期待に反して株式相場の年末ラリーは終了したかもしれない

期待に反して株式相場の年末ラリーは終了したかもしれない

来たっ!米国市場は昨日の大幅上昇の反動がどう出るか楽しみだったけど、10月PCEで消費支出が伸びていて・・・。だからそれが個人のファイナンスを悪化させていて限界を超えようとしているという実体を裏付ける結果になった。兎に角個人の信用状況が悪すぎて、今後消費に大きなトラブルが発生するのは、時間の問題でもあると思う。けれど、その割にインフレは思ったようには下がらない可能性が高い。

米国のインフレは確かに数字の上では、7%前半になる可能性が高い。ジワジワと賃料が落ち始めたし、ガソリン価格も下げ始めてる。FRBはそんな状況だから、利上げ幅を緩めるのは妥当という見解を示した。うんっ!?これって政策の矛盾じゃないか?って個人的には思ったよ。

だって、過度なインフレを目標値(2%)まで抑え込むために急激な利上げを始めたんだよね?けれどもインフレが1%下がったから、早速金利の上げ幅も下げなきゃ、って言うのは理屈が通らない。0.250、0.500,0.750、0.750、0.750、0.750と必死で利上げをやった。何故かと言えば、毎回のFOMCで前月のCPIやPCE、雇用統計を見ながら利上げ幅を決めていたから。そこには明らかに「景気見通し」は欠片もないんだよ。FRBはこれから先の経済状況に対して「わからない」と言ってるようなモノだったんだ。景気予想を出すには出してるけど、内容はあまり当たっていないしね。

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これでは明らかに経済運営とは言えないというか、金融の最高の立場の人間が集まって、ワイワイ議論して、結論は「この先どうなるかは分からんけど、とりあえず(過去の)データを見て決めよう!」ってやってる。でもそれって個人投資家が月足チャートを見てポジションを建ててるようなものだよ。当たるも当たらないも運任せ、に近い。そんなんでいいの?世界の金融政策の頂点のFRBがチャート任せの運任せ!?なんか笑っちゃうよね。

ほぼゼロ金利から現時点では3.750ー4.000まで利上げをしてきた。FFレートがこれほど急激に上昇すれば、民間ではどうなってる?クレジットカード・キャッシング20%、住宅ローンの固定金利7%、企業向け貸出金利6%~12%、個人貯蓄率4%。こんな状況でも物価はあまり下がらず消費は減らず、その上雇用統計も微減なんてことになったら「0.500pで正解でしょ」って言う方向に持って行きたいのかも。

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でもそれは金融政策じゃない気がする。「この先米国経済を、世界経済をこうするために現時点の金融政策をやってる」というビジョンが全くない。すべては勝手に市場参加者が判断しているだけ。やり方も市場のご機嫌を観測するように地方連銀総裁達やニック(WSJのFEDウォッチャー)に観測気球を上げさせて所謂「市場との対話」だって。FRBが独走すると金融システムにダメージが及ぶことを避けるんだって。

でもね、決して言わないけれど、今のインフレはサプライチェーンの問題でも、労働力不足でも、エネ価格の上昇が原因でもなく、すべては金融緩和のやり過ぎが原因だったってこと。狂ったように金融緩和をして新型コロナ禍で急加速して、財政支出も金融政策も後先考えずに、マネーを供給すればすべては解決できると思ってやってきた付けだろう?金融機関も企業も何もかも信用を拡大することで事業を拡大してきた好景気。いい気になって拙速にオール電化に取り組んだり、金融商品を作り出したり、はたまた仮想通貨なる市場を生み出したり、次はメタバースだと言ってみたり。

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資金があるから、手元にカネがあるから、いつでも資金が調達できるから、どんどん新しいことに取り組んで、とやっちゃう。それが社会の変革であり人類の進化である、みたいに言い訳をして、投資最優先、人材確保最優先、と金融緩和燃料で走る事業拡大エンジンのアクセルを踏み込み続けた。それだけやったら原材料も半導体も何もかも不足するに決まってる。労働力も不足するからサプライチェーンももうやりきれなくなる。その結果インフレになっちゃった!とまずはFRBは今のインフレ状況を総括すべき。

その上で2023年以降の経済をどうしてゆくのかと言った明確な目標を市場に提示しないといけない。いやどうしてゆくのか、じゃなくてどうしたいのか、でいい。本音では不況にしないとインフレは収まらない、と分かっていて、優柔不断な言い回しであたかも「過度の景気悪化を伴わずにインフレを抑制できるというソフトランディング可能」として変に投資家に期待を持たせるようなことをすべきじゃない。それがかえって市場を混乱させる要因になるし、だからこそ12月は荒れ相場だと書いたんだ。

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個人的な結論としてはマネーの供給量に対し見合うだけの資源や物資がないから、インフレになって貨幣価値を落とさないとどうしようもないってこと。それが今のインフレのからくり(主要因)だよ。だからランチが¥5,000になっても仕方ないんだよ。でもそれってまずは偉そうにしてないで、ごめんなさいとFRBは謝罪すべきだと思うけどね。いつまでも優柔不断な態度をしてると個人が錯覚しちゃって個人消費が落ちない。それこそ来年は地獄行だよね。

今の市場環境・・・つまり株は底打ちして上昇に向かうという雰囲気ね。俺は絶対に同意できないし、同意したくもない。今の株式市場を取り巻く状況を俺は全く信じられないのよ。みんな馬鹿の一つ覚えみに、年末高、年末ラリー、と言う根拠なき放言。予想屋やから情報を小金で買ってそれに大枚を賭けるようなことは、俺は嫌だね。間違ってると思えばFRBにも同調できないしね。

さて、どうやら年末ラリーは終わったっぽいね。