本格的に世界バブルが始まるかもしれない!?

本格的に世界バブルが始まるかもしれない!?

春闘で企業の賃上げ見通しが出そろったところで、植田日銀はマイナス金利解除、YCC解除、ETF買い入れ終了、そして将来的な国債買い入れ縮小を発表した。片やFRBは年3回の利下げ方針を堅持するとともにすぐにでも(Very Soon)QT規模を縮小するとFOMCで発表しつつ、今年の経済成長見通しを1.4%からシレっと2.1%に、コアインフレ(PCEコア)を2.4%から2.6%にそれぞれ上方修正した。パウエル議長はその上で、年3回の利下げと発言したわけだ。

この構図、よく見るとドル円は完全に円高方向に動かないと帳尻が合わないはずなんだけど、現実には円安となって現時点で¥151.429となって週末取引を終えている。なぜ!?あえて言えば、違和感が全く否めないんだよねぇ・・・。

ドル円の動きもそうだけど、日米中銀の政策そのものについても、滅茶苦茶納得できないというか、現時点では拭いきれない疑問というか、いろいろ考える部分が満載なんだよ。当然日米マーケットに投資する大きなファンドは、一緒くたに両中銀の政策に対して「好感」ということで、目先は片付けようとしたけれど、彼らはプロ中のプロなのだから、ここに潜む大きな矛盾について、いろいろ分析したりして考えてるだろうな、と思う。

俺はただの素人の個人投資家なのだから、偉そうなことは言えないけれど、今回の日銀政策決定会合とFOMCに関しては、思うところも相当あるのでちょっと書いてみます。

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日銀(植田総裁)の何故!?

今回の日本の賃上げでは、大企業、中小企業、非正規と言った各セクタの賃金格差は別として全体として前年比で5.5%の賃上げとなったらしい。これを金額ベースでラフに試算すると年間約10兆円の賃上げとなったという事なんだけど、これって金額ベースではCPIコアコアインフレ3.0%と金額ではほぼ同額なんだよ。

結局今回の春闘では、組合側は何を考えているのか分からないんだけど、需給ギャップを埋めるだけのベアを要求することさえしなかったし、企業は(特に大企業は)安く済んだってニコニコしてるんじゃないかな。

で、そうした日本の賃上げ事情を注視した日銀は、「マイナス金利を解除する土壌として十分」としたわけだけど、なお実質所得はプラスには転じない。岸田政権が所得税減税やら給付金を実施する6月以降にようやく一旦は実質所得がプラスに転じる、という試算もあるけれど、そこまで待てない日銀ってどうなの?って普通は思うよ。

日本経済は「フェーズが変わった!インフレ転換だ!」と祭りを決め込んでいる間にも、経産省の再エネ賦課金の値上げとか、財務省のインボイス導入、復興特別税延長、国民年金納付5年延長、森林環境税導入、退職金控除減額、後期高齢者医療費改定、金融所得課税、相続税生前贈与7年延長・・・控除減額など細かいものまで数えたらキリがない増税が2024年度内にも着々と行われる。

賃金総額は企業の所得移転、所得再分配なんだけど、結局5.5%のベアの内、一体どの程度需給ギャップを埋める効果が残るのか?という事さえ、日銀は考慮していないように見える。

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結局日銀の金融政策変更というのは、住宅ローン等各種ローンの負担増も発生させるわけで、そうなってくると何のためにこの時期に政策変更したのかわからなくなってくるのでは?つまり、日本経済の「祭り」を楽しんだ後は、「後片付け」に苦労するという負の部分を考えるべきじゃないの?って思う。

だったら日銀は素直に「インフレファイトします!」と言うべきだったのではないのかねぇ・・・。インフレを止めないと日本経済は腰折れます、とはっきり言って、政策変更すべきだった。そもそもこの1年間、政策目標であるCPI2%をずっと上回っているわけだから。それが今回は完全に逆効果になって、円安が進んでしまい、さらにコストプッシュインフレを助長してる・・・。

それでインフレが高まったら、また利上げを持ち出す・・・。はっきり言って植田総裁ってただの人だね。岸田首相も、賃上げ、賃上げと何度も繰り返しているけれど、要は財務相にとっては賃上げこそが自分たちの財源なんだという考え方。企業が賃上げしないから、景気は上向かないということを後になって必ず言い出します。マイナス金利を解除すれば金融機関は儲かります。その結果法人税も増えるでしょ。

結局結論としては日銀は財務相の税収最大化のために動いていて、経済の状況はどうあれ、新年度前に金融政策を変更しておきたかったというのが本音かも。植田総裁の仕事は如何に2025年とか2026年に消費増税が出来る下地を作ることです。だから金融政策は足下の日本経済の状況の通りに細かく政策をフィットさせていくだけ。将来的な展望は何もないし、当然政策誘導も出来ないね。将来を見ない中銀総裁なんて個人投資家以下だな。



FRB(パウエル議長)の何故!?

