売り坊視点での日米株式市場(ひさびさ気合で書いたなぁ)

売り坊視点での日米株式市場(ひさびさ気合で書いたなぁ)

俺は普段は売り主体で相場を考えているし、読んでくれている個人投資家さんは、俺のことを弱気一辺倒みたいに感じていると思う。けれども、株式投資を本業とし始め、ブログを書き始めて3年目くらいから、短期投資の場合、「買い」で勝ってゆくのは至難の業だ、と思うようになったんですよ。俺はただの株好きのオヤジで有名な個人投資家の皆さんの真似は多分出来ないし、何よりも始めたときは日銭を確保しないと俺と株千代(ミニチュアダックス)の日々の餌代もなかったわけで・・・。だから、値動きの早いダウンに賭けるしかなかった。なのでもう毎日必死で50万の資金を200万にしたよ。そのくらいないと売りでは戦えないからねぇ・・・。

売り坊の原点

材料を当てにしてS高も何度か獲ったこともあったけれど、そんなのはただの偶然でしかないし、株式投資の技量とは何の関係もないしね。第一そういう利益は勝ったり負けたりするなかで自然に溶けてしまって残らないことがほとんどのパターンだったからね。

それに買いの需給を読むのは本当に難しいんだよね。今もメチャメチャ堅調な上昇トレンドになってる7011 三菱重工で悪戦苦闘しているけれど、なんとかこういう銘柄の短期投資を覚えたい、みたいな感じで、懲りずに突いてるけれど、なかなか上手く行かない。ならば買いっぱなしでいいんじゃないの?と言われそうだけど、この地合いで買ったままというのが俺には出来ないんですよ。

まぁ、そういうスタイルだから、連日連夜、リスクを中心に株式市場を見るようになったわけだけど、ここ何年かの金融バブル相場でも、売り主体でやってきた身としては、今回の下落相場はまさに「俺の時代」が到来かな?なんて思ってた。とにかくどういうセンチメントで、どういう需給で株が売られるのか?と言うのばかりを見ては、売り玉を建てる。この繰り返しさえやってれば、勝てると思ってたんだけど、現実は全く上手く行ってない。

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今の日本市場

特に日本株が、4月からヘッジ買いのターゲットになったこともあって、米国市場が急落してるのに最近では急落幅の3/2くらい落ちればいいところ、みたいなね。それどころかこうして週末、改めて日経平均の日足チャートを眺めると、これが実に美しい上昇形なんだよねぇ・・・。株式投資の教科書に載ってるような理想的な2番底からの切り返し!5日線、25日線、75日線で見れば、月曜に25ー75がGCして、完全な上昇トレンドを形作る準備は整った、と言う感じ。月並みな感想かもしれないけれど、このままドル円が¥135くらいまで行くのなら、日経平均の天井はもしかしたら¥30,000があるのかもしれないと思ってる。

もっともこういう状況では売りで獲れなくて当たり前なんだけど、でも米国市場のことだけど、週末の度にリスク要因が次々に発生してて、とっても(日本株を)買う気になれないって言うのが正直なところでね。だって日本も含めて世界中の景気はこれから悪化本番なのだから・・・。

なので、今の俺の見立てでは、今月半ばから、欧米株が先行して下値追いを始め、(1ヵ月程度?)タイムラグがあって日本株が追従するというシナリオ。これまで記事にも書いてきたけれど、ドル建てで日本株を見ると、今回の米国株の下落に先行して日本株が下がってるからね。その下げ幅が今頃ちょうど同じくらいになったという感じなんだよね。だから日本株が好調で買われてるという側面も否定しないけれど、実は米国の投資家は株価下落と円安で既に日本株では大損してるわけだよ。逆にGPIFなんかは円安がヘッジになって思ったほど外債や米国株では損失していないのよ。

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株式市場のリスク

で、昨日なんだけど、ブルームバーグにようやく俺がこの半年間書いてきたようなリスクを主張する人物の発言が掲載された。

なんか、米国ってのは凄いヘッジファンドがあるよねぇ・・・。ブラックスワンを専門に狙ってるヘッジファンドってまるで映画の世界だよ。けれどその主張は俺と全く同じなのでちょっと感動してるんです。それにしても「人類史上最悪のクレジットバブル」だって!(そんなの右肩上がり出来たのだから決まってるのにね 笑)

その趣旨を理解するのは極めて単純だ。要するに借り入れによって通貨の信用創造が伸びることで経済は成長しているということが分かってると、今の危機的な状況を理解できるんだと思う。つまり企業も個人もあらゆる経済主体がそうだけど、経済活動ってのは投資を繰り返す事(再投資)でのみ成長するわけで、今年以上の利益を得るためには、今年以上の投資を行う必要があるということ。そして通常は利益よりも大きな額を再投資してゆく必要があるということ。この時、借入(銀行借り入れ、債券発行、株式による資金調達等)が増えた分が、通貨の信用創造分となり、ほぼほぼイコールで経済成長と言うことになる。

