく病に伏しているとされたが、一説には延命措置を行われて現在に至っていたとされる。

あと僅かで師走を迎えるわけだが、2023年はある意味、日本にとってカオスの年だったと思う。今年の日本は敗戦から78年を経て、日本人の心が大いにふらついているように思える。戦後復興期、高度成長期を経て、有頂天になっていた日本人を1991年から始まったバブル崩壊が大いに戒めたと同時に、日本人の経済に対する志向が大きく転換した。

独立できない日本

以降現在に至るまで、諸外国と比較することもできないくらい経済成長がパタリととまったまま。国民の可処分所得はいまだに年々下がり続けていて、実質的な所得水準はほとんど上昇していないという事実がある。このことは日本人の心にリスクと取った上昇志向よりも現状維持を良しとする価値観が芽生えたと言える。

バブル崩壊後、金融機関の不良債権問題を15年間も引き摺り、社会の高齢化とともにデフレ経済のまま増税を繰り返し、現在に至っても、と言うよりも安倍政権から岸田政権になったいま、国民生活は最も苦しくなっているのでは?と思えるけれど、日本社会全体が現状維持を良しとし、既得権益を守ることに汲々としている。

米国従属の岸田政権

何も変えられない政治。安倍長期政権でさえ憲法改正の発議さえもできず、現在の岸田政権は米国バイデン政権の言うがままにリベラル化し、岸田首相は核廃絶という机上の空論を振り回し悦に入る始末。結果として最新の世論調査で内閣支持率が軒並み20%台に落ち込むという無残な状況にもかかわらず国民の信を問うことも出来ず・・・。さらにこの岸田と言う人物は減税を大義名分として解散総選挙をしようとした、前代未聞の浅はかな首相となり果てた。

2023年は日本社会にとって、「日本は本当に主権国家の地位を確立できているのだろうか?」と思わせる出来事が次々に表面化した年だった。まずは何を狂ったのか、6月のLGBT法の強引な成立。これで日本社会は社会生活における性別と言う概念を大きく捻じ曲げられてしまった。これはまさに防衛力強化とセットで米国から指示された政策であって、岸田首相は首相就任以来、米国バイデン大統領の言いなりの政策を実行するだけの、まるで植民地の傀儡政権の首相のような振る舞いをした。

米国が対中政策の一環として中国の軍事的脅威に対抗するために、日韓関係の修復を指示し、韓国の目に余る数々の無礼な振る舞いを不問に付した。しかし裏を返せばウクライナ戦争における各国の武器支援と同様に、防衛力強化による米国のネオコンビジネスのためであることは透けて見える。

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親中政治家多数の連立与党

一方で中国の無礼な振る舞いとそれに加担する日本の政治家。中国人または中国資本による日本国土の買い占めを規制することなく、中国製太陽光パネルの独占的購入を促進しウイグルの人権侵害を無視し、中国製EVに対する補助金を出す始末。日本人(アステラス製薬社員)が中国でスパイ容疑で拘束され12年の実刑判決が確定してしまうことは平然と見逃す・・・。

書き出すとキリがないが、日本が独立国家としての主権を行使できず、政権が親米、親中という矛盾に満ちた政策ばかりを実行するという背景は、米国と公明党が頑強に反対する憲法改正(自主憲法制定)が出来ないことに尽きる。

国内では今年統一教会問題が昨年の安倍首相暗殺事件に絡んで噴出し、なおかつ政治との関わりが問題視された結果、現在ようやく文部科学省から東京地裁に解散命令請求が出された。日本国憲法には、政教分離の原則が示されている以上、政治家の関りが問題視されるのは真っ当な話である反面、現行憲法で保障された信教の自由はおいそれと侵害することはできないという微妙さが存在する。

政教分離さえままならず

故池田大作 創価学会名誉会長

だからこそ、創価学会が母体である公明党という政党が、何のためらいもなく政治参加し、こともあろうに堂々と連立政権を担うという蠣らかな矛盾は、安易に容認できるものではないと思う。信教の自由、結社の自由は政教分離という概念で社会へのネガティブな影響を排除しようとする日本国憲法の理念に明らかに違反している。

しかしそれを議論することなく政治参加を許容し、いまでは連立与党となっているのだから、その基準を考えると安易に統一教会を排除できないのではないだろうか?自民党は党所属の政治家の統一教会とのかかわりを一切断つと発表した。統一教会は無償で国会議員の選挙活動を支援していたが、それが問題ならば、公明党を支援する創価学会はどうなのだろう?

