投資行動の手の内を明かしてみる

投資行動の手の内を明かしてみる

地震が発生したとき、それが到達するまでにゴーッという地鳴りが聞こえるよね。この地鳴りが聞こえるとしばらくしてカタカタ、グラグラと揺れ始めるわけだ。3.11が近いからの話題というわけではないけれど、あの東北沖地震の記憶は今でもはっきり覚えている人も(特に関東以北)多いだろうし、実際に被災した方々は忘れられない記憶として深く刻まれてるに違いない。

あの時は沿岸部の人たちは多分地鳴りは聞こえなかったと思うけれど、昼間にも関わらず内陸では凄い音がした。昼間なので騒音が高いにも関わらずだ。

何故、そんな話から入るかと言えば、多分今回の株式市場の下落は、この地鳴りのようなものだった可能性が在ると個人的には感じているからだ。先週後半から再びポジションを売りで持つようになって、木、金と結構獲れたりしたから気をよくして金曜の後場も売りポジションを抱えて週末の持ち越しを決めたわけだが・・・

短期的な予想が外れて恐らく月曜には、大きく担がれてのスタートになりそうだ。けれども、本音を書くと、本当に個人的なスタンスだけれども、来週はメジャーSQに向かって厳しい相場になると予想しているからなのだ。

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2月25日に突如として米国債10年物が0.250上昇するという極めて大きな変動があった。これは誰も予想していなかっただけに株式市場には少なからずインパクトを与えたわけで、日経平均株価は翌26日に▲¥1,202という大幅下落を演じた。この下落に関しては、このブログや株・修羅の道で何度も言及した通り値嵩株が集中的に売られ、4桁の主力株は意外に被害が少なかったことに気づいた。

だから必要以上に、また感じる以上に日経平均の下落幅が大きかったわけだが、昨日(金曜)の午前中辺りまでは、米国長期金利の上昇が割高株・値嵩株売りの要因であると理解していた。がしかし、金曜は米国長期金利が急上昇する可能性が大いにあった日であるにも関わらず、日経先物の外資のポジションでは、大き目の売り持ちがシティとメリル日本だけだった。

つまり外資は今回の株式市場の変動の要因を米国長期金利上昇と見ている、と考えるには少々短絡的過ぎるんじゃということを思い始めた。もしも長期金利の動向だけを気にしているのであれば、いかなプロの投資家、ディーラーと言えど、米国長期金利の急騰の可能性が高い金曜に、買いスタンスでいられるというのはいかにも不自然だろう?

そんなことを考えていると、俄然気になりだしたのが来週のメジャーSQだ。なぜ金曜に日経225先物の売りポジションを持っていないのか?トータルでも僅かな売り長であるだけだ。これは結構気になりだしたし、現に金曜の米国市場ではダウが$625という大幅高となり、日経平均CFDも金曜引け値から¥300高となった。

ということはつまり、金曜の時点で外資の短期筋は、米国長期金利の上昇を眼中に入れていなかったということになる。これが今日の昼間に「景気回復と金利上昇で株式市場はどうなる?」書いたきっかけになった。恐らく長期国債金利の上昇よりももっと直接的な懸念があるのではなか?そして短期筋は、その懸念に向かって着々とポジションを構築している可能性があると思った。

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新型コロナワクチンが普及し、バイデン政権の大型景気対策予算が間もなく議会を通過しようとしている今、ある意味では景気の先行きは回復基調が強まる、という予想になるだろう。しかし、長期金利が上昇を始めてしまった今、景気を刺激すればするほど、予算をばらまけばばらまくほど長期金利は上昇してゆくだろう。それはイエレン財務長官も全く否定していないし、むしろ長期金利の上昇は景気回復の力強さの証と言っている。

しかし、大きな資金の運用者たちは、そうはとらえていのだと思う。もはや今回の大型景気対策予算は、景気の底上げ効果は否定しないものの、それ以上に金利上昇のリスクを見ていると思う。もしもそういう見方を米国の運用者たちがしているとするならば、当然今回のメジャーSQで意思表示されるのだと思うわけだ。

つまり今回の急落局面は地震の地鳴りのようなもので、割高に買われた株式を売りたくて仕方のない運用者が米国債10年物金利の急騰をきっかけにフライング売りしたと思ってほぼ間違いないと思う。しかし本命は今回のメジャーSQに向かってのポジションを調整しているプロセスなのではないか?

そして今後の金利上昇を視野に入れようとすれば当然、今後の景気回復は鈍化せざるを得ないし、そうなると行き過ぎた株価は当然是正されることになる。新型コロナ対策で世界中が未曾有の財政出動を行ったにもかかわらず、EUや日本は景気回復の糸口さえつかめていないし、米国でさえコロナ以前の雇用を回復するには昨日の雇用統計が今後2年間続かないと戻れない状況だ。

その状況下で金利が上昇してしまうと、古典的な表現では「不況下のインフレ=スタグフレーション」になってしまうのではないか?という懸念だと思う。

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米国の投資家が来週どのような投資行動をとるのかは分からないわけだが、少なくとも今回のメジャーSQではかなりインパクトのあるSQ値になると思う。つまり今まで上昇一方で来た株価が、調整に突入しつつある段階で、とにかく米国には売りたくてウズウズしている投資家が山ほどいるだろう。そしてそれは日本でも同じである。

多分、来週のメジャーSQまでに金利上昇局面があれば、それをトリガーに株価は下落傾向を強めると思う。そしてできればSQ値を下に誘導して、今後の金利上昇局面に備えたいというのが海外勢の本音と見る。

個人的には来週初めはGUスタートするものの、ほぼ寄り天から下げ基調になると見ている。仮に思惑通りメジャーSQを下で決めるような動きになれば、そこから中期的な暴落があり得るという読みである。

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個人投資家として、ブログで自分の手の内を事前に明かすのは、避けなければならないと思っていた。個人が株式投資をする場合、ファンダメインタルズや市場のセンチメントを考えたり、テクニカルを参考にする以外に自らのスタンスを構築する手段がない。しかし、本質的な部分で金融相場は、あくまでも半年後、1年後を推理することが重要だと思うし、特にメジャーSQ前後ではナーバスにセンチメントを読む以外に道がない。

所詮株式市場は、大きな資金が誘導するものであって、そうした大きな資金の動きを理解できない限り、勝ち負けは運であると思っている。その意味では当たる当たらないは別として、考え方の参考にしてもらえると嬉しいと思う。もちろん株式投資は自己責任なので、自分以外の投資行動には関知しないけれど、たまにはこういう記事もいいだろうと思った次第。

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