ジワジワと下落する週:日本株を読め!【4.6~4.10】
- 2020.04.05
- トレード予想
4月3日(金)日経平均株価¥17,820(前週予想¥20,000)日経平均CFD¥17,724
日米相場概況
依然として米国で猛威をふるう新型コロナは、いよいよ日本も感染者急増の兆しが出てきてる。すでに感染者数は全世界で120万人を超え、死者数も65,000弱まで来ているが、特に米国は深刻な状況で、感染者は31万人超、死者数は8,500人に到達し、米国全土が新型コロナパニックとなっている。そして日本も来週中には緊急事態宣言を出さざるを得ない状況になりつつある。
米国市場概況
FRBの無制限金融緩和やトランプ政権の超大型新型コロナ対策予算にもかかわらず、株式市場は新型コロナによる世界景気減速に対し、なお一層の警戒感を強めている。衝撃的だったのは、新規失業保険申請件数で、なんと664万件/週となり前週と合わせて約1000万件の申請が行われたということで、これは過去のどんな景気減速よりも強烈なレイオフが起こっていることを意味する。
そして週末の3月雇用統計は、-10万人という予想に対し、-70.1万人という驚くべき悪化となり、失業率は3.8%予想に対し4.4%となった。
現在米国経済は、過去に経験したことのない強烈なリセッションの只中にあるといえる。
一方、トランプ大統領が、サウジとロシアの仲介に立ち、原油戦争に終止符を打つ(1000万バレル減産)とツイートし、現実にOPECプラスでは協議に入ったと伝えられているが、6日の会議は新型コロナの影響で延期された。しかし、原油価格が持ち直せば、米国のシェール企業のNYG(ジャンク債)暴落が回避できるという観測から原油価格は$29弱まで反発している。
日本市場概況
日本市場も米国ダウを連動型の値動きになっているが、大きな違いは安部政権が新型コロナ対策をいまだに発表できていないことだ。すでに主要国ではすべて対策を発表し実行に移されているが、日本はいまだに対策が実行に移される時期を計算できていない。しかも、極めて瑣末な対策内容(予算規模)であって、肝心の消費税減税を再三にわたって安部政権が否定していることで、一段と弱含む株価の動きとなっている。
日銀は先週、30日に2,004億円、1日に1,202億円、2日に1,202億円の市場介入を行ったが、日経平均株価は¥1,500以上の下落となり、買い支え効果を打ち消してしまった。すでに日銀の介入は海外投資家にタイミングを測られていて効果が剥落している。
米国ダウ日足チャート・テクニカル
米国ダウの日足チャートは形としては非常に悪いと思われる。まず、200日線と75日線がデッドクロスして完全に下落トレンド入りを現示しているだけでなく、25日線、5日線ともにクロス拒否で、長短4移動平均線が下方向となった。
テクニカルでは非常に弱い形であるとともに、上値は$22,000~$22,500に頑強なレジストラインを形成したために、新型コロナの感染状況にピーク感が出てこなければ、文句なしに下落局面を迎えると思われる。
加えて、先週の衝撃的な新規失業保険申請件数や雇用統計、失業率の悪化等労働環境の劣化が予想をはるかに上回るペースで進んでいることが、相当の悪材料として再認識される可能性が濃厚である。また相場に影響力のある企業からの下方修正や業績不振のアナウンスが重なれば、それらはダイレクトに相場に影響するような地合いとなっている。
現時点で米国の新型コロナ感染は、収束の兆しは見えず、来週も拡大ペースは止まらないだろう。現状では株価を引き上げる材料は何一つないと言える。
日経平均日足チャート・テクニカル
米国ダウに比較して、来週の日経平均は、比較的強い動きになるのではないか?と思われる。その理由は、またしてもドル買いが活発化し始めて、ドル円が円安方向に戻る兆しが出ていることだ。米国FRBを筆頭に各国中銀は、協力してドル供給を行うとしているものの、一向に衰えないドル買い需要は、米国内だけでなく新興国が危機的状況に陥っていて投資のキャピタルフライトが起りつつあることを意味すると思われる。
現時点で最も経済環境が悪化しているのはアジア、南米の新興国であって、また原油戦争の影響で産油国も非常に厳しい状況に立っている。
そうなれば、ドル買い需要は世界経済の減速に比例して高まる可能性があり、日銀のETF買い支えも意識されて、予想外に持ちこたえる強さがを発揮すると見る。
しかし、そのことは実体経済との乖離が拡大するということでもあり、リスクは一段と高まることを意味するはずだ。
テクニカルでは来週200日線と75日線がデッドクロスとなり、4移動平均線下向きが鮮明になってくる。したがって中長期的には下降トレンドであることは間違いなさそうだ。
ドル円日足チャート
世界経済は新型コロナ蔓延の影響から、リーマンショックを超える未曾有の不況状態にある。そして、FRBや各国中銀がドル不足懸念払しょくのために協力して対応するとしているが、現実にはこのことがドル買い需要を加速する結果になるのではないか、という気がする。
実際、景気がどん底になれば、真っ先に通貨の信用懸念となって現れるために、ユーロ、円、ポンド以外の通貨はドル買いへと流れるだろう。したがって、ドル高傾向は今後も容易に解消されることはないのではないか?
また、米国の投資資金は基本的に新興国への新規投資よりも、引き上げられる量のほうが勝り、結果的にドル高となる。したがって、ドル円といえど、「ドル買いの影響を受けた円安」になる可能性が高いと見る。
したがって来週以降のドル円は、¥107~¥112のレンジ相場を想定する。
4月10日(金)日経平均予想
このところ、本記事の株価予想は、2週連続でとんでもなく的外れだった。もちろん、予想が当たればいいのだが、この相場は日々刻々と状況が変化しているので、ある意味週刊予想といえどあまり意味はないし、また予想できるとも思っていない。
ただ、今回の新型コロナいよる世界経済の落ち込みは、従来の基準では理解できないほどの深刻なものになるだろうし、徐々に金融危機的な要素を露呈してくることは避けられないと思われる。
また世界中で大都市が閉鎖状態(外出禁止状態)になっている状況に、人々がどの程度耐えることができるのか、という懸念もある。各国では経済援助も行っているけれど、現実にはあらゆる個人ファイナンスはデフォルトしている。したがって、最終的には債務減免処置をする以外に手段はないだろう。
となると、個人消費の落ち込みが回復するには年単位の時間がかかると見なくてはないらない。
なので、状況がどうあろうと経済の落ち込みはまだ始まったばかりととらえなくてはならず、3月の目先底値を割り込むのは不可避であると考える。
それは日米欧ともに同様の傾向だと思うが、来週の日本市場はジワジワと株価が3月底値に接近する動きになるのではないか?しかし下落スピードは米国市場の半分程度であると思われるので、来週の日経平均¥17,000は何とかキープすると思っている。
したがって4月10日(金)の日経平均株価は・・・
日経平均株価 ¥17,200 ドル円¥109
を予想する。
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