日銀ショック、雇用統計ショックで為替・債券・株式マーケットは激震!

日銀ショック、雇用統計ショックで為替・債券・株式マーケットは激震!

今、23日2時ですが、米国市場は昨日の得体のしれない急騰に対して急反落中で、上げ幅を全溶かしする勢いだよね。とにかく日本市場は黒田日銀ショックに見舞われ、米国市場は雇用統計の過ちを指摘したフィラデルフィア連銀ショック?やクリーブランド連銀が新たな家賃統計を公表し、家賃低下を指摘したことで、景気減速感に拍車が掛かってるという事かもしれないね。

日銀黒田総裁は孤立無援

先日の日銀YCC変動幅拡大は、どんな言い訳をしたところで実質的な「利上げ」だよね。これについては本当にいろいろなことが言われてるけれど、俺は一言で言って完全に「政治圧力」だったと思うんだよ。要するに急激な円安進行に対して黒田総裁は「日本経済にはプラス」という立場を頑なに崩さなかった。その結果どうなるかと言うと、岸田政権のガソリンやガスに対する補助がきつくなってきていたし、物価抑制の対策(ばら撒き)もなかなか続けられない。

その上防衛増税を突如言い出して支持率は急降下、政権の維持も怪しくなってきた。なので何としてもインフレを止めないといけないという事情があって、ならば日本の場合は円安によるコストプッシュが要因なのだから、これを何としても日銀に止めさせないといけないという政治判断だよ。

その裏で強く政権をリードしてるのが、もちろん財務省で、特にタイミングよく円買い介入を都合9兆円も繰り出して成功させ、神田財務官というスターを作り出した財務省は、岸田総理に「外様の黒田を何とかして」という意味を込めて、政策変更を指せるように要求したんだよ。

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もともと黒田総裁は、財務省を出てアジア開発銀行総裁ということで、毎日ゴルフ三昧の日々をマニラで送っていた。財務省からしたら省内レースを引退して省外の名誉職についた外様扱いの人物。それを安倍首相が敢えてピックアップしてアベノミクスの中心人物に据えたという経緯がある。黒田総裁にしてみれば、第一線に返り咲くチャンスだったし、ある意味財務省に対する怨念もあったろう。なので、とにかくブレることなくアベノミクスを推進することを誓ったんだよね。

ところが今年、安倍元首相が亡くなるという悲劇が起こり、宏池会に一度は花を持たせようとして賛同した岸田総理が、目の上のタンコブが取れたとみて、最大派閥の安倍派を気にせずに政策を打ち出すようになった。首相になれば当然独自色を打ち出したいだろうしレジェンドも作りたくなるわけだが、そのために全面的に頼ったのが財務省だったということ。

そしてやたらと物価対策や出産対策の給付金を打ち出したり、やおら突如として防衛費倍増、1兆円の増税という政策に出た。つまり岸田総理はばら撒きによって支持率を買うというか、国民はそれを歓迎すると思っていて、そういうことを事細かく財務省に相談するんだよ。当然財源の裏付けがなければ政策は出来ないしね。そうなるともうただでさえ財務官僚の親族ばかりなのに、完全に財務省に取り込まれてパーフェクトなポチになってしまった。

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1兆円の増税と言う話も、そんなことをしないでもいくらでも出来るのに、財務省は増税提案をする。飲ませたら財務官僚としては最大級の功績として残るからね。ここで大手柄を立てた神田財務官を潰す意味でも事務次官に就任した茶谷栄治事務次官は岸田総裁に増税を進言したということだろう。海外経験も豊富で人脈も広い神田眞人氏は次期事務次官の有力候補に踊り出たからだよね。

こうした岸田政権の取り込みや省内の人事という事情からも、外様となった日銀黒田総裁の存在も政策も邪魔で仕方なかったというのが本筋で、日本経済やマーケットへの影響などこの短時間で精査することもなく、黒田総裁は官邸の圧力に屈した。安倍元総理亡き後の黒田総裁は孤立無援だったのだろう。そして後任人事にはもちろん財務省の息のかかった人物を岸田首相に進言して決定することになるわけで、日銀の政策は転嫁せざるを得ない。

がしかし・・・その結果、マーケットは大混乱に陥ってしまった。

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FRBの利上げは米景気にオーバードース?

