4月相場のプロローグ:米国3月雇用統計

4月相場のプロローグ:米国3月雇用統計

雇用統計ナイト!と言っても、インフレを裏付けるだけの数字が出るか否かだけが株式市場の興味の的だけどね。

(アイキャッチ画像は大ハトのエバンズ・シカゴ連銀総裁、ヌル~イ発言で強気派を後押し!)

21:30 (米) 3月 非農業部門雇用者数変化 [前月比] 67.8万人
(75.0万人)
49.0万人 43.1万人
21:30 (米) 3月 失業率 3.8% 3.7% 3.6%
21:30 (米) 3月 平均時給 [前月比] 0.0%
(0.1%)
0.4% 0.4%
21:30 (米) 3月 平均時給 [前年同月比] 5.1%
(5.2%)
5.5% 5.6%

いつもこの時期の米国は、キャピタルゲインの課税還付が行われて、とりあえず株式投資をしている一般的な国民の多くは還付を受ける時期で、だから雇用者数は一旦は緩む。けれども相変わらず雇用難は継続中で、3月平均時給の上昇傾向は止まらない。なので全体として、雇用は好調で米国経済はインフレに負けないとする強気派を後押ししているように見える。

しかし逆を言えば、インフレの現状はウクライナ戦争と中国のオミクロンによる大都市ロックダウンの影響であらゆるものが品薄になる状況が目に見えているし、第一、雇用者数の低下と平均時給の上昇は、それこそ米国の労働力不足を表している、と解釈するかも。今夜の米国市場の値動きはまさに強気派と弱気派のせめぎ合いになっているということだろう。

今夜の米国市場は高寄後、弱気派が売り2時過ぎまでマイナス圏で押して、そこから強気派が巻き返しているという展開で、要するに雇用統計はそれほど材料視されていないということかもしれない。ダウは3時10分過ぎに底値から一気に$80高まで、約$260上昇の強烈な買いが入っているが、この後弱気派が売り返すかもしれない。

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米国の強気派と弱気派

さて4月の株式市場は、「米国の景気は思ったよりも悪くない」という半数のアナリストの言葉通り、株式は今後も順調に上昇してゆくとするファンドや大手投資銀行がある一方、GSやUBSのようにスタフレリスクを思い切り意識した「株価の上昇の余地はない」と断言してしまった大手もある。米国債金利が逆イールド(2Y-10Y)になってもスタフレの兆候が思い切り出ても、過去の事例からリセッションは1年半後から2年後なので大丈夫、という意見は言ってみれば強気派のポジショントーク。彼らは思い切り押し目買いをして上昇の時を待っている。

一方、常に下落局面で爆益を得てきたGSは、「4月からのポジション調整は終了してるから、いつ下げてもOK」という言葉に聞こえるね。要するに、GSやUBSは、5月4日のFOMCでFRBが0.500Pの利上げとQT発動を同時に行うことを確信しているからだろうし、それはかつてないほどの急激な金融引き締めになるからね。

ウクライナ戦争中で連日プーチンは態度をコロコロと豹変させているし、4月4日問題(大量の外貨建て国債償還問題)も、ルーブルで支払うといったり、裏では一旦ガスプロムがユーロやドルで受け取ってルーブル買いするからいいよ、みたいなことをイタリアのドラギ首相に言ったりしてるので、真意は分らない状況(実際にロシアは2440億円分の国債をルーブルで買い戻したと主張している)。

とりあえず表面上はルーブル買いを演出して通貨下落を食い止め、ガスプロムが支払いを受けた外貨を国債償還に回しデフォルトを回避するという作戦は成功しつつある(ガスプロムがルーブル買いすればいいわけだから)。ルーブルの下落が止まれば莫大な戦費はルールを刷りさえすれば賄えるという裏技を誰が考えたのだろう?プーチン出ないことは確かだけどねぇ・・・(苦笑)

なので背景としてのウクライナ問題は、株式市場では織り込み済みで、GSの言う通り問題はインフレ懸念(スタフレ懸念)と強硬な金融政策だけという状況に変わりはないし、根幹には米国経済は10年物国債金利3.000Pには耐えられないと見ていることがあるし、それでも金利上昇のほぼスタートラインということになるからだけどね。

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WTI原油は$80へ!?

