過去の経験則が役に立たない株価下落、景気後退

過去の経験則が役に立たない株価下落、景気後退

株式も債券もコモディティも為替も・・・もう何もかもが不安定になってきて、ちょっと世界中の経済がかなり危ない状況になってるんじゃないか!?不安定になる、ということは必ずどこかに原因があるわけで、それによって投資家は右往左往するわけで・・・。

それがFRBの利上げと言うことだけど、なんか違うんだよね。インフレが高止まりして、FRBが利上げをする。株式市場はそれに一喜一憂して上がったり下がったり。株式市場のことだから、そういうのはすぐさま織り込むんじゃなないの?多くのアナリストや投資家は、そんな感じで捉えてるようだけどね。だからすぐに「底当てゲーム」が始まったり「天井当てゲーム」になったりね。

「今が買い時」「20年に1度の買い場」といって、ギャーギャー騒いでるけど、俺なんか「本当かいな?」って疑ってばかりいる。そんなねぇ・・・過去がそうだったから今回も、って考えるのはなんか違うというか性に合わないというか、疑り深い性格だからねぇ・・・。

 

だいたい昔は、とんでもないインフレ状態になったら、株はバンバン上昇するって言われたもんだよ。キャッシュで持ってたら減るわ減るわ、ってことでモノに変えたくなるって言われてて、だからコモディティと株と不動産は上昇ってのが定番だった。

それで慌てて中銀がインフレ以上に金利を引き上げて、何とかしましょうと。当然庶民の暮らしは困窮するんです。するとしばらく耐え忍ぶと不景気になって、モノの値段は下がるけど今度は収入がガタ減りになり、やっぱり苦しいまま。そこでまたなんとか生き延びる程度に耐えきれば、景気が徐々に回復してきて、なんとなく暮らしていける程度になる。その繰り返し。

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けどね、今回のインフレ、景気後退と株価下落は、ちょっと筋が違うんじゃないか?って思うんだよね。その理由ってこれはもう言うまでもなく世界中の通貨の量が半端なく増えてしまっているということ。これはどう考えてもヤバイ、ヤバすぎる!

これね、FRBのBSとS&P500の関係だけど、FRBのBSは2002年から約10倍になってるって異常だろ!その間に米国のGDPは約2倍、S&P500株価は約3.5倍だから、狂ったようにドルを刷りまくってることがよく分かる。

これって単純に考えると、ドルの貨幣価値は1/10じゃないか?でもインフレが2%程度でGDPは2倍になってるのだから、という名目でドル価値は落ちてないんだよ。で今は、落ちてないどころかバンバンとドル高になってる!

けどね、10倍もジャブジャブやって、傷口を埋め捲ってそれでGDPは2倍にしかならんって、おかしいだろ!株価も3.5倍って合わないだろ!

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で、世界のGDPの推移を見てみると、ゲンナリしてくるんだよ。

これ見ると米国はたいした波もなく一本調子で上昇してる。中国も急激に立ち上がってるけど、これは特殊要因(半分不動産)があるのでね、いまは考えないけど。そんなねぇ、GDPなんて普通そんなに増えないよ。

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これね、俺が考えるに、もっとも大きな要因は為替だと思うんだよ。いま、考えてみれば、米国はとんでもなくドルを刷りまくった(金融緩和)にもかかわらず、ドル高になるっていうのは、金利とかいろいろ要因があるけれど一番大きなのはドルが基軸通貨として世界のトレードの8割を占めるってことにある。そして米国か金融緩和をすると為替変動を嫌って世界中が金融緩和してバランスを取ってるってこと。

それをするから、ドルは常に高い。金利も高いし信頼感が高いので、世界中の資金が米国に集まってくる。いまはそういう状況だからね。

死ぬほど発行した通貨の価値がどんどん上がれば、それはもう笑いが止まらないよな。おまけに高金利でバンバン増えるしね。だから米国はワンダーランドなのよ。偉大な投資家と言われる人物も出るし、とんでもない金持ちがゾロゾロいる。なので、投資家は米国神話を絶対に疑わないんだね。

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でもその対極として米国の相手国はどうか?というと、いくら金融緩和しても大してGDPが成長しないのは、米国に投資しちゃうから。構造的にドルがないと何もできないという状態になってるので、美味しい部分は米国に吸い上げられてるのよ。本来強いはずの日本だって、主要な貿易はドル建てになってるしね。日本も中国も米国債を買っても米国から持ち出せんから投資と同じ。

それでいま何が起こってるかというと、米国が8%のインフレに見舞われてるわけで、FRBはこれ以上ドルが刷れなくなったってこと。米国企業とか米国の経営者が崇められてるけど、俺は大したことない連中と思ってるんだよね。とにかくたいした経営をしなくても、FRBがいままで死ぬほどドルを刷って支えてくれたから余裕だっただけ。

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でもね、米国の投資家や経営者は、もうFRBは助けてくれないかもしれないと恐れてるんだよ。金利は下げる局面が来年あたりは来るかもしれないけれど、QTは止めないというかQEには踏み込まないと思うしね。気が付くと米国企業って異常なコスト高体質になってる。そこにインフレ+賃金上昇圧力がかかってるわけで、業績は今後急速に悪化するさ。だからこそGAFAMは必至で人員整理してるんだよ。

だからね、俺は米国株は今が買い時とは思えなくて、今は売り時なんじゃないか?って思ってる。FRBはいまのBSを相当に危険だと思ってて、目論見としてはインフレ以下の金利でなんとかインフレが低下するのを願ってる、所謂ソフトランディングなのよ。でも、もうこれだけ通貨を増やしてしまったことで、インフレになってると言うことは、金利なんか下げられないし、QTも止められないと考えてるだろう。

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で、多分米国のインフレ退治は大失敗すると思う。いまは加速因子としてエネ価格がある。でもこのままドル高が続くと、(インフレとドル建債務で)経済が破綻する国がポツポツと出始める。そうなると、各国がドルを引き上げざるを得なくなってくるので、来年あたりはドル安に転換するだろう。それが第二のインフレ加速因子になると思うからね。

年率7%、8%のインフレが続いて大丈夫な経済なんかないから。後先考えずにバンバン通貨を増刷した経済ってどうなるか・・・。

今回は息の長い下落トレンドなんじゃないかな。過去の経験則は役に立たないと思うよ。