今夜も米国市場を観察してる・・・習慣って恐ろしいな

今夜も米国市場を観察してる・・・習慣って恐ろしいな

習慣というのは恐ろしいもので、結構精神的に混乱したり、ある種のダメージを受けていても、こうして米国市場を眺めてる。気になるWTI原油なんかも、帰宅途中で確認したときには相当担がれていたけれど、いまはとりあえず日本市場の原油先物が引けたときにはWTIは$105辺りだったので、若干下回って推移し始めている。

これなんかはやはり昨日のよなパウエル議長の公聴会証言後に株価が下がるんじゃないか?と言うのをダウもWTIも先取りした動きなんだろうと。けれども今夜衝撃的なのは、ドル円で¥136.30から¥134.24まで何と¥2も円高方向に動いたってこと!この¥2というのはFXを取引している投資家にとっては致命的と言うほどの大きな動きなんだろうなぁと感じるよね。特に今は円安に賭けてる投資家が圧倒的に多いから、みんな大なり小なりやられてしまうよね。

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そしてその原因の一旦は米国債10年物金利の低下にあって、そのお陰で今夜のドルはほぼ全通貨にたいしてドル安になってる。ここがもっとも今夜注目して行かないことで、10年物国債金利は言い換えると10年後の米国経済の成長率でもあるわけだから、それに関しては相当にネガティブになってきたということだよね。投資家がリセッション入りを徐々に強く意識し始めてる証ってことかも。

それで、インフレの大きな要因の一つである原油価格だけど、相変わらずEUの政府首脳などからは、エネルギーのリーマンショックを引き起こす、みたいな頓珍漢な比喩をして、ブルーム辺りはそれを記事にしちゃって危機感を煽り続けてる。とにかく今は根拠もなく感情的な意見や感想を記事にしちゃうから厄介だけどね。きちんとしたレポートとかをじっくり読むと、原油の事態は供給過剰であることが分かる。サウジの増産ばかりが記事として踊るけれど、それはOPECの他の加盟国が設備の故障とか老朽化とか、人手不足とか新型コロナでダダ下がってしまった生産量を回復出来ないから、そのリカバーをしているんだよね。

それでも現状は原油不足などと言うことは全くないと言ってもいい状況。強いて言うと、ロシア産原油の禁輸などという政策を感情論で先行させて、代替輸入が後手に回ってる欧州各国のミスであり、それを煽ってるバイデン政権のミスだと思う。

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米国のシェールにしてもようやく6月、7月から増産効果が出てくるし稼働リグの減少も止まってる。しかも中国とインドはロシア産のディスカウント原油をしこたま輸入しているので、そうすれば中東からの輸入が減ってくるわけだよ。そしてインドに至ってはロシア産原油を過剰輸入してそれを自国設備で精製して欧州に鞘取り販売しているんだよ。

なので今のところはロシアの原油生産の減少は需給的にはネガティブな影響は出ていないと言うことになる。また、OPEC+の産油国、そしてそれ以外の産油国は、はっきり言って$100を超えてくれば、これはもう喉から手が出るほど売りたいわけで、ほとんどすべての産油国はすでに増産志向です。このチャンスにうまく乗れたら国家財政が立て直せるからね。ただしロシアがスポット価格もディスカウントしてるわけだし、ルーブルで支払えと無茶苦茶言ってることもあって、ロシア価格なら十分に需要はあるわけで。

と言うわけで今は原油は一大ブームになってるよね。にもかかわらず原油価格の戦争プレミアムが一向に剥落しないといのはつまり、受け入れ設備の問題とか、仲介の石油メジャーの搾取とか、とにかく価格が上方安定するように完全に操作されていると思う。出来るだけ長く、あわよくば長期間にわたって$100以上をキープしたいみたいな、強欲っぷりなわけ。

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ところが米国が、産油国になってしまったから、インフレの最も主要な原因の一つが原油価格の高騰にもかかわらず、高騰した価格を一向に抑え込もうとしていないんだよ。その意味は、国民に負担を強いてもシェールで儲けないといけないという政策バイアスがかかってるってこと。確かに対ロシア制裁の一環と言うけれど、産油国でない欧州や日本は、ただ国民の首を絞めてるだけだよ。

まして原油なんかはほぼ無尽蔵の埋蔵量が確認されてるにも関わらず、地球温暖化防止という名目で開発に対し融資も強制的に止めてしまうし、老朽化した油田のメンテナンスも出来なくなってるし・・・特に欧州各国は、裏では豊富なロシア産原油と天然ガスでエネルギー確保を担保しておいて、やれ太陽光だの風力だのと、偽善のオンパレード!これ捲ってるCO2排出権取引を大々的に復活させようという思惑でやってるにも関わらずだ。

とにかく、もうエネルギーの世界って企業も国家の無茶苦茶やってるんだよね。けれども市場取引である限り最終的には需給がモノを言うわけで、価格は需給に収斂するんだよ。はっきり言って米国は6月7月とガソリン使用量が落ちる。それでもいくら高くなっても一定以上は落ちないから、他の消費がどんどん減ってしまう。なので米国経済が今のインフレでこれ以上持つわけがないし、個人消費はすでにファイナンスの増加も預金の減少も限界にきているからね。

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FRBの利上げで最も厳しくなるのは、個人のカード返済だ。大半がリボ払いなのが通常の庶民の使い方らしいからこれからとんでもなくバカ高い返済をしていかないといけないんだよ。個人消費は顕著だから金融引き締めでもリセッションにはならない、という出鱈目をFRBが言う、というのは、実態を見ていない証拠だよね。

日本時間で23時過ぎからパウエル議長の下院金融サービス委員会での公聴会が開始されてるけど、間もなく終了する。原油もだけども、これから景気は思い切り減速するし、7月から始まる米国企業決算も今期見通しの下方修正のオンパレードだろうし、それが悪材料出尽くしになるような状況にはならないと思うしね。

そういう意味でこれから不況本番を迎えるにあたって、株でも原油でもコモディティでも、アップサイドを見て投資する時期とは思えないけどねぇ。

(アイキャッチ画像はボウマンFRB理事 7月も0.750pだって!)