日米株式市場の行く末は・・・山高ければ谷深し

日米株式市場の行く末は・・・山高ければ谷深し

ワールドカップを見始めたら面白くて止まらなくなってきた。もちろん日本代表の逆転劇は爽快な気分になれたけれど、今回のワールドカップは特に面白いというか、いままで、強い国は強い、弱い国は弱い、という序列めいた雰囲気がこの大会にはあって、結果もそうなってきたというか。おかしな雰囲気だったのは日韓共催の時で、もちろん韓国を筆頭に弱い国と評される国が結構躍進したきっかけになった大会だったけどね。

それでも今回、あのサウジvsアルゼンチンの試合が決定的だった気がする。アルゼンチンはメッシを筆頭に主力が高齢化してたし、結構サウジを舐めてたというか勝ち点3を最初から当たり前と思ってたんだろうけどね。まずはアルゼンチンが血祭に上がった。そしてドイツvs日本で、これも後半の逆転劇で今度はドイツが血祭に。個人的にはエクアドルと日本が暴れる予感があったりね。日本は明日勝ち点3を獲れないとヤバイけど。で、優勝となると、楽なグループで力を温存できるブラジルか絶好調のスペインかなぁ・・・。

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今回のワールドカップの波乱要素というのはほとんどの試合が地獄のような「中3日」という日程で行われること。初戦突破で膨大なエネルギーを使わなきゃいけない国は、まず予選3試合が持たない。はっきり言って代表戦で中3日はほとんど拷問に近いと思うよ。だから予選3試合すべて一生懸命にやらないといけない国は、決勝トーナメントでガス欠になりそう。というわけで、各グループの勝ち抜き国を予想します。

Group A:オランダ、エクアドル
Group B:イングランド、イラン
Group C:アルゼンチン、ポーランド
Group D:フランス、チュニジア
Group E:スペイン日本
Group F:ベルギー、クロアチア
Group G:ブラジル、セルビア
Group H:ポルトガル、韓国

で、とにかく面白そうな試合はまずは今夜のサウジvsポーランド。サウジが勝ったりするともう大騒ぎになっちゃうだろうねぇ。ご祝儀で原油増産してくれんかなぁ・・・。それとアルゼンチンvsメキシコ。高齢メッシの最後のWPだから・・・。明日はもちろん日本vsコスタリカ。19時スタートでテレ朝とABEMAでやるらしいのでね、時間が早いから勝っちゃうとますます渋谷は大変なことに。というか日本中、明るい話題に包まれそう。テレ朝は岡田元代表監督が解説するらしいし、ABEMAは今回も本田が解説!彼の解説は本当に面白いから。そしてスペインvsドイツ。これはねぇ・・・ドイツにとっては絶対に負けられない威信をかけた試合だし・・・。

というわけで、来週は夜寝てたら罰が当たりそう(苦笑)

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さて株式市場だけど、米国は短縮取引だったけれど、なぜかダウはスルスルと上昇しちゃって8月16日の戻り高値をブレイクしてしまった!これを見てると、ダウ一極集中という感じで上昇してて、S&Pもそれなりに上昇してるけれど、NASDAQにはあまり資金が入らない。これってやはり今回の下落相場で結構みんな傷付いてて全市場を持ち上げるだけのパワーがない。だからみんなでダウ銘柄やETFを買おうじゃないか!って暗黙の合意のような感じするよね。それで一気に今年の大穴を埋めようじゃないか!っていうマインドセットだろう。

それはある意味NASDAQとS&P500を捨てたら可能なことは可能だと思う。三市場が同時に高値追いするほど、資金に余裕はないだろうし、とにかく決算までに出来るだけダウの株価だけでも吊り上げて一矢報いたいというのは、ある程度成功するかもしれないけどね。でも、それは結局ベアマーケットでの揺り戻し、ブルトラップの域は出ないんじゃないかと思う。

その一番の理由は、米国の消費の落ち込みがすでに始まってるという事。ブルームにはAdobeの調査としてこんな記事も出てる。

この記事は結局今年の商戦は惨敗に近いと言ってるようなものだよ。感謝祭の伸びは昨年比較で2.9%というけれど、インフレを考えたら件数ベースではマイナスしていることは明らか。それでもこれだけ消費があると言うこと自体が不思議というか、米国人の買い物好きを如実に表しているし、その結果限界を迎えている個人のファイナンスがさらに悪化することを意味するわけだよ。

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正直今の個人のローンレベルはリーマン前を超えているし、貯蓄率はほとんど最低レベルになっている。でも、なぜか米国人は買い物を止めないわけで、すでに15年間も続いてきた金融緩和政策によって個人の思考も緩和状態のままなんだろうね。手元にキャッシュがなければカードローンで買えばいい。勿論普段の買い物はカードのリボ払い。家賃は鰻登りで各種ローン負担はFRBの利上げで10%も増えちゃってる。カードキャッシングなんか金利20%だよ!いくら賃金が5%上昇したからと言って、こんな状況がいつまでも続くはずがないのよ。間もなく、何千万人という米国国民が、間違いなくクレジット地獄に陥るのは必至だね。

これで急激に米国の消費は、恐らく年明けとともに悪化し始める。そしてFRBがLAGSと表現してる金融政策効果の出始めまでの期間が年明けとともにやってくるわけで、はっきり言ってインフレは低下傾向になるだろうけど、それ以上に企業業績は急激に悪化してくると思う。

なので、株式市場が「FRBの金融引き締めがマイルドになる」ということの期待感を餌にして株価を吊り上げてるのは、本当にナンセンスというか、投資家にとってはリスク以外の何物でもないと思うよ。短期投資家は大いにこの相場で利鞘を抜いたらいいと思うけど、もうここからはスイングで獲ろうというのさえ危険だと思う。

今は年末ラリー、年末株高、と言って大いに株式業界は煽ってるけどね。この週末にも何故株価が上昇するのか?を合理的に説明するような記事なり、YOUTUBEなりは全くない!いくら探してもない!けれどみんな年末株高だと言っている。いま、俺が買えないのは、そういう合理的な解説がどこにもなくて、みんな雰囲気だけでモノを言ってるから。さぁ、株が上がるぞ!年末ラリーだ!という号令は、前半に1点負けてて、後半がスタートするときに期待を込めて、根性論も加味して、監督でもないのに戦術論までぶって「さぁ逆転するぞ!」って言ってるようなものだね。

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何度でも言うけれど、金融政策の効果は、早くて半年後、通常1年後くらいに顕著に表れるもの。実際FRBもこのところLAGSがあると盛んに言い始めてるけど、FRBの政策がデータ次第と言ってることこそが、リスクなんだと思うんだよ。金融政策は早くても確実に1ヵ月間は実態よりも遅れる。で、今は、消費が厳しくなってることが顕著になろうとしているのに、12月にさらに0.500pの利上げをするわけで・・・。これはもう年明けに経済の急速な悪化を招く恐れもあるし、第一消費は確実に死ぬと思う。

そういう雰囲気になってもインフレが7%台であれば、2月1日に再度0.250pの利上げはせざるを得ない状況に追い込まれる・・・。これってインフレが顕著になってるのに半年間利上げせず、QEを続けた去年から今年にかけての状況に似てるよね。欧州も中国もますます悪化する中で、米国の個人消費がアウトになったら・・・。いくらFRBでも手の打ちようがないと思う。

そんな分かり切った状況を前にして株価が上昇するというのは・・・。単純に決算対策以外に考えられないね。「山高ければ谷深し」どう取引するにしても決して忘れたくはない言葉だなぁ・・・。