世界同時暴落の裏側:大資本が逃げた暴落劇は世界不況の始まりを意味する

世界同時暴落の裏側:大資本が逃げた暴落劇は世界不況の始まりを意味する

パウエルFRB議長は、28日のザラバ終了前に「米経済のファンダメンタルズは依然強い」「経済活動に対する新型事なウイルスのリスクは変質しつつある。金融当局は今後の展開と経済見通しへの影響を注視している。我々は経済を支えるための手段を活用し、適切に行動する」と表明し、3月利下げを示唆した。

株価の下落に歯止めがかからない状況に対して、たまりかねて口先介入したと言うのが正直なところだろう。結局今の株式市場、債券市場は、金融のおびただしい量的緩和によって支えられているので、リーマンショック後と同様に量的緩和を強化することしか、解決の手段を持たないと言うことだろう。

28日の米国株式市場

6日続落で▲$3,582という暴落の中、買い向かう投資家も見当たらず、ショートカバーも限定的となって一向に歯止めがかからなくなっていた。結果として象徴的な株式指数であるダウ30種平均は、▲$24,681という下値を付けて、ザラバ中の下落幅は$1,085に達し、ショートカバーで戻すも5時過ぎからは底割れの様相を呈してきたところで、パウエル議長声明が発表され、約$800の返しとなり大引けを迎えた。その後もCFDではショートカバーが継続し、前日ダウ比▲$69まで回復して取引を終了した。

結果としてダウは7日続落で、その下げ幅は▲$3,939に達した。

ダウ同様にS&P500も7日続落、そしてNASDAQも大幅下落となったが、パウエル議長声明で一様に急激な戻り相場となって、この週末が新型コロナ下落相場第二派のセリングクライマックスを形成したと言える。

米国その他指数

ボラティリティの高い株式相場では、3月の金融緩和示唆で急激に戻したものの、米国債10年物金利は史上最低レベルの1.152pで反応は限定的だった。WTI原油は、OPECがさらなる減産に踏み切ると表明しながらも、$45.27と先々の需要回復に疑問を残す格好になり、VIX指数はMAX49.48から39.40と低下したものの依然ハイボラな水準を維持している。

なかでも明確に戻りを見せたのは、SOX指数(フィラデルフィア半導体指数)で、1,705.54は前日比2.21%の上昇となって僅かにプラスしたNASDAQを牽引した。

さらにドル円は、¥112.00水準まで一気に駆け上ったと思いきや、坂道を転げ落ちるかのように週間で¥4-あまりの円高となった。

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中途半端な日本市場

言うまでもなく今回の新型コロナ暴落で、日経平均も大幅下落となったわけだが、今回FRBパウエル議長が利下げを示唆したことで、急激に円高が進むのは避けられない情勢となった。米国では3月のFRB利下げの可能性を100%とし、さらに0.500pの大幅利下げになることも70%で織り込んでいる。

そうなると流石にドル買い先行とはいえ、現水準以上のドル高は想像できず、結果的に3月には急激な円高となる可能性が濃厚となっている。

このことはつまり、日経平均は米国利下げ・株高となっても連動できない可能性を意味する。折しも消費増税の悪影響で昨年10-12月期のGDPは▲6.3%(年率換算)となり、さらに1-3月期の大幅悪化を株式市場は織り込み始めた。

昨日発表の中国2月製造業PMIは史上最低の35.7を記録し、ほぼ全面的に企業活動が停止している状況がうかがえる。また中国当局の経済優先政策によって、新型コロナの感染が再度拡大する可能性もあり、そうなれば4月以降の生産回復も限定的を考えざるを得ない。

さらに、国内感染に歯止めがかからない状況になれば、センチメントは一段と悪化する可能性もあり、日経平均の下値追いは歯止めがかからない可能性が濃厚だろう。

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新型コロナ暴落劇の見方

中国発の新型コロナウイルスの蔓延によって、世界同時株安(暴落)の様相を呈しているが、そこにはいくつかの決定的な要因が存在する。

1)中国の情報封鎖

中国での最初の感染確認は昨年の11月30日だった。そして12月中には複数の感染症研究者によって懸念が報告されていたが、武漢市当局はその事実を隠蔽した。しかし、SNS上に情報が拡散し始めると、年明けの1月7日には習近平に報告されたが、ここでも中国当局は情報を封鎖し、正式な発表はそれから2週間後となる。

その間に米国CDCは中国に対して1月の早い段階で、武漢調査すると意向を伝えたが、当局は黙殺した。

そうした経緯を考えると、米国は既に12月の早い段階で新型コロナウイルス拡散の情報を掴んでいたと思われ、また同時に1月の早い段階ではすでにCDCによる対応協議も始まっていたことになる。

