米国の属国としての日本(1):日航123便の矛盾
- 2024.07.13
- 放言
癌ということで医師から余命4ヵ月と宣告されていた経済評論家の森永卓郎氏とノンフィクション作家の青山透子氏の1985年に墜落した日航123便に関する著書が、改めて話題になっている。元日航客室乗務員だった青山氏は日航退職後、事故調査委員会の調査に疑問を持ち、東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程を修了、博士号取得。大学院等研究機関で、日航123便墜落に関連した35年間の資料、日本国および米国公文書を精査して調査を重ね複数の著書を出している筋金入りの人で、今の日本では最もこの事故に関する深い知識と情報を持っているといっても過言ではないと思う。
森永卓郎氏は独協大学教授と言うよりはかつてバラエティーにも積極的に出演すると言ったタレント的要素のある人で、その言動もいささか軽いという印象は否めなかったけれど、余命4ヵ月を宣告されて以来遺言のつもりで日航123便やワクチンに関する持論を展開中。123便事故に関しては事実に基づく独自の分析を行い、青山透子氏と意見交換を行い、両者の見解はほぼ一致している。
(個人的には夏になると年中行事のように思い出す事故であるとともに、自分自身のその後の人生にも結構な影響があったことで、今となってはひときわ灌漑深くもあるのだが、とりあえずそのことは置いておくとする。)
以前公開されたフライトレコーダーの一部を聴いた。これは当時出版された123便事故に関するハードカバーにCDが付録していたからだが、生々しい様子は十分に伝わったけれどノイズのために聞き取れない部分が多すぎた。知り合いが搭乗していたわけではなかったけれど、史上最悪の航空機事故ということで関心を持たずにはいられなかったし、その夏から秋にかけては事故報道一色だったのを記憶してる。
さて、唐突に日航123便の話題を挙げたのには理由があって、青山氏と森永氏は、123便が伊丹空港で尻もち事故を起こしたことで破損した圧力隔壁に対するボーイング社の修理ミスが原因とする事故調査委員会の結論に対し、異議を唱え捲っていて、そのことが単なる推測ではなく強烈な説得力を持っているから。要するに・・・
日航機は伊豆半島を横切る手前で垂直尾翼に物理的な応力を受け垂直尾翼を破損、油圧系統が破壊されるとともに徐々に機内の圧力が低下してゆき、横田基地への緊急着陸の許可を得て向かおうとしたけれど、なぜか突然機首を内陸に向けた。スクランブルした自衛隊機が伴走飛行していたが、御巣鷹の尾根に衝突寸前にエンジンの1基が木っ端微塵にバースト。その直後に尾根に突っ込んだ。米軍はもちろん自衛隊も墜落位置を認識していたのもかかわらず不明とされ、翌朝になって公式に発表されたという経緯を辿る。
がしかし、4基中のエンジン1基がバーストした事実、発表と異なる数々の目撃証言、上野村村長が群馬県や運輸省に事故直後に連絡した事実、墜落現場の航空燃料とは異なる異様な匂い、墜落部の尾根上の辺り一面が焼けただれていること、犠牲になった乗客のおびただしい炭化した遺体破片・・・。根本的に飛行中圧力隔壁が破損した場合に起こる事象が起こっていないこと。高度7000メートルでの事故にもかかわらず、コックピットのクルーは酸素マスクを着用していない、等々。決定的なのが伊豆沖深度170メートルの海底にある垂直尾翼や機体の破片を引き上げようとしなかったこと(現在は捜索によって発見されているのだが・・・)。
全ては事故調査委員会の報告とは矛盾することばかりなのだ。
フジテレビの報道カメラマンが、朝一番で地元の消防団員と墜落現場を目指したが、地元の住民でさえ何度も道を間違えるほどの場所。苦労してようやく尾根に上がったときには20名近い自衛隊員がすでに活動をしていた。その時にはまだ生存者は発見されていなかったが、消防団員が尾根下の残骸の中に生存者を発見すると、即席の担架に乗せて救助した。それから本格的に生存者の確認が行われ、4名の生存が確認されたわけだが・・・。2名はヘリで吊り上げられて救助されることになった。この救助劇にもおかしな点が山ほどある。
生存者の証言から後に墜落直後には相当数(100名近い?)の生存者がいた可能性が指摘されたが、なぜか遅れて現場に到着された消防団員が生存者の第一発見者だった。すでに自衛隊は到着し何らかの作業をしていたにもかかわらず、救助活動はしていなかった。
両者の著書を読み進むうちに、この史上最悪の航空機事故の処理が、事故調査委員会の報告も含めて如何に杜撰で矛盾に満ちたものであるか、を感じざるを得ない。そしていまだに海中に沈む事故機の破片は回収されず、ボイスレコーダーもフライトレコーダーも未公開のまま。関連する裁判で証拠採用さえ行われない始末。
こうした数々の矛盾を指摘すれば「陰謀論」と決めつけられる風潮は、単に社会の変化と言う話ではないだろう。昨日、防衛省は制服組や自衛官の空前の一斉処分を行った。理由は「特定秘密保護義務違反」「海自の潜水艦関係者への川崎重工の賄賂」「パワハラ、セクハラの頻発」ということ。
現在は川崎重工との潜水艦修理契約に関し、隊員の規律違反や契約の不適切に関し特別防衛監査が行われているというけれど、こうなってくると慣習化していると考えるのが通常で、空自、陸自も同様な事実があるのではないか?と疑われる。
そしてこの秋には空自が、茨木県と北海道で、NATO軍との合同演習を行うという・・・。
123便の件も含めて、情報を適切に国民に開示しない自衛隊を果たして国民は信頼するだろうか?日本政府は防衛予算を2倍にしたが、そのほとんどはトマホークミサイルの購入に充てられるという・・・。隊員数が急激に減少して、少子化の中で志願者も全く集まらない状況で、災害救助要因としての役割だけ国民に期待されるというのは、本来の国防からは大きく乖離した存在と言わざるを得ない。
その上、NATO軍との合同演習をするということは、ウクライナ支援と大きく関連するだろうし、言い換えると本格的にロシアや北朝鮮、中国と構えることになりかねない。北方領土返還は絶望的になるだろう。一体何故にこうした行動に出るというのか?
今日本社会には矛盾が噴き出ているけれど、幾人かの保守派の評論家が言うように、すべては米国の属国という日本の立場故のような気がする。そしてその属国化が急速に始まったのは、もしかしたらこの日航123便事故に起因するかもしれないと思う。この事故は多くの矛盾を抱えたまま、強引に幕引きとなったけれど、時の首相、中曽根康弘とロナルド・レーガン米大統領との間で交わされた密約は、明らかに日本を売国したということだろう。日の出山荘でロン・ヤスと呼び合い、談笑していた裏にあった恐ろしい密約。中曽根は「墓場まで持ってゆく」と生前宣言して、その通りになった。
最後の最後まで、中曽根は悪人を演じきったのかもしれない。
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