株価下落は始まったばかり。今は大変革に備えるべき。

株価下落は始まったばかり。今は大変革に備えるべき。

嫌でも今回の安倍元首相の死亡によって、政治的にも日本の大転換が訪れるのはほぼ間違いないと思ってる。現状は保守一強で、公明党や維新あたりが寄り添うような形になっていて、与野党の判別がつきにくくなってるけれど、野党はもうアイデンティティをほとんど失いかけてると言ってもいい状況。けれども問題は、自民党から新しい動きが出てくると、混乱がなかなか収拾できない状況になる!?というか、ここも従来の政治力学を否定するような動きにならないと、本当に老害政治で終わってしまうことになりかねない。とにかく政治というのいは良かれ悪しかれ、明確なビジョンを示すことで成り立つもの。それがあるから、既得権益も打破できるわけで、そういうビジョンを掲げることが出来る政治家が自民党内にいるのか?というと、甚だ疑問と言わざるを得ない。総選挙でなくて参院選だから油断がある。けれどもこの選挙を舐めてると痛い目に会うと思う。まぁ、後は今日の投票結果を見ないと何とも言えない部分があるけれど、この流れは絶対に今回の出来事を起点に起こることは間違いないと、俺は確信します。

株式市場の行方

日銀の金融政策は転換するのか?

さて、株式市場だよね。週末の日経CFDは、大幅高で引けてる。つまり大引け値から¥274高となっているわけだ。安倍元首相死亡という強烈な出来事にも関わらず、海外勢は一旦の逃げ場を作りに来てるという感じ。この動きは、恐らくだけども、リフレ派の安倍元首相の訃報、そして日銀の黒田総裁の任期を考えると、多分、日本国国債を大量ショートしてる海外大口は、勝利を確信したのではないか?と思うよ。

とにかく日銀はとうとう10年物国債の50%以上を買い集めてしまったという異常な状況に陥ってる。今回の10年物国債に関する0.250p指値オペではすでに40兆円を超える買いオペとなってるわけで、その意味は日本だけが大量に金融緩和をやり続けているということ。これが果たしていつまで?という疑問に一気に決着がつくような、そんなインパクトが安倍元首相の訃報にはあったと思う。

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勿論、このまま日本で金融緩和を続けても、今以上のリフレ効果は期待できないどころか、ますます円安によって国内経済が疲弊してしまうだろうし、労働者の賃金など絶対に上がらない!上がるならもうすでに上がってるよ。と言うか恐らく日銀の金融緩和は俺は米国の要請だと思ってます。つまりは、世界の基軸通貨のうち、インフレが厳しいドルとユーロは、まさか金融緩和することなど出来るはずがなく、結局残る円だけは、日本のインフレがまだまだという状況で、唯一緩和できる通貨と言うことになるからね。今の金融緩和と言うのは、恐らく欧米、特に米国に対するバッファを作り出してると言うことだよ。

いくらFRBが金融引き締めをしても、ベースな部分では円キャリーが支えるからね。要するに今のドル円が極端に円安に振れた原因と言うのは日米金利差もあるけれど、それを背景とした円キャリーで米国経済を支える役割を担わされてる、と言うことだよ。だから40兆円もの金融緩和(指値オペ)をしても国内経済には何の影響もナシ!

と言うわけで、ここまで大した事故もなく米国株式市場は一旦の下げ止まりのような状況になっているし、円建ての日経平均は(欧米市場と比較して)本当に強い動きに見える。けれども何度も書いてるけれどドル建てでは円安のせいで米国三市場並みの下落となっている。で、これが円高になれば状況が変化する?と言うのは間違いで、円高になると株価が下落するので状況は変わらない。というか円建て日経平均は一気に下落を始めるから、要するに円建てとドル建ての乖離が縮小するだけだろうけどね。いずれにしても、少し時間を掛けて日経平均はPER13.3くらいまでは戻るかも。ただし、今回の1Q決算で業績の通期下方修正がポツポツと出てくるようならば、単なる綾戻しで終わってしまうかも。

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米国株式市場はどうなる?

良好な雇用統計、堅調な個人消費、コモディティ価格の下落、特にエネ価格の上げ止まり観が出てきて、インフレがピークを打ちつつあるという雰囲気が米国市場に出始めてる反面、良好過ぎる雇用統計、堅調すぎる個人消費という相反する経済統計で困惑していると言った感じの米国市場。反面1Q業績期待や円安のさらなる進行も当て込んだ、日本市場の堅調さが目立つということ。

しかし米国市場は、企業業績の陰りはいかんともし難いものがあって、さらには大幅な金融引き締めの継続という状況の中では、株価が戻り相場を演じるというのは夢のまた夢で、インフレの悪影響が本格化するのはこの夏以降ということになるわけで、下落相場はまだまだ継続すると考えるべき。株価は半年先、1年先の景気を織り込むと言われているけれど、その景気をどう見るかによって底値は大きく変わる。これも何度も書いてきたことだけど、とにかく今回の場合は過去の経済危機、金融危機とは全く性質が異なるもの。未曾有の、という表現では物足りないほどのまさに異次元の金融ジャブジャブ政策の果てに訪れる株価下落だという事をもっともっと意識しないといけないと思う。