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資本主義だから、そんなことは当たり前だって言われそうだけど、問題はその再投資が長年極低金利下で行われていたこと、そして新型コロナ禍もあって再投資のためにFRBがほぼゼロ金利資金を強烈に増やしてしまったことにある。ヤバイ、新型コロナで事業がどうなるか分からんから、とにかく資金調達を、ということで借り入れをバンバンやってきた。バランスシートが膨らんだのは、何もFRBだけじゃなくて、一般企業も個人(家計)も同じなんだよね。

一般的に金利がゼロ、または極低利ということは、今の経済の仕組みからして企業利益もやたらと低いということだからね。ゼロ金利で借りて10%も儲かる商売なんかない!(例外的にあるかもしれないけれどね)でも、ゼロ金利なら2%儲かる商売とするならば、10倍借りたら利益も10倍だ!信用力のない企業だって5%の利息で借りて2%儲かるなら借りる。これでも10倍借りたら利益も10倍だよ。

例は極端かもしれないけれど、世界中の中銀がそうやって市場に資金をジャブジャブ供給してきたわけで、企業も個人もいっぱい借りた。利益を増やすために。いっぱい借りるから経済は成長してきたし、いまはそのピークにあると言うことを「人類史上最悪のクレジットバブル」と表現しているに過ぎないんだけどね。

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リセッション入りの分岐点

株価が下がり投資家が損をする、ってのはさほど問題じゃないと思うけれど、金利が上昇してしまって負担が増えるというのは企業にとっては大問題だよ。特に極低利で回ていた再投資のプロセスが通用しなくなるし、そればかりか景気が悪化すると予定していた利益率も低下してしまうから、当然今までのような再投資は出来ないわけだよ。企業や個人でそうした連鎖になれば、いよいよそこから本格的なリセッションがはじまるわけで・・・。

そのリセッションが2023年から、とか2024年から、と言うのは企業も個人もだいたい予算計画は1年単位なので、当然ながらタイムラグがあるということだけどね。けれども今は、インフレが8%ならば、実質的に放っておいても8%のドル購買力は失われるわけで・・・。

こういうヘッジファンドマネージャ、特にスピッツナーゲルのようなヘッジファンドの最高投資責任者が狙うのは、「株価が20%下落しました、でもインフレが8%だから、そろそろ30%の毀損ですね」「ジャンク債も8%下落しましたけど、実質16%の毀損だよね」みたいな部分。これをいつまでも我慢できる投資家はいないし、企業や個人もそろそろ限界に近いということ。

それでもFRBはインフレ退治のためには今月0.500p、7月0.500pの利上げをしないといけないわけで・・・。その上QTで今月は6兆円、9月は11兆円の資金を市場から回収する予定・・・。スピッツナーゲルのブラックスワンファンドはもう我慢できなくなる、と言う方に賭けてると言うことだろうね。

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米国はリセッション準備中

あのイーロンマスクは早くもテスラの従業員のリストラを始めるらしい。JPモルガンもGSも、そしてCITIもヤバイと言い始めたしね。この連中は実際の銀行屋さんなので、FRBメンバーよりも実態をよく分かってるんだと思う。もうすぐSPACがぶっ飛ぶ!HYGも急落する!すでに不動産は金利が下がり始めた。今の価格では買い手がいない証だよ。消費者は預金を取り崩して消費してる。貯蓄率は4%台まで急激に落ち込んだ。半年で10%以上落ち込んだことになる。

まずは米国から、次に欧州、そして日本の順だろう。日本株の独歩高も資金ヘッジも多分長くはない。だって海外投資家が¥130台の円安に耐えられるとは思えないしね。

週末に売り建てて持ち越したけれど、日経平均がPER13.25まで上昇したからです。それも操作なのか何なのかよく分からんけれど、急にEPSが¥2,076から¥2,095に上がっての13.25だからね。(ちなみに今年度の最高値は確か4月4日のPER13.30だったと記憶してるけど・・・)

もう一つ、来週はMSQだけど・・・そんなに上は狙ってないと思うなぁ・・・。¥26,800~¥27,200くらいかも!?

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最後に・・・

個人的なことだけど、過去に借金でメチャメチャ苦労しただけに、経済成長しない日本経済の怖さは身に染みてるのよ。だって借入金利5%でGDP成長率が1.5%って洒落にならないからね。それじゃ企業だって内部留保しかやり様がないってこと。日本の生産性が低いって当たり前。そんな訳の分からない経済状況が20年も続けば・・・デフレで現金が最も効率の良い安全な投資であったわけだから。

そういうことを政治家が全く理解していない恐ろしい国が日本だからねぇ・・・。経済学者も評論家も同じかぁ・・・。もっとも全国各地で商店街が寂れシャッター商店街になってからもう20年、温泉街に新築のホテルが出来なくなってから25年、そういう風景を見ても何も感じない政治家ばかりだからなぁ・・・。

俺の売り坊は、そうしたバカバカしさが原点なのかもしれないなぁ・・・。