ニデック(旧日本電産)の不正会計について

ニデック(旧日本電産)の不正会計について

NIDECの不正会計の原因はすべて、過酷な事業ノルマにあると思う。憶測記事で申し訳ないけれど、過去に日本電産とほんの少しだけ関係を持った経験がある。その時は同社某事業所の工場長と技術的な課題について激論を交わしたわけだが、そのことが懐かしい。

課題はファンの「流体軸受け」についての物だった。ファンの寿命を支配するのは軸受け構造にあって、それを日本電産はノンオイルで実現したと。ノンオイルと言ってもそこに空気の流れでベアリングの役目を代行させるという無理筋とも思える構造。所謂フローティング構造なのだが・・・。ファンと軸が完全バランスの回転体ならば可能性はなくはないけれど、そもそも民生品の安いファンでそんなことは望むべくもないはず・・・。

けれど、堂々とプレゼンされると可能な気持ちになってくるから不思議だ。それについて、個人的に真っ向から否定し、オイルポケットを設けた当方の構造の方が有利と対抗した。軸を囲うポケットには微細な穴が設けられ、遠心力で軸をオイルシールするという方式を考えたのだった。

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使用するオイルの粘性や微細孔の調節で3年から5年はノンストップで使えるファンだったが、コストは1.5倍になった。最終的には論破はしたもののコスト優先で行きますという事だった。

案の定、その後のロングランテストでは流体軸受け方式のファンは劣化するとまず異音が発生する。それが1年でなることもあれば2年は持つこともある。要するにばらつきが激しいのだ。自慢じゃないけれど当社のファンは、1回給油で12年、ノン給油でも9年ノンストップの実績が出来てテストを終了してます。

 

永守会長と言えば、日本電産の創業メンバーの一人で、強引なM&Aによる業態拡大に辣腕をふるった人として有名で、その業績ノルマは本当い厳しかった。到底無理なノルマを課して、やればできる、という感じでもなく、必達を厳命するのが常だった。

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一度日本電産に吸収された某企業の幹部の方と話す機会があったけれど、まともな神経ではついて行けないとぼやいていましたよ。内面と外面が極端に違っていて、退任後の回顧録は書けないだろうと言ってました。

そういう体質の企業組織なので、当然のように不正会計が行われます。社員はみんな必死なんですよ。家庭も子供もあるし、ぽしゃるわけにもいかないと思うから、不正都は重々承知の上で保身に走る。でもそれを悪事とは到底いえません。これからもメディアはいろいろ書きたてるだろうけど、そんな単純な話でもないと思いますよ。

いま、ニデックは厳しい状況に直面してると思うんです。EVに思い切り突っ込んだら各社こんな状況。中国ビジネスもなかなか思うに任せない状況。でもノルマは苛烈。

この際膿を出して、一からやり直す、みたいなことが必要と思います。名経営者とうたわれた永守会長なのですから、自身の口から申し訳ありませんでしたの一言が、社員に向けての一言が欲しいよね。