岸田首相の四半期決算廃止には賛同

岸田首相の四半期決算廃止には賛同

どうやら岸田内閣は上場企業の四半期開示義務を廃止する方向で具体的に動き出したらしい。これは昨年の自民党総裁選前後から取りざたされていた案件で、「成長と分配」「金融所得課税増税」とともに岸田首相の【新・資本主義】の一環としてぜひとも実現したい意向のようだ。

まず、これに対しては、当初の自民党内の議論で「四半期開示は短期主義を助長してはいない」という意味不明の意見が続出して金融審作業部会では賛成者ゼロだったらしい。だが、上場企業は四半期開示義務があることで、事業が短期主義に陥っているのは明らか。四半期決算の帳尻を合わせるために、莫大な労力とコストを費やすことはもちろん、せっせと正規雇用を削り非正規化してきたという経緯があるのは、紛れもない事実。

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よく考えてみると日本企業の生産性の低下は、非正規雇用の増大と反比例していることに気が付く。企業は研究開発には前向きに取り組むだろうけど、事業全体を推進するうえで、研究開発同様に取り組まねばならないはずの部署を合理化し、一人当たりの労働効率を上げることが生産性の向上につながると本気で信じてる経営者が多いからね。

個々人が目先の効率化を優先するように仕向けると、業務はいきおい短期目線に成りがちで、短期的に結果を求める傾向になる。それが経営者のもとに短い時間で「効果」として報告されるから、経営者は大満足する。ところが、これは何処まで行っても「1+1=2」の世界を脱することができないんだよね。個人が身をすり減らして業務効率を10%向上したところで「1.1+1.1=2.2」の世界。ところが組織の相乗効果によって「1+1=3」にする効果は望めなくなってしまう。まして正規雇用を減らして非正規の割合を増やせば増やすほど、相乗効果は消える・・・。

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先日地上波でドン・キホーテの経営をやってたんだよ。ドンキは非正規でも正規同様に責任を持たせアイディアを採用し、現場主義でやってます!と称賛してたけどね。若い社長が誇らしそうにいろいろ語ってたけど、ああいうのは企業の労働搾取以外の何物でもない。そうした企業が非正規全盛なので多いみたいだけど、そんなのはただ単に非正規を乗せて安い賃金で使いまわすための方便に過ぎないのよ。

そういう経営が称賛される、馬鹿地上派はそういうのを嬉々として番組制作する。いかにも日本人が好きそうな「非正規でも頑張ればをれをくみ上げてくれる企業もある」「非正規から店長へ」「非正規から社長へ」と心理的な誘導をする。ドンキの安田が何をやってきたか・・・ちゃんと取材して見ろ!と言いたいけどね。とにかくそういうの99%嘘っぱちで、ほとんどの非正規社員は過酷な労働を低賃金で強いられてるんだよ!

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で、そうなるのは、やはり低コストで短期的な効果を欲する経営者がいるからそうなる。いまの経営者って本当にアホみたいに他社の動向を気にするからね。いかいも日本的な右習え式企業経営をやるのは、四半期開示義務の影響は無視できないのは明らかだ。

 

けれど四半期決算が廃止されると(と言っても中間・期末は残ると思うけど)困るのは、株式市場からボラが失われることかも。これから海外メディアとか海外の投資家は、反対キャンペーンを張るだろうし、もしくはますます日本株投資を控える傾向になるかもね。そして、往年の、というわけではないけれど、噂で株価を操作しようという動きも活発化する、所謂仕手化も増えるだろうね。従来ならば長くても3ヵ月で真実が開示されるから、変なことは遣り辛いけれどね。

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でも、米国と日本の企業経営の風土はかなり違うわけで、日本は日本らしいやり方に回帰したほうがいいと思う。だいたい大企業の四半期なんて正確な数字は出てこないよ。例えば、粉飾をした企業などは洗いざらい精査されちゃうけれど、次々にいろいろな問題が噴出するけれど、大差はないと思う。物理的に棚卸するだけでも大変で、連結子会社が内外に10も20もあったら・・・。毎日決算してなきゃないらないだろ!(苦笑)

それと四半期毎に海外にガチャガチャやられるのはいい加減に嫌気が差すしね。なので俺は四半期決算の廃止・改正は賛成だな。3ヵ月で変わる企業なんてあるはずがないからね。