1%の可能性:消費税増税延期と衆参同日選挙

1%の可能性:消費税増税延期と衆参同日選挙

第198回常会(通常国会)は、今日(6月26日)に散会となりました。また今後の政治日程は、6月28日(金)、29日(土)に最終の首脳会合が行われ、参議院選挙は7月4日(木)公示の21日(日)投票という段取りとなるわけです。

これで10月の消費税増税延期を大義とした衆議院解散がなくなったということで、事実上増税は決定と言うことになりましたが・・・。

衆議院解散・総選挙の目は残っている?

常会が散会となったことで現時点では衆参同日選挙の可能性はほぼなくなりました。しかし、安倍首相は臨時国会召集、冒頭解散の実績が2017年にあることから、衆議院解散のカードは常に温存されている状態なのです。

「解散は首相の専権事項」とされていますから、安倍首相は独自の判断で衆議院を解散することが可能です。

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衆参同日選挙でなければならない理由

安倍首相の強権発動によって衆議院が解散する場合、今回は衆参同日選挙とする必要があります。そしてその場合は「消費税増税の延期に関して国民の信を問う」選挙としなくてはなりません。

参議院単独では改憲勢力を割る?

今回の参議院選挙では、改選議席124のうち、自民党は自公で改選議席の過半数63議席を勝敗ラインとしました。しかし憲法改正発議に必要な2/3の議席を確保するには「改憲勢力で非改選議席を含めて164議席を確保する必要」があります。

現時点では維新やその他の改憲勢力を加えて165議席と言われているため、1議席も落とせない状況ではあるのですが、連立を組む公明党が「改憲反対」の立場を崩しておらず、調整は困難な状況です。

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できれば公明党抜きで改憲勢力を確保したい

現行の公明党の非改選議席は14です。従って憲法審査会の審議を経て憲法改正の発議を行うためには、安倍首相としては「ボロ勝ち」して、公明党抜きで改憲勢力を確保するか、または大勝して公明党の翻意を促す必要があるわけです。

消費税増税を延期しなければ大勝はない

国政レベルの選挙で、かつて増税を選挙公約に掲げて勝利した例はありません。つまり、安倍政権にとって今回の参議院選挙はこのままでは負け戦になる可能性が濃厚です。

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なので、消費税増税はどうしても引っ込めて、なおかつ衆参同日選挙で野党の選挙協力体制を粉砕してしまう必要がある・・・。現実に野党側では準備不足から総選挙になった場合の候補者確保がまったくできていないのです。

そこで、安倍首相は「消費税増税延期の大義名分」が整いさえすれば、そのつもりだったのでしょう。しかし、G20の日程とほぼ重なったことで、世界経済が本格的に危機的状況に陥ることはありませんでした。

G20が衆議院解散のきっかけに?

G20大阪サミットでは、現在深刻な対立の最中である米国トランプ大統領と中国習近平国家主席の会談が実現します。今回のG20の最大の目玉ですが・・・。

米中交渉合意できず

米国・ムニューシン財務長官は「90%合意」というコメントを26日(水)に発信し、時間外取引ではこれを好感した動きになりましたが、4月に同様な状況から中国は合意を破棄した経緯があることから、マーケットは楽観できない状況と理解していると思われます。

米国は対中関税発動

おそらく米中貿易での関税問題については、妥協の可能性もありますが、根本的な構造協議に関して米国に妥協の余地は全くありません。

従って、米中首脳会談での合意はまずあり得ないというのが、世界のマーケットの見方でもあります。

7月1日、2日の株価暴落

仮にG20の米中会談で進展がない場合、7月1日(月)、2日(火)の株式市場は厳しい下げに見舞われることが予想されます。

もちろん、米中双方からコメントも出されるはずで米中関係の緊張が深まれば、十分に「リーマンショック級の危機」と言えますね。

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2日~3日に臨時国会召集で衆議院解散

そうなると安倍首相は、この状況を理由にして臨時国会を召集し、解散総選挙を強行する可能性は決してないわけではないと思います。

少なくとも「現状以上に経済状況が悪化することが予測される中で消費税増税は日本経済の命取り」という大義の御旗は十分に立てられます。

日米のシナリオはできている?

安倍首相は、日本経済に対する消費税増税の悪影響は熟知しています。また現行憲法下で日米同盟を維持することが困難であることも十分すぎるほど理解しているはずです。

憲法改正をして自衛隊の地位を向上させ、中国からの脅威に対抗することは日米同盟の強化に繋がります。さらに拉致被害者救出のためには、米国の協力が不可欠です。

そうした事情も含めて、トランプ大統領との親密な関係の中で、シナリオができている可能性があります。

消費税を増税すると日本企業に輸出圧力がかかり、米国はそれを歓迎するはずがありませんし、トランプ大統領がこの時期に敢えて「日米同盟破棄」に言及したのも、安倍首相への後押しと思われます。

従って、消費税増税延期と衆参同日選挙の可能性は、まだゼロではないと・・・。

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