米国2月景気指標のサプライズ!ますます混迷は深まった?

米国2月景気指標のサプライズ!ますます混迷は深まった?

一体強いのか弱いのか、ますます分からなくなってきた米国経済模様!先ごろ発表された米国の2月住宅着工件数関連と2月鉱工業生産指数が、予想を大きく裏切る結果となって、株式市場にとってはサプライズとなった。

昨日までの米国市場は経済指数が弱ければ、FRBの利下げに直結するということで、株価は急激な戻りを演じてきたわけだが、そうした流れは今夜の指標で大きく裏切られたことになったわけ。

こういう傾向になってくると、やはり懸念すべきは消費が振るわない中での物価上昇という、所謂スタグフレーションに落ち込むのではないかという不安だよね。

予想以上の増加となった米国2月住宅着工件数

21:30

アメリカ・住宅着工件数 02月 [住宅着工件数]

-7.1pips 136.6万件(135.0万件) 138.5万件 150.1万件
21:30

アメリカ・住宅着工件数 02月 [住宅着工件数・前月比]

-7.1pips -9.8%(-11.5%) 1.0% 11.2%
21:30

アメリカ・住宅着工件数 02月 [住宅建築許可件数]

-7.1pips 147.3万件 145.2万件 145.6万件
21:30

アメリカ・住宅着工件数 02月 [住宅建築許可件数・前月比]

-7.1pips -0.6% -1.6% -1.2%

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米国2月鉱工業生産指数で製造業は1年ぶりの大幅な伸び

22:15

アメリカ・鉱工業生産指数 02月 [前月比]

+2.1pips 0.5%(0.3%) 0.3% 0.7%
22:15

アメリカ・鉱工業生産指数 02月 [設備稼働率]

+2.1pips 77.8%(77.7%) 77.8% 78.2%

どうしても気になるのは前日からのベッセント財務長官の発言だよ。「株価は懸念しなくても通常の調整局面」と言い放ち、昨日は「基調的な経済は健全で、リセッションを想定する根拠はない」と。

でも、経済が政府支出依存から移行するうえで「休止」はあるかもしれない、としっかり付け加えているけれどね。

いずれにしても住宅関連と鉱工業生産はサプライズであって、この発言が明日のFOMC後のパウエル議長会見にどうつながるんだろう、というのが焦点かも。やはり米国長期金利(10年国債金利)を下げたいのならば、そして個人消費の悪化を考慮して「インフレの再建懸念はない」くらいの発言はするのかも。そして「利下げを視野に入れている」くらいのニュアンスを持たせるかもしれないけどね。

いずれにしても約1400兆円の償還を現行金利でロールオーバーすれば、デフォルトは回避できたとしても財務状況は悪化することになる。そうなれば、債券市場は大いに荒れることになる。6月と言えばトランプ関税の影響がかなり出始めるころだろうから、一部償還もせざるを得ないのだろうけど。

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とりあえずベッセント財務長官の口先介入は効いた格好だけど。

トランプ政権は「支出を抑制するとともに、製造業を国内に戻し、働く米国民にとってこの国をより暮らしやすくしていく」と締めくくったけど、どう考えてもそんなことを強引に推し進めると、スタグフレーションは避けられない気がするけど。

一度「楽」を覚えた米国民が「製造業に回帰する」なんて思えないけどねぇ・・・。もともと厄介な重労働は建国の時から黒人にやらせてた国民性もあるしね。製造業を国内に戻せば戻すほど、高コストで価格上昇となるのは避けられないし、そうしないと国内には戻ってこないよ。またそうなったら米国製品は輸出で売れなくなってしまう・・・。

でもトランプはドル安にしたいんだ。その辺がトランプ政策の大いなる矛盾だと思うし、だからこそ株式市場は右往左往してしまう。どうなるか・・・先行きが読めないという部分だね。