国民の大多数が公明党と創価学会の関係を一体であると理解しているという事実は重い。政教分離は建前論でしかなく、現実には日本国憲法の理念を蔑ろにしてもいいという印象を広く国民に与えている。

そして政治的に公明党は明らかな親中政党であり、日本国憲法改正発議に反対し、日本国の外国人土地登記規制に反対し、ウイグル人弾圧決議に反対した。そして公明党の選挙には創価学会員が莫大な支援をし、創価学会の議員を政界に輩出するという構図。その集票力を武器に連立与党を組むという自民党の振る舞いは、大いに批判されてしかるべきであると思うのだが。

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憲法改正が出来ない国

また日本が勝手に(自主的に)憲法改正をし、今までの従属関係が維持できなくなることを米国は当然危惧する。日本国内に軍事基地を多数保有する米国は、日本を独立国だとは思っていない。ただ、植民地であるという印象を消すために日米安全保障条約を隠れ蓑にして、交戦権を破棄し、軍隊を持たないことを明示した現行憲法下で、日本は米国の核の傘の下にいるという印象を作り出した。

そして日本国民は、有事の際には同盟国である米国の軍隊によって守られるという確証のない空想に支配され「平和憲法」という妄想を植え付けられている。だが日本国内には米軍基地が点在し、有事となればそれが標的にされるわけで、日本が無傷で済むはずがない。下手をすれば自衛隊は米軍基地を専守防衛する羽目になるし、それが日米安保という軍事同盟であることは言うまでもない。素直に考えて他国の治外法権的な軍事基地が国内にある国家を独立国とは絶対に言えないし、現行憲法は日本国民を守れないのである。

今日の矛盾に満ちた社会状況は・・・、さらに言えば30年間にわたって経済成長が出来ず、実質的な国民所得が増えないことも含めて、日本の国益や日本人の社会生活そのものを毀損していることは主権国家をいまだに確立できないことに起因すると思う。そして日本社会に既得権益ばかりがはびこり、それを維持するために暗黙の了解がまるで社会正義のように扱われる成長無き社会に堕ちつつあることを自覚する必要がある。

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ジャニーズ事件を覆い隠す体質

ジャニーズ事務所釈明会見

イギリスのBBCが指摘したジャニーズ事務所の性加害問題は、大きな事件として取り上げられることになったけれど、芸能界に蔓延る暗部は決してジャニーズ問題だけではないことを、非合法的な手段を使ったとは言え告発したガーシー元議員は逮捕拘束された。

ジャニーズ事務所の性加害問題は、事実を知れば知るほどに異常と言える性犯罪であり、それを庇う姉のメリー氏とその娘のジュリー氏が、この問題をエスカレートさせてきたことは明らかだ。そしてジュリー氏は記者会見で堂々と嘘をつき、所属タレントの大半が嘘をついたことは、芸能界、芸能ビジネス界の尋常ならざる腐敗を物語っている。

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ジャニー氏の性加害についてはジャニーズ事務所設立当時からあったジャニー氏の性癖であって、周囲がそれを黙認することでジャニー氏はエスカレートさせ、被害者は今までに数千人に及ぶと言われている。そのことはTV業界、音楽業界、出版業界とうとうすべてのメディアが黙認し、沈黙をしていたという極めて悪質なものであり、全てはビジネスのため、すべてはカネのため、自分たちの既得権益を維持するために故意に膨大な数の性犯罪を見逃していたのである。

女性を篭絡するだけでなく人身売買を行っていた米国のエプスタイン事件も、ジェフリー・エプスタインの所有する島に招待され、享楽を享受していた人々が単に著名人と言うだけでなく、あまりに社会的影響力がある面々であったということで、アンタッチャブルな事件のように扱われているけれど、日本の芸能界の闇というのは、それに匹敵するような状況であるに違いないと推測する。ジャニーズ事件は行ってみれば氷山の一角であるとも言えるのではないか?

政治の警察捜査介入

露木警察庁長官

さらには木原誠二前内閣官房副長官の夫人が関与したとされる元夫の不審死事件とその再捜査に関する木原誠二議員の関与疑惑もまた、週刊文春が暴露記事を書いたことで、広く社会に広まった。元夫の不審死事件に関しては、とにかく関係者の誰もがあまりに不審な行動と発言を繰り返していて、遺族が大塚警察署に改めて告発し受理されたと報道されているが、真相究明がなされるかは極めて不透明であると思う。

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そもそも、木原誠二夫人や捜査関係者を含めた事件の関係者の全員が、真実を語っているとは思えず、まして遺体発見者とされる親族(父親)さえも、極めて不自然かつ曖昧なコメントをしていることから、捜査の骨格はバラバラな状況なのだ。

しかし、木原氏の操作関与を真っ向から否定している警察関係者のコメントや、会見で再捜査しない方針を明らかにした露木警察庁長官を筆頭に警察庁幹部に対する不信感は、三権分立を基本とする日本社会制度に禍根を残すと思う。再捜査に対し自民党大物政治家が圧力をかけたとされることも、木原氏が直接圧力かけたとされることも、自民党政治に対する大いなる不信感をもたらした。

政局となっても

こうした世相と池田大作創価学会名誉会長の死は無関係であるとは言い切れないと思う。つまり自民党内にも連立与党を組む公明党・創価学会に対する批判もあり、また創価学会もまた同氏を失ったという事実が、組織に大きな影響を与える可能性も否定できない。それが様々に影響し合い、自公連立解消となる可能性も大いにある。そして当然のことながら自民党内にも岸田政権の支持率が急降下したことで、政局に発展する可能性が大だと思う。すでに財務省から梯子を外された岸田政権は、レームダックと見るべきだ。

がしかし、今の自民党で政局となっても、公明党が連立離脱しても、親米隷属政権になるか、親中政権になるか、はたまた財務省の傀儡政権になるかの選択肢なのだと思うし、日本はまだまだ此の先、ダッチロール状態であるだろう。少なくとも自主憲法制定が成るまでは、残念だが過度な期待は出来そうにない。