米国は日産100万バレルの原油備蓄放出を決め、40万バレルの増産を決めたブラジルや(カナダ・日本を含む)他の同盟国と合わせてほぼ現在のロシアの減産規模(日産1200バレルの約2割、240万バレル)を埋めるという手段に出た。期間も約半年間として何としても11月の中間選挙までにはインフレに目途を付けたいという民主党の意向でもあるわけだ。

中国、インドに対してもロシア産の原油購入に対して圧力をかけているけれど、原油価格を抑えるためには結局は黙認するするしかないわけで、そうなると原油そのものははっきり言って不足するような事態は回避できる(むしろだぶつく)ことになるから、少なくともプーチンが変なこと(核攻撃や化学兵器の使用など)をやらかさなければ、$80に回帰する?と個人的には見ている(天然ガスは別)。

なので、アナリストが「原油価格は下がらない」と見る中、INPEXと出光を売ったりしてるのだけど、基本的に売り目線でOKという感じはある。

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霧が晴れることの恐ろしさ

ウクライナ問題がほぼ織り込み済となった株式市場は、市場を覆っていたロシア(プーチン)という深い霧が完全とは言えないにしろ、晴れつつあるし、あれほど騒ぎになったルーブル下落は、ウクライナ侵攻前の水準をほぼ回復しつつある。そうなれば、あとは西側諸国が課した経済制裁の効果を注視していけばよく、影響を受けた企業の損失も限定的で済む。問題は、ロシアの金融機関がSWIFTから締め出され、投資資産も凍結されたために、国際的な金融活動が出来なくなってしまったこと。国内経済ではとても業態を維持できないし、そもそもロシアの金融機関は資源決済と軍事決済、それにマネロンが主要な業務だったわけで、立ち行かなくなるのは当然と言えば当然に見える。

だが、そうしたロシア関連の霧が晴れることで、影響を精査することが出来るから、株式市場はそれを懸念する必要がなくなって、安心感もでるだろう。しかしそうなればなるほど、最大の懸念であるインフレ(スタフレ)とFRBの金融政策への懸念に回帰することになる。結局現状は、ウクライナ侵攻よりも、直面する最大の懸念が際立ってくるわけで、それが4月相場の最も厳しい部分出ることは間違いなし。

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今夜の米国市場は、強気派と弱気派のせめぎ合いと言ったが、ダウは強気派は$34,821($142高)まで攻めたけれど、弱気派に巻き返されつつある(4時35分現在、▲$10)。

日経平均CFDも大引け後の大幅高からドル円が¥123タッチ後¥122.500まで戻してる影響で、あげ分を消しつつある展開。だが相変わらず、日本株は為替に敏感に反応する。ここで注意しなければならないことは、財務省が岸田首相の意向で形だけでも円安に介入する姿勢を見せ始めたこと。岸田政権は参院選挙を意識した大幅な景気対策を目論んでいて、財務省に歩調を合わせるよう要請しているという小さなニュースを見た。

仮にそうしたキーワードが岸田首相から飛び出すようであれば、海外勢は日本株を一斉に売るだろうと思う。ロシアのウクライナ侵攻という深い霧が晴れれば、晴れたで、日米株式市場にとってはその方が恐ろしいことなのかもしれない(というか岸田砲の方が恐ろしい!)。となれば、4月は12日のCPIと末にかけての四半期決算(日本は本決算と今期予想)、と5月4日のFOMC・・・荒れるだろうねぇ・・・。

(PS.米国市場の大引け前の爆買いが突如出現、マイナス圏から一気に$160高!ダウは前日の急落のショートカバー!日経CFDも¥140の巻き戻し。大引けまであと4分・・・。結局ダウは$139高、あとは日米ともにCFD・・・)