フィラデルフィア連銀の雇用統計に関する指摘は、今後のFRB金融政策に対し大きな影響を与えかねないと思う。米国の凄いところは傘下の連銀が独自に経済調査を発表すること。各連銀は管轄地域だけでなくFRBの視点に立った全州的な視点でモノを言うところが、日本では到底真似できない部分。財務省に地銀がモノを言うようなものだからね。

その内容が米国市場を大きく揺さぶっている。端的に言えば現在の雇用統計は、現実に則さない民間委託の聞き取り調査が主流で結果の修正、検証も適切に行われていないものだということで、完全に間違っているという驚きの指摘をこの12日に発表した。3月から6月にかけて当局は112万人の雇用増と発表しているけれど、現実にはたったの1万人しか増加していないとし、とにかく虚偽の報告を上げる州が多すぎて話にならないと。

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米国は選挙もまったく信用できないような状況だけど、雇用統計さえ州レベルの虚偽報告がなされている理由は何なんだ?となれば、やはりこれはバイデン(民主党)政権の中間選挙対策だった言わざるを得ないわけで、こうしたことが景気指標にまで及んでいるとなると、FRBの利上げは一体どうなるのだ?という疑心暗鬼にマーケット全体が覆われてしまった。

BLS(米国労働省労働統計局)の発表する雇用統計さえまったく当てにならないとなれば、FRBの利上げはほぼ全否定されるようなもの・・・。となると、今のインフレ率はどうなのか?そして重複労働報酬をカウントしてしまう賃金はどうなのか?そして果たして今年の急激な利上げは米国経済にとって適切なのか?またはオーバードースなのか?と懸念は広がる。

もしも急激利上げで米国が深刻なリセッションに陥る可能性が高くなると、このことは、世界中にどのような影響を与えるのか想像もつかない。

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23日(金)にはFRBが重要視していると言われる11月PCE(個人消費支出)が発表になる予定で、前年比5.5%が予想されているのだが・・・。今の米国の個人ファイナンスの状況を考えると、とめどもなく好調と言える消費にさえ疑問が残る。この2022年のクリスマスは、大荒れになるかもしれないのだが・・・。

重要なのはそのタイミングで日銀が政策変更を唐突に発表したことだと思う。

強烈な円買い需要で年末年始は荒れる!?

言ってみれば、今回の黒田総裁の政策修正(実質利上げ)は、長期国債を金融機関に引き受けさせるための条件づくりだったと同時に、円安に完全に歯止めをかけたと言える。しかも、米国経済が想定以上に悪化しているとなれば、FRBは2月の利上げも躊躇いかねないわけで、マーケットがそういう見方をしたならば、円高は今後進むはずで、場合によっては想定以上の円高もあり得るかもしれないと考える。

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しかしそれ以上に日本企業(生損保・銀行)が保有している外債売りに拍車が掛かるだろうし、最も懸念されるのはGPIFの動きだと思う。急激な円安の進行プロセスで生損保や地銀などは為替ヘッジ(デリバティブ)をかけていたわけで、想定以上の円高はまたノックアウトオプションで強制円買いを伴う。そもそも高値から¥17も円高にシフトしたらノックアウトに抵触するに決まっている。

クジラはオプション取引はしないだろうけど、円高による損失を食い止めようと必死に動くだろう。だからこそ、昨日は損保株が一斉に売られたということになるよね。なので、今の地銀相場、メガバンク相場は意外に呆気なく終了する可能性があると思う(ポジションを解くべきだったと後悔してる)。

たった0.250pの実質的な利上げだけど、大きな通貨スワップのみならずドル資金の流れによっては急激な変化に波及する恐れがあると思う。本来取引が減少して商いの建ちづらいこの時期に、不意に発表させれた政策変更は、日米マーケットに激震が走ったと思う。

いま3時20分、米国ダウは▲2.17%、NASDAQに至っては▲3.58%と暴落している。もちろん日経平均も▲¥500にあと一歩だ。