GDP成長見通しを大幅に上方修正しておきながら、利下げは3回します、と言う・・・。矛盾と言うよりも意味不明の今回のFOMC。それにもまして物価見通しも上方修正・・・。これをどう解釈していいのか、この週末はずっと考えてますよ。

もしかして、経済の成長見通しは3回の利下げを織り込んだから?物価上昇も要因は利下げ?

終始ハト派的な発言を、FOMC後の会見で見せたパウエル議長だけど、個人的にはFRBの大きな政策転換があったのかもしれない、と思うようになってきた。

昨年までのFRBは?と言えば、急速な利上げが経済にどんな悪影響があるのか、ビクビクしてたという感じだった。インフレは確かに低下してきたけれど、雇用統計や消費が堅調だからいつ再燃するのかと言う懸念もあった。また長短金利の逆転をどこまで米国金融が耐えられるのか?という大きな懸念もあった。

けれども年が明けても、米国大手企業の業績は思ったほど後退することはなかったし、統計上の雇用統計は堅調を維持した。さりとて、大きな懸念に直面している商業用不動産問題や地銀の財務は悪いまま。このままでは破綻続出も時間の問題というところに来ている。

そうした諸々の状況を考えて、敢えてインフレ懸念はもうない、と判断して金融政策の舵を切ろうとしている。その意味では、年3回の利下げと言うのは、FRBが敢えてインフレリスクを取りに行ったと考えるべきかもしれない。

昨今の生成AIブームで新たな米国経済に対する成長期待も出てきた。日銀が過度の金融引き締めを行わず、金融緩和を維持するということで、今後も日本が流動性を供給し続けるということも、FRBの引き締め効果を緩和してしまう。と言うことはFRBがどれだけ金融引き締めをしても、マーケットには響かないことも証明されつつある。その上、大統領選挙イヤーでもありバイデン政権は財政を今まで以上にふかしてくる。ならば、これ以上の金融引き締めは、インフレが再燃しない限り無駄なのではないか?ということに至ったと思う。いや、そうとしか思えない。

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2024年は本当の世界バブル元年!?

株価と景気、株価と業績は連動するものと考えて、いままで数々の矛盾に対して賭けてきた。けれども、今のマーケットはそういう理屈を必ずしも織り込むように動いてはいないのでは?と思うようになってきた。周知の事実だけど、日本の場合輸出企業の業績が円安によって大幅に増大しても、国内経済は疲弊するばかりで、好景気の兆しも見えてこなかったから、日本株に対して常にネガティブな目線しか持てなかった。

まして米国の政府や州、企業や個人のファイナンス状況があまりにも悪く、この中で従来通りの経済成長が維持できるのか、株価は右肩上がりを続けて行けるのか、という疑問を払しょくできなかったし、今も楽観など出来る状況ではないと思っている。

行き過ぎた株価上昇は、必ず調整局面を迎えるということに疑の余地はないと思うし、米国の著名投資家も大企業トップも一様に相場の過熱を意識して持ち株を処分し続けているからなおさらだ。

そんな中、昨夜改めて人民元の対ドルレートを見てみると、大きく変動するような兆候は見られなかった。人民元安傾向ではあるものの、2022年10月の人民元安ピークを越えてはいない。つまり、手の打ちようがないほどに悪化した中国経済だけれども、相変わらず人民元の価値はドルに裏付けられている・・・。管理相場制という特殊事情があるものの、上限張り付きみたいな事態には至っていない。

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これをどう考えればいいかとしばし思いを巡らせたけれど、これは人民元とドルの関係と言うよりも、世界的な傾向であって、つまりは変動相場制と言うのは、通貨の価値を保証するものではなくて、流通量を均衡点でバランスを取っているのに過ぎないのではないか?と考えざるを得ないと思った。

通貨の価値と言う点では、本質的には流通量が2倍になれば価値は1/2になるはず・・・。ところが変動相場制には通貨の価値基準は適応されない。通貨の価値とは通貨への信認以外にない。けれども、そうは言っても止めどもなく流通量を増やせばインフレになるということが今回は証明されたわけで、中央銀行に突き付けられた課題は、巧妙にインフレを回避できるなら、今後も流動性を増加させ経済成長を実現する、と言う事なのだろう。

通貨の信認が継続できるなら負債はいくら増えても、減らすことにどれだけの意味があるのか?ということ。それが資本主義の本質だ、とでも言いたそうだけど、実際その通りなのだと認めざるを得ない部分がある。

今月、スイス中銀が利下げに踏み切った。そして5月にはECBも利下げに転じると言われているし、そのんかでFRBも年3回の利下げとQT緩和を表明した。日銀はマイナス金利は解除したものの、大きな利上げの意思は今のところないわけで、金融緩和継続ということ。

そうなると、日銀は特殊だけれど、全世界で一斉に金融緩和方向で横並びするということになる。ドルもユーロも円も人民元も、各国各地域事情は異なれど、緩和フェーズに突入することは間違いない。このまま世界の金融秩序が維持されると仮定して、金融緩和のスタートラインに立つ2024年が、本格的なバブル元年かもしれないという可能性を感じるようになってきた。

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