そして米国は、少なくとも今回の新型コロナウイルスが自然発生由来ではないという事実を早期に掴んでいたことが明白になっている。

一方中国は感染状況の発表を開始した時点で、既に相当数の感染拡大が認められ、1月末には1100万人の人口を抱える武漢市を完全封鎖した。しかし、今回のウイルスに関する情報はどれもあやふやで、感染者数、死者数ともに、ウイルス検査や診療等が行われた中からのカウントであって、大半の国民は診療すら受けていない。つまり、公表され続けている感染者数、死者数は氷山の一角という感覚に近いものと思わざるを得ない。

従って初期段階で中国が新型コロナウイルスに関する情報を封鎖したことで、世界の医療関係者・研究者は新型コロナの特性や治療法などが分からず、「未知なるものへの恐怖」を拡大する結果となっている。症状はインフルエンザ同等かそれ以下と観察されているが、詳細な感染のデータがなく対応が困難な状況に陥っている。

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2)実態経済への影響が測れない

中国当局は国内の感染実態について正確な情報を出すことはない。既に100近い都市で人の出入りに制限が掛けられていて、実質的には工場操業などの経済活動が止まった状況がいまも続いている。春節で帰郷した工場労働者は都市部に戻れず、労働力の確保がまったくできていない。

その上物流が止まり、食料品の供給が危機的状況に陥っていて、農村部では餓死者も出る可能性がある。同時に発生した2種類の鳥インフルエンザの蔓延、猛威をふるっている豚コレラの防御も全く手につかない状況で、もはや米国、中南米からの輸入しか頼れない状況になっている。

国内は地方では既にハイパーインフレの兆候が見られ、国民生活は窮地に陥っている。

しかし中国当局はこうした実態に関する情報を統制し、ネットを完全に規制し、習近平は工場再開に全力を尽くせと命令している事実だけが、報道される有様。こうしたことがますます中国経済の実態を分からなくしているのは確実で、既に崩壊している不動産、インフラ投資、企業の資金繰り、は中国の債務規模からして数十兆円の手当では焼け石に水であることは確実だ。

3)金融緩和による手当に対し懐疑的

中国当局は2月の初めにいち早く18兆円の流動性確保を表明し、その後も段階的に数兆円規模の支援を打ちだして、金融緩和による事態収拾をアピールしている。春節後の工場再開も、2月10日としたが、実際には3月一杯は操業困難とする外資系企業が大半だ。

その間に海外に感染が広まりつつあり、各国は新型コロナ対策予算を計上して事態収拾に躍起になっている。しかし、状況を考えれば現在の中国以外の感染状況は、中国の12月時点のものに相当すると言っても過言ではない。とすれば、中国以外の国では、これから感染の拡大期を迎えると見るべきだろう。

現に日本、韓国、イタリア、イランはすでに拡大期を迎え感染者が急激に拡大しつつある。

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そうした状況になって、金融政策で事態が収拾できるのか?という懐疑論が高まりを見せつつある。リーマンショックのような、財務劣化、金融商品の流動性停止、不良債権が要因であるならば、金融緩和は有効に機能した。しかし、今回の世界経済縮小要因は、企業活動や国民政策に著しい制約が出たためであり、実体経済の縮小が金融を劣化させると言う、リーマンショックとは正反対のものだ。

もしも米国で感染者拡大が始まれば、FRBの利下げがどれほど効果的なのかは懐疑的にならざるを得ない。

いま、世界経済が抱えている危機的状況とは、金融経済ではなく、実体経済の劣化なのだ。

4)大資本の株式からの逃避

今回の株式市場の暴落劇は、金融危機によるものではない。金融相場と言われる中で、金融に大きな問題が生じることなく株式市場が暴落する要因は明らかに大資本の株式大量売却だ。

恐らく世界の大資本家は、今回の新型コロナウイルスに関する何らかの答えを得ている。そして、株式等のリスク資産は売り逃げる、という選択をしたに他ならない。でなければ、このような余りに唐突な株価暴落などあり得ない。

そうした状況の中で、FRBが僅かな利下げをしたくらいで果たして効果があるのか?と思わざるを得ないのだ。恐らく今の株式市場大暴落は、世界的な経済危機の始まりに過ぎないと思う。そうでなければ、これほど株式を売りまくる意味など何もないのだ。

今後の世界経済・株式市場の行方

1)リーマン暴落後と同様に金融緩和とリスクのせめぎ合い

米国のFRBは、金融緩和こそが今のマーケットの特効薬という見方を信じて疑わない。もちろんリーマンショック以降の世界経済は積み上がった不良債権処理と債券の流動性回復のために、ひたすら金融の量的緩和を実行し、その資金を使ってお稼ぎなさいと指導した。そして実際にこの金融緩和政策は、12年もの長きにわたって米国経済のみならず、世界経済を好景気に導いてきた。

