中国バブル崩壊をウォール街はどうするの?

中国バブル崩壊をウォール街はどうするの?

多分、中国リスクが!って騒いでるのは俺くらいじゃなの?って思うくらい、恒大集団の問題にしてもアリババの問題にしても、株式市場は全くと言っていいほど無視して、ウォール街は完全に「臭いものには蓋」という方向で無理やり持って行こうとしてるよね。恒大集団が、人民元建ての社債や理財商品への利払いや償還を実施していて、ドル建ての社債は利払いもしていないという事実をほとんど報道していないからね。もう恒大のドル建て社債に投資した人は踏み倒されてるんだよ。30日間は遅延を認めててデフォルト認定しないという意味不明のルールを持ち出して、静観みたいな感じだけど、払うはずがないと思うし、そんなのを信じてる方がどうかしてる。

人民元建てはとりあえず国内をこれ以上乱したくない当局(共産党)の意向もあるから、人民元の貸付は中国の国内金融機関はなかば強制されてるしね。でも、そんなものは、中国国内の事情であって、ドル建てはもう返しようもないし、どの道多額のドル建て社債償還は出来るはずもない。肝心のドルは中国人民銀行にあって、恒大はドルを預けて人民元で受け取ってるはずだからね。

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恒大集団だけでなく花様年控股集団はドル建て債のデフォルトをしたし、今度はチャイナ・プロパティーズ・グループ(CPG)もデフォルトしたわけだが、こうした企業は破綻も倒産もしないでのうのうと「人民元建ては返済します」と言いながら普通に存続してる。中国共産党も考えたもので、中国のルールで中国国内で営業するのだから破綻する必要はない、みたいな方向で基本的には不動産業界の処理を進めるんだろうね。

何といっても今中国には、8000万人分のマンションの仕掛3億人分の投資されて実際には空き家の物件がある。これがどれほど凄いかというと、日本とフランスとドイツの全人口が暮らせるだけの不動産なんだからねぇ・・・。いやいや全アメリカ人が余裕で暮らせちゃうんだなぁ・・・。

だからこれを不動産バブルと言ってるけど、そんな生易しいもんじゃなくて、マジで狂気、狂気の沙汰だよ。こういうのがみんな中国のGDPとして計算されているわけだから、中国のGDPが世界第二位でもうすぐ米国を抜くなんてのは絵空事だよね。

これが、世界が金融ジャブジャブの世でなかったなら、通用するはずもなかったのだろうけど、リーマンショック以来中銀は形振り構わず資金を供給する以外に道がなかったんだろうし、本来その時に金融資本主義の在り方を見直すべきだったのかもね。その時にいくら企業が破綻しても大恐慌が来てもそれは仕方なかったのかも。ところがそれをジャブジャブで救ったから今度は新型コロナが来たら、それ以上にジャブジャブするしか選択肢が無くなっていたってこと。で、中国はそうした資本主義国のやり様に乗っかったってことだろう。

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経済圏を広げて、人民元をある程度、建前上でも国際決済通貨(ハードカレンシー)として認めさせてしまえば、ドルやユーロと同様にジャブジャブにしても問題ないと共産党は考えた。そのために一帯一路なんかやり始めたり、途上国支援をやたらとやりまくって、中華経済圏を広げ捲ったわけだけど。外交的にもIMFや世銀に圧力をかけまくったり、貿易比率の高い対ドルや対円の兌換枠を認めさせたりしたわけで、日本や米国の親中派の活躍でジワジワと兌換枠は大きくなった。

そうなれば、中国がいくら人民元を刷ったところで、問題はないってなもんだ。そして国際経済ではいくら頑張っても人民元では通用しないという事実を共産党はよく分かってるんで、貿易の決済代金や海外上場などで集めたドル資金は全部人民銀行に吸収させ、その分を人民元発行するというフザケタメカニズムを採ってるわけだよ。

だから不動産企業が社債をドル建てで発行しても、そのドルは人民銀行にある。で、ドル建て社債の利払いや償還をしないということは、中国共産党がドルを出さないという意味であって、最終的にはその4億人近い人が住めるマンションを二束三文で取って国民に供給するというのが習近平の狙いだよね。で、国民の支持を受けて毛沢東を超える終身国家元首の地位を狙ってるんだろうね。

なのでとにかく中国の不動産絡みのドル建て債はすべてデフォルトしかねないというのが現状だけど、まぁ、そんなのはいくらでもないから(数千億円程度?)金融ジャブジャブの今の時代、大した影響はないという割り切り方をウォール街はしてるのだと思う。

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けどねぇ・・・信用の収縮ってそれで済むのかな?って思うよ。今後も続くであろう中国不動産企業のデフォルトで、中国に対する信用の収縮が市場を覆い始めると、投資家は焦る。その時次に火が付くのは、中国系企業の米国上場問題だというのは明白だろうね。例えばアリババを例にとると、アリババの上場はウォール街のインチキによって実現したわけだよ。もともとアリババの本社はもちろん、経営権も資産も(実質的、法的には)中国共産党下にある。そして中国は自国企業の決算書を絶対に公開したりはしないわけで、アリババの米国上場に際しては米国の会計監査法人の決算評価書をもって決算書と認めたという経緯がある。これはオバマ時代のインチキなんだよね。

で、気が付くと米国上場のアリババの株式には持分権や議決権がない。中国は生産手段や企業は基本国有だからね。だから上場条件である数年分の決算報告なんか出るわけがないにも関わらず、監査法人の評価書で代用するという離れ業をねじ込んだ結果、ウォール街で華々しく上場ということになった。けど、結論からすると我々が投資できるアリババの株は実はただの紙切れ、幻にすぎないんだということが、この共産党の恒大集団への対応でよくわかる。すでに上場し資金を集めた後の株価などどうでもいいんです。

そのことを米国証券取引委員会(SEC)の委員長ゲイリー・ゲンスラーは何度も警告している。

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だから中国企業に対する信用収縮が起きれば、米国市場に上場する中国企業に波及することは、容易に想像できること。勿論そのことは現行のSBGの株価の推移を見ても十分に可能性を担保できるんじゃないかな。すでにみずほやクレディなどの金融機関はSBGから手を引いた。ゴールドマンや野村はまだ手数料稼ぎや企業売却などでSBGかた絞ってるけど、優良な投資機関のほとんどはもう逃げてると思う。何せSBGの現行株価はPER2.40でそれでも利回りはたったの0.69%しかない。PBRは1.12だけど、こうした前提はすべてアリババの株価が米国市場で評価されているからであって、紙切れになるならSBGも瞬時に吹っ飛ぶ。

いままで中国関連企業の上場やドル建て起債で濡れ手に粟の暴利を貪ったウォール街だけど、このまま行けば、中国不動産バブルの崩壊は、やはり株式市場にとんでもない災いをもたらすことになると、個人的には確信してるよ。すでにFRBはテーパリングを決めて、来年はいよいよ利上げするだろうし、金融ジャブジャブ時代は終焉を迎えようとしてる。目の前では巨象の中国が治癒の可能性がない重病にかかっているわけで・・・。いつまでもこんなジャブジャブの金融市場が続くはずがない。

冷静に見て世界のNo.2の経済国がおかしくなってるのに、大きな影響なしというウォール街の目論見が通用するはずがないんだよ。そうした幻想もまた、金融ジャブジャブの副作用なんだろうけどね。