米国の債務スパイラルの入り口に差し掛かる!

米国の債務スパイラルの入り口に差し掛かる!

このままでは米国は、米国経済、とは言い辛いけれど米国連邦政府は、債務スパイラルへの道を確定させるかなくなってしまう。これがまだ新型コロナ前なら何とかなったかもしれないけれど、新型コロナがトランプの第一次政権で勃発し、バイデン政権になると財政出動に歯止めがかからなくなった。

百歩譲って新型コロナ対策での緊急的な財政出動は不可避だったかもしれないけれど、無能なバイデン政権はLGBTやらウクライナ戦争というとんでもない浪費をさらに積み上げた。その連邦予算を調達するのにイエレン財務長官はひたすら短期国債を積み上げることでしか対応できなかった。インフレになってしまったからだ。

実際米国経済は2024年までは、あり得ないほどの好調を維持した。インフレが急上昇して金利が急騰したにもかかわらず、米国民は景気悪化など眼中になかった。主な資産クラスである株価が変調をきたしても、すぐにFRBと連邦政府がジャブジャブにしてくれて回復してしまっていたからだ。

それは売り専の個人投資家としても十分に実感できたこと。株価が急落し始めたら、すぐさま買い戻すポイントを探らないといけなかったから。下げた株価は戻る、戻って上値をブレイクし上昇トレンドを維持する、というのが鉄板だったからだ。

けれどもこのブログでも何度も書いてきたけれど、経済の好調はM2マネーストックに正比例しているだけ。とにかくFRBや連邦政府がマネーを民間にバラまけばいつだって経済は回復するのだ。このサイクルは手元にキャッシュが無くても国債で調達すればいくらでも維持できる。

Advertisement

政治家が選挙で勝には緊縮財政なんか言えやしない。バラ色の未来を提示して集票し、選挙に勝つと今度は常に支持率を問われ、監視されることになる。支持率を維持するためには、延々と甘い蜜を垂れ流すしかなくなってしまう。その結果、財政赤字は止めどもなく増加し続けるしかなくなってしまう・・・。

米国は雇用が絶好調で、消費はそれ以上考えられないほどの好調さを維持してきた。政府同様に個人のレベルでも「良い暮らし」を維持するために、連邦政府と同じマインドで消費を先行させる。広い家に住み替える、新車に買え替える、いい服を着ていいものを食べたい。それが、生きるということ。

そのために手元にキャッシュが無くても、借りれば済むというマインド。インフレになり賃金も上昇すれば今の借金は時間が立てば実質的に縮小するから大丈夫、という具合。そうしたマインドはインフレで金利が上昇しても不思議と変わることはなかった。

Advertisement

このことはFRBでさえ予測できなかったこと。インフレ対策で金利を急激に引き上げたなら、米国経済はリセッションになり失業率が上昇することをFOMCでも予測していた。けれども実際は、その予測は大きく外れて米国の雇用と消費は全く落ちなかったのだ。

パウエル議長は先日の60ミニッツというTV番組に出演し、米国の連邦債務問題について聞かれ、「それはFRBが口を出す問題じゃない」と答えた。少々憤慨したインタビュアーが「でもFRBは米国経済の中央銀行ですよ」と突っ込むと、パウエル議長は本音を漏らした。

「正直今の事態はこのままでは持続不可能であるということは議論の余地がない」
「いま、財政の持続可能性を議論する時期いに来ている」

と明言した。インタビュアーが「緊急ですか」と聞くと「その通りだ」と断言している。

少なくともパウエル議長はいまの連邦政府の置かれた状況を十分に理解しているわけで、恐らく相当な危機感を持っているだろう。そしてこのまま景気が悪化していくこと予期していて「利下げタイミング」を計っていると思う。

Advertisement

愚かなことに民主党は痴呆の大統領を祭り上げ、この財政バブル景気を謳歌していた。新型コロナが収束すると今度はLGBTを持ち出して、愚かな政府支出を拡大するとともに、ウクライナ戦争に加担し軍事支出も拡大、不法移民を受け入れ、望外な補助金を支給した。FRBがインフレ対策で金融を引き締めようとも、そんなことは一切無視していた。

多少の社会問題、国際問題は無視しても、この連邦政府のジャブジャブに歯止めを掛ける政治家は民主党にはもちろん、共和党でさえ誰一人として現れなかった。目の前にとんでもない財政の崖が迫っているにもかかわらず、である。ただ一人だけ、ドナルド・トランプを除いて。

米連邦政府は2025年上期(6月まで)に、長短合わせて1400兆円の国債償還期日を迎えてしまう。実に米国連邦債務残高の24%の返済期日である。多くは低金利時代の国債であるけれど、イエレン財務長官がロールオーバー出来なかった高金利の短期国債も含まれる。

当然のこととしてわずかしか償還できずに大半を中長期国債にロールオーバーしなければ、目先の債務危機は乗り越えられない。2024年の米国国家予算は約900兆円なのだから実にその1.55倍もの償還である。トランプ大統領が就任当初から脱兎のごとく厳しい政策を繰り出しているのはまさにこの債務のロールオーバーを低金利で乗り越えようとしているから。その後も見据えてイーロンマスクに依頼し連邦予算を削りまくっていることは周知の事実だ。

Advertisement

仮にこれを現行金利4.300の10年国債でロールオーバーすると、年間の利払いが60兆円近いものになる。ちなみに2024年の米国政府予算に占める利払い額は約160兆円だった。これが現行金利水準で毎年ロールオバーされてしまい、その上現状のような連邦予算の拡大が続けば、既存発行分の国債金利を含め年間の利払いが10年後には約400兆円になるという試算もある。

これがパウエル議長が「持続不可能」と断言した連邦政府の債務実態に他ならないし、言い換えれば遅かれ早かれドルに対する信用喪失に至る可能性は非常に高いということだ。

今回のロールオーバーに失敗すれば、少なくとも米国債の格付けは維持できないだろうし、金利は急騰することになり、それはたちまち米国金融機関を破綻させかねない。そしてそれは米国のみならず世界中に伝搬し、深刻な金融危機を引き起こすことはほぼ間違いないだろう。ドルが基軸通貨であるからこそ未曾有の金融危機を引き起こす可能性さえある。

 

投資家であるなら、この難題に挑むトランプ大統領がどのような行動に出るのか予想するべきだし、それをもとに今後の株式投資、債券投資、仮想通貨や不動産、商品に対する投資を考えるべき。

株価がこのまま下落を続け、その結果、果たして長期金利が低下するだろうか?FRBがFFレートを引き下げられるだろうか?もしも金利が低下しなければ・・・。

いよいよジャブジャブに踊った世界経済がリセットされるのかもしれない。