来週以降の相場をプチ予想
- 2021.06.05
- トレード予想
昨夜の米5月雇用統計は、もう少しよい数字、具体的には100万人に近い数字が出ると予想していたわけだが、コンセンサスの僅かに下という絶妙の数字となり、これでFRBのテーパリングが遠のいたと判断した株式市場は大きく上昇した。
米国の雇用状況
5月米国雇用統計は、65.0万人の予想に対して55.9万人となり、失業率は5.9%から5.8%に改善した。そして平均時給も前月比で2.0%上昇ということで、予想の1.6%を大きく上回った。この結果は、景気回復で人員増強のために、多少賃金を高くしても雇わざるを得なかったという事情が垣間見える。
一方、木曜に発表された5月のADP雇用統計は65.0万人の予想に対して97.8万人とサプライズ的に増加し、同日発表された5月ISM非製造業景況指数は64.0となり過去最高だったし、各PMIの改定値もサービス部門、総合ともに上昇修正されたということで、民間部門は絶好調だった。
これでバイデン大統領のインフラ投資案が通れば、公共部門での雇用増につながるわけで、米国ではなんだかんだと言いながら着々と雇用を改善できているね。
インフレ傾向が加速?
雇用統計の発表を受けて米国経済の復調が明確になったという判断からコモディティ価格は一斉に上昇したのだが、同時になんと米国債10年物金利は1.630p水準から一気に1.555pまで急落するという正反対の動きになった。
まずはコモディティから見てみると、WTI原油が再度$69を突破し$69.41と$70に急激に迫った。同時に鉄鉱石はもちろん、金、銀、銅、プラチナ、レアメタル類等の非鉄金属、そしてコーン、大豆、小麦、コーヒー等の農産物価格も一斉に上昇した。経済が好調であるから、物価が上昇するのは当然と言えば当然の経済原則でもあるし、イエレン財務長官は年末くらいまではこのインフレ傾向は続くと断言している。
しかし意味不明なのは米国債10年物金利の動きで、こういうのはAI取引に違いないと思った。雇用統計がコンセンサスよりも上ならば売り、下ならば買い、という単純な仕掛けであったとしか理解できないね。このところヘッジファンドによる米国債の大量取引が話題になっていたけれど、いよいよ膨れ上がった資金は今年になって米国債取引を活発化させているわけで、そうなると景気指標としての長期国債金利があまり信用できなくなってくる。
でも、インフレは確実に進行してるし、今後の新型コロナワクチン接種に進展を考えると、そう簡単には収まりそうもないね。
MSQへのポジション
オプションのポジション的には、週末の時点では日経平均¥28,500~¥29,000の目線になりそうな雰囲気がする。特にGSは一応¥29,000を上下で跨いでも対応できるような感じだけどアムロは見る限りでは¥29,000から下でないと都合が悪い的な感じがする。もちろん、来週からMSQまでには何日かあるので、大きくこの辺りのレンジから外れたときが要注意となりそうに感じるよね。
また先物は、これでも金曜は、日経平均が¥28,941(▲¥116)だったにも関わらず、結構強烈に海外勢は一様に買い越してきてる。つまり、ブルームバーグの記事のように投資家が雇用統計でどうなるのか全く分からない状況にはなくて、日本市場の投資行動を見る限りでは、最初から上目線だったことが分かる。
つまり雇用統計はどうあれ、サプライズ的な悪い数値は出ないだろうから、株価は上昇すると揃って見込んでたわけ。だから実際に株価は上昇したし、同時に10年物国債金利も下げたのではないか?と思えなくはない。
そして実際に日経平均CFDは米国市場に連動して¥29,173(△¥237)となった。つまり月曜の朝寄りでは結構なGUスタートになって、その後もさらに上に向かって動くんじゃないかと思える。けれど、そんな感じで行ってしまうと日経平均¥29,500とかまで行く可能性もあって、それでは大幅にポジション変更をしない限りオプションでは取れないわけで、苦しくなると、火曜、水曜あたり、恐らく水曜にはドスンとやらかすんじゃないかと思うけどね。
なので、今回の雇用統計ではあまり動かないで、重要なのは火曜からの動きと書いたのはこんなことを予想しているからなんだ。
日経平均日足チャート
日経平均の金曜の引け値は¥28,941、金曜時点での日経225EPSは¥2,032.41となった。これは単純にPER 14.24 と言うことになる。そして上記の日経平均日足チャートもかなり微妙で、2月高値以来コンスタントに上値を切り下げてしまっている形で、5月GW明けには¥28,400辺りの下値のレジストラインを大きく割り込んだわけで、今の相場はそこからの戻り相場の最中と言うことになる。
また上記の通り金曜に米国市場が上で、日経平均CFDが¥29,173となったことから月曜には75日線のすぐ下あたりでの寄り付きとなる可能性が高い。しかしあろうことかその辺りは、直近のレジストラインの真上あたりなのだ。
テクニカルをどれだけ重視するかにもよるが、戻り相場の上値のレジストラインは少々嫌らしいしね。日本株は新型コロナワクチン接種が進むにつれて上昇する、みたいな観測を証券関係者はコメントすることが多いけれど、国内でワクチン接種が進んでも日本株にどれだけの影響があるのかは、少なくとも海外勢はあまり見ていないのではないかと思う。
それよりも、インフレ、すなわちコモディティ等素材、原材料の値上がりは、日本国内にあってはますます国民生活を圧迫する要因となって、苦しくなると見るほうが自然だろう。また、当然のことながら製造コスト上昇が日経平均のEPSを引き下げる要因にもなり得る。そう考えると、この位置から日本株を買っていける海外ロングはそうはないと見るけれど。
来週以降の相場をプチ予想
前段でも書いたように来週のMSQは株価の推移によっては(海外勢は)かなり手荒なことをしてくると思う。具体的には日経平均¥29,500とかいう水準で火曜を抜けると、かなり危険と見る。しかし、今頃になって日本政府は半導体への重点的な支援を発表したりして、少なくとも半導体セクターは堅調に推移するかもしれない。加えて今相場となっている自動車セクターの1Q決算が相当にいいことは分かっているわけで、ここもそうそう売られるようなこともないと見る。
だが、所詮半導体の政府支援ってTSMCのことだろうし、独自で半導体産業を育成しようという本当に戦略的な意味で重要なことは、やれない意気地なし政府のやることだからね。それから今相場になってる自動車の未来も非常に暗いわけで、この相場で取った高値が当分の高値になることは目に見えている。
とすれば、相場的にはレンジで秋までは推移するかもしれないと思ってて、今回の戻りでは¥30,000タッチは難しいということと、下限は5月13日の¥27,385までの上値切り下げ型のレンジ相場が続くと見る。レンジ相場でもあるし、個別株もなかなか難しい状況になる可能性が高いので、当面は材料のある銘柄狙い、とか指数狙いが有効なのではないかと思ったりしている。
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