株価のチャートで言えば、膨大な上値での買いシコリがある中で、簡単にそのシコリが解れるわけもないという状況。まさに今の米国経済はそんな状況になっているわけで、もちろん上値のシコリは株価だけではなく債券もデリバティブも同じ状況だということ。株価チャートで言うと、上値の強烈なシコリを解すには、急落して大量のロスカットを誘発するしかないと言うことは誰でも知っているはず・・・。米国はいま、QTによって月額約6兆円の資金を回収しているけれど、日銀が市場に40兆円もの資金をバラまけば、オツリが来ちゃう。つまりはいま世界は、金融引き締めどころか日銀によって金融緩和状態にあると、見方を変えるとそういうことになる。

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日々、ますます状況は悪化しつつあり、その上原油価格が上げ止まるとなると、インフレは全く解消できない可能性があり、このまま進めば、容易に解消できない深刻なスタグフレーションに陥ると思う。

日本市場はどうなる?

日銀が政策転換をすれば、即日本市場は暴落となるのは明らかだけど、それもそう遠くはないはず。なぜならば、インフレがこの夏以降日本でもいよいよ厳しい状況に突入するのが確定的だから。よく考えてみれば、欧米と違い日本は年々可処分所得が低下しているというとんでもない状況がある経済だという事。だから米国の8%インフレよりもはるかに厳しい状況に、簡単に(3%もインフレになると)陥ってしまうということだよ。

日本がそうなれば、もう現状の社会システムでは維持できなくなる可能性がある。年金しかり雇用保険しかり、様々な控除しかり。それに急激に圧力を掛けるのは公共料金の上昇です。

そうなると必ず日本では政治的な混乱が起きる。結局政治家は地元の声は無視できないものだから、そうした声が上がると必ず動揺するからね。それが与党内に様々な軋轢を生むし、そうなると政策がまとまらなくなってくる。とにかく今は、異常に物価が高くなっているわけで、コアコアCPI危機だからね。

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しかも、株式市場全体を見回すと、恐らく日本経済の頼みの綱である自動車がここからはかなり厳しい状況になるし、半導体製造装置も今年がピークであることは確実。というよりもしかしたら、製造装置と言えど納期先送りなどで、陰りが見える可能性も大いにあると思う。そこに仮に急激な円高が来ると、一気に暴落する可能性もある。なぜなら日本は最大級の資源輸入国であるからだ。

細かく言えば要素が多すぎて手に負えないけれど、とにかくここから買い(ロング)で勝負するというのは、中期・長期を考えると自殺行為に等しいと俺は思っている。

世界経済の行方

JPモルガンのアナリストは、これからロシアの原油供給が止まれば原油価格が$380も、$500もあり得る、とし、反対にCITIのアナリストは世界景気が悪化すると、$60辺りまで下落するという正反対の見通しを示している。しかしどちらのパターンでも、世界経済が壊滅的な打撃を受けることに変わりはないのだ。仮に原油価格が暴騰すれば、世界的なインフレは止まらずに資本主義は危機的状況に陥るだろうし、原油価格が$60になるほど需要が減退すると言うことは、そもそも世界経済は急激なリセッション入りを示す。

つまり現時点で、金融系のアナリストはまず間違いなく経済は急激に悪化すると予想しているのだ。その根拠は、従来の金融緩和政策と新型コロナ対策によって生み出された、企業や個人のオーバーローンにあることは疑いうの余地がない。そもそもFRBはインフレ抑制のために景気に悪影響が出るのは仕方ないというスタンスで、急激に金融引き締めを行うと宣言している。急激な利上げがオーバーローンに対して極めてネガティブであることを指摘しているのと同義なのだ。

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昨年末から始まった株式市場の下落トレンドは、急激な信用収縮の表れでもある。いままで、金融緩和によってジャブジャブになった資金にレバレッジを掛けてさらなる利益を追求してきたけれど、そろそろヤバイということで、投資家が一斉に少なくともレバレッジの解消を行った結果、米国株は20%以上下落した。所詮株価の高値は、大量のレバレッジ取引の結果であって、後は如何に早く見切りをつけ逃げるか。それしか市場には残っていないよね。

株式市場や債券市場、コモディティ市場でのレバレッジを解消がそれぞれの下落を誘発する。比較的需給の反映されやすい商品は、景気が後退すれば当然価格は下落する。ただし、エネ価格は全くの別物であると思う。需給で言うのであれば、供給側はやれば無尽蔵に供給可能なのだが、すでに供給をコントロールすることで、価格を維持する歴史的背景がある。いまは、そのバランスが完全に崩れてしまったわけで・・・。ウクライナ戦争の結果、原油や天然ガス価格は巨級側が完全にコントロールできることが明白になったわけで・・・。

この秋から冬にかけて、世界経済は原油と天然ガスでパニック状態になると思う。欧米が、NATOが、ロシアに圧力を掛ければかけるほど、エネ価格は上昇するのは確実で、何度もかっけれど、エネルギー供給国、産出国はそれを大歓迎するだろう。今の株価の位置、世界経済の状況は、下落途中の踊り場であると思う。

日本もまた大きな転機を迎えることになる。安倍元首相の死は大きな変化のきっかけとなる象徴的な出来事なのかもしれない。