そして今回もまた、FRBは金融緩和によって危機を乗り切ろうと動き出すことになる。

しかし、前述したように今回の株式市場の暴落は、実体経済が悪化したことによってリスク資産の株式が暴落したのだ。そして債券を含む他のローリスク資産はまったく動じていない。つまり、FRBは株価の暴落だけのために、大幅な利下げを行おうと言う根本的な過ちを犯そうとしている。

株式市場はFRBの利下げ効果に対し、幾分懐疑的である。そして今後は利下げによる緩和効果と実体経済の悪化とのせめぎ合いになるだろう。

だが今回の利下げ効果は、はっきり言って頓珍漢な政策と言わざるを得ない。

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2)実体経済は悪化の一途

新型コロナウイルスによって実体経済が大きく毀損されることは避けようもないが、これが金融商品のようにV字回復するようなイメージを持っているとすれば、大きな間違いとなるだろう。実体経済は一度悪化すると復旧はかなり困難なプロセスを歩む。

日本で3.11東北震災や原発事故、そして大雨による被害等災害によって毀損した地元経済の復興は困難を極めていることがそれを証明している。今回の新型コロナによる経済危機は、政治体制の根本を問う問題へと発展しかねない。

中国はもちろん日本や韓国では、まず政権に対する信頼度の低下を克服する必要があるのだ。当然中国は、まさに暴動や反乱によって共産党体制が崩れる可能性は相当に高い。しかも、集団感染によって人民解放軍の3割~4割が新型コロナに感染しているという情報もあり、中国の政治体制は予断を許さない。

同様に韓国の文政権も断末魔を迎えていて、なおかつ日本の安倍首相も不祥事続きの上に、新型コロナ対策の曖昧さと対中政策の優柔不安によって、国民のしじを急速に失いつつある。

経済が悪化すれば必ず政治が乱れるのだ。

3)大統領選挙までダウ$25,000を死守?

一方米国では大統領選挙の只中にある。米国民は共和党支持派、民主党支持派に二分され、支持率では民主党優勢のなかでの選挙戦となる。そこで現職のトランプ大統領の支持基盤の根底には良好な米国経済、株高がある。

今回の新型コロナの感染流行が米国内で本格化すれば、米国経済の基盤である内需が低下し、株価下落に歯止めがかからなくなる恐れがあり、そうなると盤石と言われるトランプ政権と言えど、再選は非常に困難な状況に陥る可能性も否定できない。

今回FRBパウエル議長は米国ダウ$25,000を死守するかのようなタイミングで利下げ声明を出した。恐らくトランプ政権もこのダウ$25,000水準を死守するような動きになるだろう。

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4)金融事故をどう織り込むのか?

さて、そうは言っても実体経済が悪化すれば、当然企業の倒産や債券、ローンのデフォルトリスクは高まってくる。いま、人民元のデフォルトが中国国内で止まらない状況になっているが、これが人民元建てである以上、大きなリスクとはみなされない。しかし、外資系企業の出資のデフォルト、ドル建て債のデフォルト、中国銀行の国債決算上のデフォルトとなると、話は別次元になる。

そもそも、2020年からは多くの中国企業のドル建て社債の償還も始まる。そして現時点でも海航集団の約16兆円の負債をかかえての倒産劇で、事実上多くの影響が水面下で発生しているとみられている。

こうした金融事故がこのタイミングで浮上し表面化すれば、世界のマーケットはそれをどう織り込むのか、まったく想像できない状況だ。

中国の崩壊に世界経済は耐えられるのか?

中国は米中貿易戦争によって深刻な経済的打撃を受け、その上に今回の新型コロナウイルスによる致命的とも言える経済毀損に見舞われている。政治体制はもとより、GDP世界第二位規模の経済が、破綻の危機に瀕している状況を今後の世界経済はどう対応し、処理してゆくのだろう。

今回の株式市場の暴落劇は、言いかえれば世界経済が中国の崩壊に耐えられるのか?という試練だと思う。

新型コロナウイルスの感染拡大は、これから拡大期を迎えるわけで、ソウナルト実体経済への影響はさらに深刻なものとなるが、それがどの程度なのか推測できない怖さがあるのだ。

米国の大資本は、いち早くリスク資産を手放した。しかしそうした情報はウォール街から決して外部に漏れることはない。そうした大資本家の行動を客観的に判断するなら、今回の株式市場の暴落は、一時的には反発局面を迎えようと、世界経済が不況に突入する前触れに過ぎないのかもしれない。

今回の新型コロナ蔓延には、裏の事情がある。そして同様に今回の株式市場の暴落もまた、壮大な裏事情があるに違いない。

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