FRB議長:パウエル続投決定!

FRB議長:パウエル続投決定!

バイデン大統領は次期FRB議長にパウエル現議長を再任する見通しという報道を、株式市場は好感し三市場ともに大幅上昇となっている。しかし、この上昇が大引けまで維持できるか否かははなはだ疑問だと思う。パウエル議長再任の意味を株式市場は、FRBの金融政策が現在の路線通りに変更なしと受け取ると同時に、今のFRBの姿勢でインフレを抑制できるのか?という疑問が払しょくできないからだ。

バイデン大統領は、自身の政策に対しパウエル議長の方が継続性を重視できると考えたとされる。確かにブレイナード理事は民主党員であるし、党との政策調整が厄介になる可能性があった。もちろん民主党内にも反対派がいて、インフラ投資法案にしても税制法案にしても、ことごとく内容の変更を余儀なくされたわけで、FRBにまで足を引っ張られるのは御免だ、という思いがバイデンにはあっただろう。

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しかし反面では、FRBがインフレ抑制に成功する、またはFRBの言う通りインフレは一過性の物という主張が崩れつつある今、このバイデン大統領の選択で、いよいよインフレに対する危機意識が高まる方向になることは間違いない。

それを考えれば、単純に金融政策に変更なしということで、これを好感するような株式市場の動きは、徐々にFRBの現体制で大丈夫なのか?という疑問に変わりつつあると思う。今のFRBはインフレの急伸を受けて12月のFOMCでテーパリング規模を倍増するべきという提案が複数の理事から出ている。そして、すでに出遅れが否めないテーパリングは、12月に変更される可能性が大いにあるが、それは来年の利上げ時期の前倒しに直結する。

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そうなると、24日の10月個人消費支出や前回のFOMC議事録、12月3日の雇用統計、10日の11月消費者物価指数と続く経済指標の発表のいずれかのタイミングでインフレが高伸するとなれば、15日のFOMCに対する警戒感が高まる。

いずれにしても、12月には株式市場は大きく揺れることになりそう。

同時に欧州での新型コロナ感染拡大が下火にならなければ、どの時点で急落のトリガーが絞られるかが分からない。あとはFRBが姿勢転換をある程度明確にしてテーパリングで圧力をかけるしか、インフレ対策という点でパウエル新議長に残された道はないのだから。