観測気球を上げたFRB

観測気球を上げたFRB

米国ダウCFDが下げ始めてる。これってやはり、日本市場のザラ場では全く意識されてなかったFRBの社債売り出しの話、いわゆるテーパリングと同等の政策変更の影響なんじゃないかな?

ブルームバーグに今朝の6時過ぎに掲載された記事で、ザラ場中に1度更新されたんだけど、日本市場はこれを完全に無視した。内容は本当に分かり辛い書き方してるけど、要するに新型コロナ禍で債券市場の一部、社債市場が流動性が止まりそうだったので、FRBが資産購入の一環として買い支えて資金供給しました。でも、景気回復してきたので、その時に買い入れた社債を約1.5兆円分はこの夏から売り出してチャラにしますよ、というアナウンスだ。同時にETFも買い入れたので、そちらから処分売りしますのでよろしく。という内容だ。

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これに関して規模が大きくないので、あまり影響ないだろうとする意見と、FRBへの不安感を浮き彫りにする、という意見を紹介してる。

タイミングが微妙という意見を記事で書いてるけれど、微妙というよりも、テーパリングが本格的に市場のテーマとなりつつある今の時期、6月の始めにこういう政策をいきなりやって、その後9月には少なくとも何らかのテーパリングに踏み切ると市場が予測しているわけだから、「これから3カ月間は株式市場はFRBのテーパリングを本格的に織り込む動きになる」と考えてもおかしくないよね。

今夜のダウCFDの動きは、その初動ということなんじゃないかな?

これはFRBが、テーパリングに関してどれほど市場に影響が出るか、観測気球を上げてみるか?みたいなことだと思う。なぜなら何も今、1.5兆円の社債&ETFの売り出しなんか必要ないからだよ。必要もないのにやりますとアナウンスするのは、FRB自身が影響を測りかねてるということだろうと思う。

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いまは、少し書いたけれど、米国債10年物金利だけを見ていると、インフレ懸念がそれほど強いようには見えないけれど、現実には社会の動揺が相当に激しくなってる。株式投資をやってると、まず米国債金利の変動を見て、次にコモディティ市況を見て、それでインフレか否かを判断するのが一般的かもしれないけれど、問題なのはその要因で、FRBはそちらの方を相当に気にしてると思う。

各地区連銀の報告とかの中には、物価や雇用の現実などが紹介しれてるだろうけど、まずもって雇用は賃金の上昇が著しくなっていて、中小企業や接客業などコロナ禍で一番被害が大きかった業種・業界では、高賃金で雇用できない現実と言うのがある。

またいくらコロナ禍から回復しつつあるとはいえ、こんなに急激に素材や原料の価格が上昇するとか、木材がひっ迫していて住宅建設もままならなくなってるとか、住宅価格が5割も10割も跳ね上がっているとか、そういう今の実体経済の在り様は、まるでコロナ禍の初期段階でトイレットペーパーが不足したときと同じことが起こってるんだよ。

半導体不足と言ってもそんなに急激に半導体が不足するはずがないんだが・・・各社がオーダーを5割増し、10割増しで入れてるからこういうことが起こっちゃう。木材もきっと実需ではなくて必要以上にオーダーが重なって実質的な供給不足が生じてしまってるってことだろうね。

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そうしたインフレの実態が次々に連銀から報告されたりすると、FRBも焦りが出てくる。当初今回のインフレは資源や素材原料の供給不足が一時的な要因、と見ていたけれど、その原因は実は企業の必要以上のオーダーが重なったことで起こってるということがはっきりしてきた。いわゆるマスクやトイレットペーパーの買い占めだよな。

だとすれば、結果的に意図して演出されたインフレ、みたいなことを放置しておくわけには行かなくなる。なぜなら今のインフレの結果が予測できないからだよ。まったく愚かな話だけど、日本のバブル崩壊も不動産投機を放置した結果がもたらした悲劇で、どうにもならなくなってから貸出総量規制なんかやっちゃうと劇薬になってバブルが跳ねちゃう。なのでテーパリングのアナウンスが劇薬になる可能性が否定できないから、そろそろそうした(テーパリングと)類似の行動を出しておく、というわけだよね。

でもいずれにしても、FRBは今年中には本格的なテーパリングプログラムを発動させる。そして利上げは2022年の後半あたりかも・・・。半年早まったという気がするけどね。

なのにどうして日本市場はこれを完全に無視したんだ?ってことだよ。だから、今日あたりの上昇相場には違和感がたっぷりあったということだな。

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