株式市場深読み:市場の大きな2つの間違い!

株式市場深読み:市場の大きな2つの間違い!

個人的にはどうしても、今の相場状況が本当に気持ち悪くて仕方がないんだよ。とにかく、株式市場はソフトランディングに向かって突き進んでるというか、なぜ確信に近い感覚で株を買う向かうのか・・・その感覚が全く理解できないんだよね。

何故株価は上昇するのか!?

株価は将来の状況を織り込むと言うけれど、今の株式市場はまるで半年先は金利は高止まりしているけれども、インフレは徐々に下がってきて、企業業績もある程度悪化するけれど、赤字になるようなことはなく何とか耐えて2024年には回復する、みたいなシナリオ。それが予測として幅を利かせているから、投資家は買う向かう。

ダウPER21.5、S&P500PER16.0、で予想EPSは現在でも上昇し続けている。そして日経平均も予想EPSも今年こそ横這っているものの、長期で見ると継続的に上昇を続けてきた。ただし、現在株価のPER12.6というのは、米国市場と比較すれば異常に低い。

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なので、日米株式市場ともに、企業業績が悪化しなければ、EPSが大きく低下しなければ、先行きの状況の如何に関わらず、居心地の良い水準を確保しようとして動くのだろう。なので、テクニカルで言うと今年大きく株価は下落したものの、EPSの伸びは鈍化しているものの、マイナスにはなっていないということで、6月底値、9月底値からジワジワと戻ってきているということになる。

ということは要するに、FRBが3月から0.250、0.500、0.750、0.750、0.750、0.750と極めて急激な利上げをしても、7-9月の企業業績は思った以上に良好だったということで、現時点ではFFレート4.000pでも今月4.500p、2月4.750pになっても十分に耐えられると、株式市場はそう読んでいる証でもある。

金融の世界は極めて複雑怪奇だけれども、株価というのは意外に単純に動いているのかもしれないし、そのことをFRBも十分に分ってるんじゃないか?と思う。ならば、先日のパウエル議長の発言内容は何だったのだろうか?その前1週間の間に、各地方連銀総裁達がやたらとタカ派発言をくりかえしていたにも関わらず、予想外にタカ的ではなかった。そのため株式市場はイケイケ色を一層強めたわけだが、どうも株式市場は「FRBの利上げ」を偏重して材料視している傾向があると思う。

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インフレ退治も景気もすべてはFRBの金利次第で決まる、みたいな結構単純な図式で動いているように見えるし、とにかくEPSが低下しないのであれば、急落前に戻って当然という思考。彼是考えても、株価とは結局その単純さに収斂するように見える。けれども自分には、そこに大きな間違いが2つあると思っている。

間違いその1:1年前と現状の違い

まず一つ目は1年前と現状の経済環境が恐ろしいほど異なっているということ。にもかかわらず、株価は企業収益から見て1年前に戻って当然と考えるのは・・・、片やほぼゼロ金利、そして現在はFFレート4.000pという金融面では因泥の差があり、インフレもより高くなっている。そんな環境下で同じと考えること自体ナンセンスだと思う。

だから株価は戻って当然というのは、極めて速やかに業績に影響があまり出ないうちに、インフレを低下させることが前提なんだけど、今の時代、インフレの怖さに対する認識が薄すぎて笑うしかないね。

というわけで、インフレに対する株式市場の認識は、救いようがないほど甘いものだと思うね。

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間違いその2:FRBの真意を見誤ってる

思うんだけど、FRBってちょっと市場を舐めてる節があるんだよ。最もFRBの思惑通りにしか株式市場は動かなかった時代がやたら長かったからだけど、それにしても「金利政策」にばかり、焦点を集めて株式市場をコントロールするのは、間違ってると思う。一方市場もFRBの思惑に乗せられて、金利動向ばかりに気を取られてるところが大きなミスなんだと思うけどね。

実際FRBって、今回非常に後悔していることは、とにかく金融緩和を遣り過ぎたってこと。特に米中貿易戦争がトランプ時代に始まってから、市場が動揺するたびにQEを発動して、底上げしてしまった。そしていつの間にかいくら金融緩和をしても、財政出動をしても大丈夫という雰囲気に世の中が染まってしまったよね。

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底に新型コロナが降って涌いて、あとはもう後先構わず、急激かつ莫大な金融緩和を長い間やり続けた。QEをやればやるほど株価は上昇してきたわけで・・・それが政策てな正解だと勘違いした。結局今のインフレは、金融緩和の限界をはるかに超えて、需給ギャップが発生してしまってその結果、供給が追い付かなくなってインフレになってしまった。

だからFRBは今回のインフレ対策の中で根本的に力を入れてるのは如何にスティルス的にマネタリーベースを縮小するかってこと、つまりは本腰を入れてるのはQTなんだと思うんだよ。FRBは金利しか話題にしないし、利上げすれば失業率も増加して景気が鈍化してその結果インフレは沈静化へと向かうと、そればかり市場に向かって話してる。

けれども出来るだけ長い期間、QTを続けてジャブジャブマネーを回収しておかないと、例えばロシアのウクライナ侵攻みたいなことが起こると、立ちどころにインフレになってしまう。インフレが増加すれば政策的に利上げをしないといけないのでね。だからインフレにならないような体質の経済を作らないと、というのが本来の意図だと思う。

それを株式市場はすっかり無視してるように見えて仕方ないんだよ。

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年明け、企業業績が結論を出す

年末高の様相を呈してきた日米株式市場だけど、2023年が明けて企業決算を気にする時期になると、俄然警戒感が出てくると思う。そしてその頃になると、やはりソフトランディングなんか期待してもインフレは沈静化することは出来ないし、企業業績にも大いに暗雲が漂い始めるんで、今のミスを修正するように市場は動くしかない。

普通に今の市中の金利水準を考えたら・・・企業の純利益はあっという間に消し飛ぶような水準の金利の中で、どうやって業績を維持しろというのか?

そして、すでに限界を超えようとしている個人のファイナンス悪化が、消費を減少させるというのも、否定の余地はない。米国人の借金病はもう異常なレベルになってしまってる。

そういうことも含めてFRBは今よりもさらに深刻な反省と後悔をしなくてはいけない時期がもう目前に迫ってると個人的には考えざるを得ない。これがこの週末の結論かな。