株修羅流株式相場展望2020

株修羅流株式相場展望2020

これだから買いの持ち越し(越年)は嫌なんだ。また今年も年末年始、一喜一憂というか二憂も三憂もして過ごさなきゃならないなんて堪らないよ。

昨夜の米国市場は、利益確定先行というけれど、きっかけは些細なことだった。米国当局も意気揚々と「あと一週間以内に米中合意第一弾の調印ができる」と発表したけれど、肝心の中国側の代表としてあの劉鶴副首相を、ということで「まったくやる気のなさ」を露呈し、これを「不安視した」みたいなそんなセンチメント。

そこにナバロ米大統領補佐官が言い訳がましくコメントして、戻りを台無しにした。

というか、売るためのこじ付けのような解釈。要は利食いしたくてマグマが溜まってたと言う感じなんだろう。

2019年の上昇相場の理由

今年の日本市場、日経平均の安値は年初の¥19,241。そして高値は先日の¥24,091なので、なんと日経平均でさえ¥4,850もの上昇となった。米国市場はダウの安値が$22,638で高値が$28,071ということで、$5,433もの驚異的な上昇を演じてるわけだが、日本市場も上昇幅で言えば遜色はない感じ。

だが年間を通して日米市場ともにどうしてこれほどの上昇相場となったのか、悩み通した一年となった。年初の急落(暴落)場面からスタートしたことから、ある程度戻り相場になるのは理解できるとして、米国市場は米中貿易戦争の中、7月に早くも昨年来高値を更新したわけで、そこからさらに$1,500もの上昇をする理由がほとんど見当たらない。

一方日本市場は、遂に昨年来高値を取ることはできず、米国市場が高値更新した7月の段階では、日経平均¥21,600前後まで戻しただけだった(2018年高値は¥24,448)。これは日本が米中貿易戦争の影響が最も大きいと見られていたこと、そして10月の消費増税に対する懸念が、完全に頭を抑えつけていたと思われる。

しかし、10月に消費税増税が行われた直後から、なぜか海外勢は日本株を買い戻し始めた。年初の安値から4月までは、米国同様のリバウンド相場となったわけだが、GW直前に米中合意が決裂して猛然と日本株売りが入り始めた。とにかく海外勢は裁定買いをぴたりと止めて、ひたすら売り(空売り)に傾いたし、個人投資家もそれに追従したわけだが、結局日経平均¥20,000を割ることができず、8月には米中貿易交渉に進展の兆しが見え始めたことで手仕舞いの買い戻しとなったことが、大きかった。

従って日本市場の上昇は、ある意味では海外勢の失策に起因するし、偏り過ぎたポジションの巻き戻しだったと言える。予想通り、消費税増税以降の日本経済のファンダメンタルズは悪化の一途をたどっているし、企業業績も明らかに減益基調に転換している。特に10月以降の海外勢の買いは、ファンダメンタルズの悪化の中で「米中合意」を材料にして買い戻した部分であって、それも海外勢のミステイクだと思う。

要するに、2019年の日本市場は、前半は米中対立の影響が最も大きい日本経済への懸念相場であって、結果的にはその懸念は正しかった。しかし後半は、極端なポジションをとり過ぎた海外勢の判断ミスによる需給の変化だけに左右された相場と理解できる。

冷静に相場を見ていると、海外勢とて判断ミスを度々犯していることが分かる一年だったと思う。

Advertisement

2020年の相場が厳しい理由

まず、2020年の前半相場は、10月以降の上昇分を吐きだす動きに成るのではないか?それは2月の企業決算を織り込む形で調整局面となるはずだ。

そもそも、米中合意第一弾は日本企業にとって、何の影響もないもの。米国は中国経済の悪化に対してジワジワと楔を打ち込もうとしているだけ。大統領選挙イヤーでトランプは確実に再選される政策のみを繰り出すだろう。その第一弾は農産物の強制的な購入圧力で、第一弾はそれ以外に(経済にポジティブな)合意はない。

とりあえず、農産物の手当はこれで済むことになり、次は減速を続ける製造業のテコ入れをするだろう。その意味では年初のISM製造業などは、非常に危険な経済指標となるだろう。そしてそのためにトランプ政権が繰り出せる唯一の手段は「ドル安政策」なのだ。

トランプ大統領はいまでもFRBの金融政策を批判している。「マイナス金利にしろ」と機会あるごとに発言しているのは、ドル安にしなければ米国の製造業は危機的状況だからだ。そもそも米国の製造業再生はトランプ大統領の公約の柱だった。当然2020年の選挙で民主党候補はそこを突いてくるだろう。

なので、2020年のドル円は円高方向にバイアスがかかることになると思われる。仮に日本経済が失速気味で企業業績が悪化するような状況下で、円高傾向となれば、日本株には改めて「上がり目がない」「買われる理由がない」ということになるだろう。

Advertisement

2019年はラッキー相場、今年はそうはいかない!

今年は8月以降、特に10月消費税増税以降、上昇する日本株に対して違和感以外に何も感じることはなかった。日々、「なぜ上昇するのか?」という理由を探し回って、それでも何の結論も得られずに年末を迎えることになった。

株式市場では、楽観が支配していて、買い方ワンダーの様相。アナリストは分析を放棄していたし、評論家は毎日イケイケのコメントを吐き続けていた。

しかし、いま大晦日となって改めて、「ラッキーだっただけじゃないか!」と思わざるを得ない。

Advertisement

株式相場は、経済や企業のファンダメンタルズで動くのが本来の姿だと思うし、センチメント相場は早々続くものではないと思う。だがセンチメントは需給に直結するから、そういう相場を「金融相場」と一言で片づけてしまう。金融相場であれば、何があっても不思議ではない、というのは間違いじゃないし、事実バブル相場はそうして熟成されるのだろう。

しかし、今は、ある意味AIやアルゴによる取引が相場を支配しているわけで、米国市場を見ても明らかなようにそうした相場は一方通行になり易いという性格のものだ。ならば「山高ければ谷深し」は、必ず当てはまる。

従って2020年の日本市場は、日経平均¥22,000前後でバランスを取るような動きになると思う。「買えば勝てる」という相場は終わったと思う。そして、中国経済が材料視され始めると、暴落ー恐慌も十分に視野に入ってくるのではないか?

評論家の「青菜に塩」が目に浮かぶ。

Advertisement

来年も(体調が許す限り)頑張ります

というわけで、今年、そして来年の株式相場に関して、自分なりの解釈と見通しを書かせてもらいました。来年そうなるにせよ、もう今年のようなバカバカしい相場には成って欲しくないし、まず成らないだろうと思ってます。

そしてまたぞろ北朝鮮が不穏な気配となってきました。

恐らく北朝鮮の動きは中国からの圧力があっての行動だろうと思うし、巷間言われるほどに米中関係は進展していないと言うことでしょう。そしてもしも何か(軍事的な衝突)起これば、株式市場は去年の二の舞もあり得ます。

やはり楽観過ぎた2019年後半の相場の反動が気そうな感じ・・・。

なので、以上書いてきた理由から、ある意味2020年相場こそ、「売り坊として最後にチャレンジ出来る大相場」だと感じてます。

今年はこのブログにご来場いただきありがとうございました。

今後もできる限り、現役の株野郎としての視点で、独自の切り口や考え方で頑張りますので、よろしくお願いします。

Advertisement