不利になると規制を掛ける?負けて当然のヘッジファンド

不利になると規制を掛ける?負けて当然のヘッジファンド

いま、米国で話題になってるのが、「空売り」。シトロン・リサーチというヘッジファンドが、ゲーム・ストップというクソ株を大量に空売りしたわけだが、ネットの掲示板で個人投資家達が集まって(というか買いのコンセンサスを作り上げてしまって)、一斉に買いを入れた。その結果、昨年は$6~$10程度だった株価が、なんと一時は$400を超えるという狂乱状態に陥り、仕舞いにはハイレバレッジを懸けていたシトロンを完全に追いこんでしまった。

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もちろん借株をしていたわけで、半ば強制的に返済せざるを得ないし、保証金は他のポジションを解消して賄うしかない。まさか、ショートオンリーの裸売じゃないと思うけど、それにしたってまずは保証金を積み増してポジションを解消して、その上莫大な損失を被らなければならないだろうね。というかすでに壊滅的な損害が出ている。そしてシトロンだけでなくメルビン・キャピタルも呉越同舟組だったわけで、それなりに被爆していると思われる。

そもそも、売り坊の俺としては、この話題には注目していた。何せ僅か1日で2兆4千億円もの出来高が、たった1銘柄でできてしまうというこの異常さ!これは正直ただ事ではないと思ったよ。原因はいろいろあるんじゃないか?と思った。

ヘッジファンドやらかつての投資銀行(特にドイツ銀行)などは、本当に悪辣極まりないやり方をしていたからね。個人的に思い出すのはかつてのDeNAの空売りだ。とにかく膨大な売り玉を浴びせてしまって、好業績であろうが材料であろうが、株価が上昇しようとすると、抑えにかかる。その繰り返しで気が付くと膨大な売り玉とともに株価は下落した。

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もちろん売り側も、決して安くはない借株手数料を払い続けなければいけないし、ただ売りポジションを建てただけでは儲からないから、無理な売りを連発することになる。当時は株価を冷やすのは簡単で、大量売り玉を成り行きで浴びせればよかった。空売り規制などないから、あっという間に数パーセントは下落してしまうし、そうなると個人投資家のマインドは簡単に冷えてしまうからね。

その後ドイツ銀行を筆頭に欧州系の銀行は、小型株が上場するたびに、パターンのように売り玉を建て捲っていたよ。なので長らく小型株は低迷を続けていたんだよね。ただ、それができるルールであったのだから致し方ない。株式市場、特に小型株市場では、大きな資金が絶対的に優位なわけだから、本当に何年にもわたって利益を貪り続けてたわけだよ。それで当局もようやく重い腰を上げて規制するようになった。

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けれどその規制も、今のAI・アルゴ取引ではほとんど意味なし。規制にかからないロットで連続注文をあっという間に出来るAI・アルゴを規制しなくてはほとんど効力を発揮してないのよ。そうした時代の進歩に証券業界のルールは全く付いてゆけない。それどころか東証は、アローヘッドを優先的に外資に開放して、アクセス時間の短縮を図ることで、技術的に圧倒的なアドバンテージを与えた。証券業界は外資を優遇しないと手数料が儲からないから。

つまり投資環境を考えるとロング、ショートともに外資が圧倒的に優位な立場にあるというのがまぎれもない事実だよ。そうしたことは何も日本市場だけでなく、恐らく欧州でも米国でも同じようなものだろうし、その中で個人投資家は常に絞り吊られてきたわけだよ。だから個人投資家の9割が負け組なんて言うことがまかり通る業界なんだろうね。株には上か下がしかないし、確率は五割だ。証券によって高い手数料を取られるから、55%くらいは負け組でトントンのはず。ところが、個人投資家が勝てない仕組みづくりが厳然として横行しているからそうなる。まったく酷い話なのよ。

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そんななかでSNSやらネット掲示板で同調した個人投資家が連合して、空売りを粉砕したというのは大きいよね。よく信用取り組みで売り長の銘柄にターゲットして踏みあげる、という投資行動があるけれど、多少大きな資金でも踏みあげるのは結構難しい。なぜなら単独の資金は必ず利食いしてくるから。しかし、今回のように小さな資金が集中して一方的に入りまくると、それこそ踏みあげるのは簡単だよ。そしてその条件というのは、SNSや掲示板で拡散され続けて、時とともに参加者が増え続けるということになる。その場合は利食い玉をこなしてしまうからだけど。

そういう恐ろしさ、というかSNSでそういう現象が起きるというのは、実に痛快なことだろう。バブルでもなんでもいいけれど、相場っていうものはザラ場でのパワーゲームを否定したら成立しないからね。それを証券業界はこそこそと情報を開示しない、または極力分からないような情報開示しかしないから、個人投資家がウンザリするんだよ。

なのに米国ではSEC(証券監視委員会)が、規制するのなんのといいだすのは、あまりにも不公平だね。

そう、相場はいつだって、大口投資家に有利になるようなシステム作りしかしないんだ。だから個人投資家がもっともっと怒って次々にやっちゃえばいいのよ。どんどんやれ!って俺は応援しちゃうね。もっとも俺はチキンな売り坊だから、気配を感じたらすぐに逃げるけど。我慢なんか要しないわ!

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