日米経済の行方を考える。株式市場大揺れの予感の根拠

日米経済の行方を考える。株式市場大揺れの予感の根拠

米国1月小売売上高が2年ぶりの大幅減になった。いよいよ米国国民の不思議なほどの楽観が剥落しつつあるのかもしれない。

22:30

アメリカ・小売売上高 01月 [前月比]

+11.5pips 0.4%(0.7%) -0.2% -0.9%
22:30

アメリカ・小売売上高 01月 [自動車除くコア・前月比]

+11.5pips 0.4%(0.7%) 0.3% -0.4%

前回12月の小売売上高は両指数とも0.4%から0.7%に改定されていたので、それを考慮すれば驚くほどの落ち込みとは言えないのかもしれない。11月~12月はクリスマス商戦で小売売上高がピークになる時期なので、1月は前月比較で落ち込むのは当然のこと。けれども今回の場合はちょっといつもとは事情が異なるからね。

まずFRBはトランプ大統領の圧力にもかかわらず1月は利下げを見送った。インフレがリバウンド傾向を示したのが要因だけど、実際に2月12日発表の1月CPIはコア指数ともに上昇した。幸いカナダ・メキシコ・中国に対する25%関税引き上げ(中国は10%)は、1ヵ月延期となったけれど、依然物価上昇要因として残っている。また鉄鋼・アルミの関税については、相手国に関わらず3月12日より25%関税を発効とし、さらにトランプ大統領は相互主義を掲げ、4月1日から適用するという大統領令に署名した。

この関税政策をすれば、一時的に物価は上昇し、その結果消費が落ち込むことをトランプ大統領は熟知しているにもかかわらず、米国国内産業を再生するには必要な政策だと主張している。また不法移民の強制退去も始まっていて、今後は徐々に労働力不足が見え始めると思われ、賃金水準はジワジワと上昇せざるを得ないと思われ、結果的にインフレ傾向は続くと思われる。

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FRBが利下げを出来ない中で、インフレがリバウンドすることを米国民は実生活のなかで感じ始めているのではないかと思う。

今のところ具体的な言及はないにしても、トランプ大統領はこれらのカウンターポリシーとして法人税、所得税の減税を計画しているけれど、これはインフレを助長するという側面が強いので、FRBは利下げが非常に遣り辛い局面に追い込まれるだろうし、場合によっては利上げもあり得ると思う。

この辺りが、大胆な構造改革を志向するトランプ政策の「痛み」の部分なのではないかな。

それに株式市場がどう反応するかは、投資家それぞれで見方が異なると思うけれど、いまは大多数の米国国民のファイナンスは限界に達していて、此の先金利が高止まりするとさらなる消費の落ち込みがあるだろう。

バイデン(民主党)政権時代は、インフレに成りFRBが大幅な利上げを行っても、財政を大盤振る舞いしてしまい、結果として景気の落ち込みは予想外に少なかったし、株価も急落する場面は少なくて米国経済のカネ余り状態は維持され、株価は右肩上がりとなった。なので米国経済は強いのか弱いのか分からないような状況になって、そこにAIブームが被さってきて今日に至っている。

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ところがトランプ(共和党)政権は、当然肥大化した政府財政を立て直し、莫大な国債金利支払いを押さえなければ、近い将来ドルへの信認が揺らぐと判断しているわけで、連邦政府を大胆にスリム化し、財政支出増大による景気底上げをやるべきではないという立場。そのカウンターポリシーがFRBの利下げという理論づけなのだ。これはバイデン政権とは真逆な政策だからね。

だからこそ、FRBの利下げはトランプ政権の政策の成否を握るとトランプ大統領は考えている。大胆な米国社会の構造改革には大きな痛みを伴うのは覚悟の上で、それを和らげる減税や利下げは必要と考えるのは当然だと思うけど・・・。

日本も同じようなものだけど、一般的に財政支出を拡大すれば、当然のこととして広く国民には行きわたらず、あらゆる場所で公金チューチューのオンパレードになる。汚職が蔓延し、汚職まがいの資金使途ばかりが膨大に増える。要は立場を利用して美味しい思いをする輩が急増するのだ。

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米国ではその象徴的な極悪な連邦組織であるUSAID(米国国際開発局)の組織解体が始まった。この組織の昨年予算は約6兆円で、これを米国内外にバラまくというのが仕事であって、イーロンマスクによればそのほとんどは使途が不明かまたは無意味なものと指摘された。それに先立ってトランプ政権は公式に対外政府援助を打ち切りを表明していたから、それに加えてUSAIDがばら撒く予算も凍結したことになる。

USAIDの予算は、表向きには人権やLGBTQ擁護の団体や、メディア、等にバラまかれ、その結果世界のリベラル化が急速に進んだ。その結果日本でさえ、社会の風潮が変わりつつあり偏向報道が当たり前の世界になってしまった。世界が変わる根底にはいつでも膨大な資金の流れがあるということだ。

個人的にはトランプ大統領の政策を強く支持する。その結果痛みを伴うとしてもそれはそれで享受すべき痛みなんじゃないかと思う。いまの石破政権が、財務省がまともであれば、日銀の金融政策正常化は理解できるとしても、政府・財務省、が増税ばかり考え、その中で日銀が利上げを志向したら、日本人の暮らしが良くなるはずがないばかりか、これからどん底が待ってると思う。