日本株を読め!【5.20~24】中国・イランで前途多難

日本株を読め!【5.20~24】中国・イランで前途多難

5月17日(金)日経平均引値 ¥21,250(前週予想¥21,800) 日経平均CFD ¥21,211

相場・地合い概況

平成相場になって6日続落となった日本市場は、15日(水)にようやく反発。17日(金)には75日線にトライするも跳ね返されて戻りいっぱいを示唆するような厳しい状況のまま、取引を終えた。

米中決裂は決定的

米中貿易交渉は、中国共産党の合意案拒否で劉鶴副首相の権限委任を解き、事実上決裂した。結局交渉は継続としたものの、米中間の隔たり解消は望めない状況となり、米国は強硬姿勢に転じている。

米国は国防権限法、およびECRA(米国輸出管理改革法)を根拠に大統領令にて、ファーウェイに対する部品輸出を禁止し、事実上米国市場からファーウェイを完全に締め出すとともに、米国の技術を経済的に封鎖した。

これによって、中国に対する半導体関連の輸出はシャットアウトとなり、またRCRAによって第三国からの米国技術を使用した製品の対中輸出を制限する方向で調整している。ECRAの発動である。

これによって米中関係は当面、修復できない対立関係に突入したと見るべきです。

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緊迫のイラン情勢

また米国は対イランに対して、空母打撃軍を派遣したのに続いて、ペンタゴンでは最大12万人規模の米軍派遣をシュミレートしていると発表し、いよいよ軍事衝突の緊張が高まってきた。

イランはハマスに対する軍事援助でイスラエルを無差別攻撃したことに加え、サウジの米国向けタンカーを攻撃しホルムズ海峡閉鎖の懸念が急激に高まった。

イランは米国の出方次第では、核開発を再開すると宣言し、さらにEUとは核合意の継続に合意するという二枚舌を展開し、さらには北朝鮮との核技術に関する関係も深まりつつある。

中国のイラン接近

その緊迫した情勢の中、中国はイラン支援を約束するという(米国にとっては)暴挙にでた。これで米中の対立は決定的になった。

つまり今後は、米中関係に関する楽観は禁物ということではないか?

米国ダウ日足チャート・テクニカル

米中交渉の決裂を嫌気した格好で75日線を割り込んだ米国ダウだが、交渉継続という政権高官の発言で戻りを試している格好。しかし、現在の状況を冷静に考えると、楽観できないという投資家のセンチメントを反映するかのように、金曜は反落して取引を終えた。

このところの米国市場は、好調な国内経済に支えられていることや、トランプ大統領のツイートの影響が、相場に過敏に現れる。それは裏を返せば、米国市場も方向感がなく、短期的な投資が繰り返されているということ。

その意味では様々なリスクを考えれば、75日線を回復するのが、難しいのではないか?と個人的には考えています。

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日経平均日足チャート・テクニカル

一方の日本市場は、米中対立に翻弄された週だった。トランプ政権が日欧の自動車に対する関税を180日間先送りするというポジティブな話題もあった半面、米国のファーウェイ制裁の影響が懸念されて週末にはあっさりと75日線に跳ね返された。

米中関係の悪化は日本企業の業績に対し、どれほどの影響がでるのか、また日本企業が中国輸出や中国の現地生産にどう向き合うのかが、見えていないことから、株価の方向性が明確にならない相場だった。

しかし、経団連を中心に、主力企業の多くが中国に偏重していることを考慮すれば、75日線奪回で上昇基調とは考えられない状況と思わざるを得ない。

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来週の日米市場地合い予想

日本市場の焦点は、20日(月)に出る1-3月期GDPの1次速報値だろう。これによって2018年度のGDPはマイナスに転じる可能性が高く、そうなると消費税増税延期の機運が高まる可能性がある。

しかし、同時に米国市場がリスク懸念から下げることになれば、そうした機運は相殺されかねない。なので、内需銘柄で増税延期を狙うのも一手だと思うけれど、どうなるかは政治次第という非常にナンセンスな地合いになるだろうと予想する。

日米ともに短期投資で支配されてる相場になるので、この局面でのスイングトレードはかなりリスクが高いし、もちろんロングは論外ではないか?

個人的にはイラン情勢が非常に気になる週です。

5月24日(金)日経平均予想

方向感がまったく掴めない地合いで、予想はナンセンスな側面もあるけれど、現時点では日米ともに75日線の回復は難しいと考えます。従って、

日経平均株価:¥20,800 ドル円:¥109.50

を予想します。

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