限界点!イスラエルのガザ学校攻撃とウクライナの越境攻撃

限界点!イスラエルのガザ学校攻撃とウクライナの越境攻撃

イスラエルがガザ地区の学校を自爆ドローン3発で攻撃し、子供を含む約100名を殺傷した。イスラエルの言い分は学校の地下にハマスの拠点があるからだ、というもの。これに対して国際社会は、猛然と厳しい批判を始めていて、イランはその国際社会の世論を味方に付けてイスラエルへの報復を行おうとしている。

イスラエルはイランの首都テヘランで、滞在中のハマスの最高指導者ハニーヤ氏を殺害したとされる。当初イラン当局は滞在施設へのミサイル攻撃があった、と発表したが、ニューヨークタイムスが設置された爆発物の遠隔操作で爆殺されたと真相を暴露して、イラン国内は混乱状態にある。

一方のイスラエルでは、軍や諜報機関、そして内閣にも厭戦気運が高まっていて、国内世論も早期停戦を要求しているにもかかわらずネタニヤフ首相だけが、対イラン交戦論を主張し、イラン国内の直接攻撃を行う構えであるという。イスラエルとガザ地区を支配するハマスとの交戦は、レバノンのヒズボラを巻き込む戦闘にエスカレートした。さらにハマスの最高指導者をイラン国内で爆殺したとすれば、これは完全にイランを戦争に引きずり込むための挑発となる。

イランはイランで国際社会に復帰しつつある現状を鑑み、国際法に対して合法的に報復すると主張しているけれど、その報復攻撃があればイスラエルは本格的にイランに対しミサイル攻撃を仕掛ける準備をネタニヤフは命令しているといわれる。イランはイスラエルのそうした行動を察知し、ロシアからミサイル防空システムを供与され、運用準備を始めている。

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こうした経緯を考えると、イスラエルの目的はイランとの交戦状態を作り出すことであって、ガザ地区の学校攻撃などはまさにイランへの挑発行為の一環ということだ。

ここまでくるとイスラエルの軍事的行動は、限界点に達していると言っても過言ではないし、米国のネオコンに支持されたネタニヤフがイランへの先制攻撃を仕掛けた瞬間に、戦争状態が本格化してしまうということになる。

そんな中東情勢を尻目に、ウクライナ軍は遂にロシアへの越境攻撃を猛烈な勢いで開始した。ゼレンスキーは米国の大統領選挙までに、自国優位の状況を作っておきたいというのが本音なのだろう。最新の欧米から供与された兵器を一斉に投入したこの越境侵攻に対し、ロシア軍は想定外の事態ということで、対応に苦慮していると言われている。とにかく進撃スピードが桁違いに早いと言われていて、その理由こそが米国が供与した最新の兵器の使用を許可したことにあるらしい。

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このウクライナ軍の攻撃はプーチンを大いに刺激するに違いない。結局ウクライナの立場はロシアが越境してきて軍事力でウクライナの一部を奪取したという、侵略行為であるということが、国際世論を味方に付けることになったわけで、これでウクライナ軍もまたロシアに対し越境攻撃を仕掛けたわけで、そうなるとただの戦争ということになるのではないか?

またこうした事態こそ、プーチンが最も恐れていたNATO軍によるロシアへの軍事的・直接的な脅威の具体化に等しいわけで、その観点からすると、プーチンも従来型の対応では済まなくなる。その結果、さらなる大規模な戦争状態に突入する可能性が高い。

この二つの地域の紛争は、これ以上エスカレートすれば、取り返しのつかない事態に発展する可能性がある。イスラエルのネタニヤフ首相にとってイランへの攻撃は、昨年の就任当初の公約でもあった。ヒズボラやフーシ派といったイスラム勢力を使い絶え間なく小競り合いを繰り返されるのはもう限界だということ。反面強引なパレスチナ入植を繰り返しパレスチナの領土を奪い取る手法を繰り返すこともまた、イスラム勢力の反感を買っている。

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ウクライナはミンスク合意にもかかわらず、ウクライナ領土内のロシア人の権利を守ろうとせず、一方的に合意を破棄してきたことが、ロシアの反感を買っていた。そしてウクライナがNATO加盟を申請する態度を見せると、プーチンは武力でウクライナへと侵攻した。それに対し、G7各国は米国を中心にウクライナ支援を決め、特に英国首相であったボリス・ジョンソンは、トルコの仲介で始まったロシアとの停戦協議をゼレンスキーに破棄させた・・・。

イスラエルとイラン、ハマス、そしてウクライナとロシアの双方にそれなりの言い分があるのが戦争だ。なので安易に白黒つけられないことは、十分に理解できるけれど、この2つの戦争を焚きつけているのが米国であるという事実は、なんとも拭い難い。すでにウクライナに対し2兆円以上の資金援助をしている岸田政権も、この戦争に加担しているわけで、なんとも情けない気持ちになる。

 

ただし、今に至って両方の紛争は沸点を迎える可能性が濃厚となってきた。そしてそれが世界のマーケットに悪影響を与える深刻な地政学リスクとなりえる状況に到達したと言えるのではないか?すでに限界点に到達している以上、株式投資でもこれ以上無視するわけには行かなくなる事態も近々訪れるに違いない。