原油も仮想通貨も思惑外れ。退屈な週末。

原油も仮想通貨も思惑外れ。退屈な週末。

G20(財務相・中銀総裁会議)でウクライナ問題ばかり議論する必要があるのか!?と思うけれど、それでも仮想通貨規制に関する議論は多少あったみたいだ。ようやくその件はロイターに記事として掲載されたけれど、仮想通貨の相場はほとんど反応していない。ただし、意見はかなり厳しいものだったようで、ゲオルギエバIMF専務理事あたりは、「民間の仮想通貨を禁止する選択肢を排除すべきではない」などと発言し、イエレン財務長官も「強力な規制の枠組みの下に置くことが重要だ」と言っている。G20は発展途上国の債務問題(ドル金利上昇によるドル建て債務デフォルト懸念)の方が重要と見えるけど、議長国インドは仮想通貨の規制を優先すべきという態度を崩さなかった。

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そもそも、仮想通貨は・・・言ってみれば世界の金融緩和の副産物のようなもので、G20にとっては金融政策を実行する上である意味邪魔な存在と言える。しかも仮想通貨はマネロンの温床でもあって、もちろん追跡は容易な反面、一旦換金されてしまうと以降の取り締まりは極めて難しくなる。その上FTXの破綻劇を見ても、まず仮想通貨を現金化できることは全く保証されていないし、また多くの取引業者にその能力はない。とりあえず、経済に異変が起きたとき、真っ先にハイリスク資産が換金されやすいことを考えると、取引業者が破綻するのはほぼ確実でその場合、決して無視できないほどの損失が出てしまう。

そもそも仮想通貨がこれだけ増えて、しかも現状でも市場が維持されているということ自体、まだまだ金融緩和によるジャブジャブマネーがもっぱら投機的に運用されている証拠でもあり、その意味では仮想通貨が買われること自体、経済全体のインフレが鎮静化できていない証拠でもある。FRBが急激な利上げを行って住宅や不動産が一気に冷え込んでいる状況を見れば、仮想通貨の水準はいかにも高いと思う。

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今回のG20で議長国であるインドが頑なに仮想通貨の国際的規制を決めたかった背景には、恐らくインド固有の事情があったものと推測できる。現在インドで問題になっているアダニ・グループの不正会計問題と関連があるであろうという想像は容易に出来るし、そのこと以上に仮想通貨が企業会計にどのような影響を与えているのか精査する必要が、各国にあるはずなのだ。個人的にはインドのみならず欧米でも仮想通貨の会計処理を巡って今後大きな問題に発展する可能性もあると考えている。どう考えても仮想通貨が適正に扱われているとは思えないからだ。

しかし、今回のG20ではこの問題をやり過ごしたと言ってもいいかもしれない。厄介ごとは先送りする、というのは世界中共通だなと改めて感じたね。これでまぁ、マネックスの売り建てポジは失敗かなと言うことになった。

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失敗と言えばもう一つ、原油先物の買いポジも先走り過ぎたかもしれない。少し言及したけれど、イスラエルのネタニアフ首相はどうもイラン直接攻撃に関し周辺各国の同意は得られていないようだし、それ以上に戦争中のロシア批判、ウクライナ援助に参加しないことが各国から非難されているということで、攻撃が出来ないという事情らしい。

イスラエルからイランを爆撃するには、シリアやイラクの領空を通過しなくてはならない。しかしシリアの制空権は軍隊を派遣しているロシアが握っていて、イスラム民兵組織ハマス、ヒズボラへの空爆に際しては領空侵犯に目を瞑ってもらっているという負い目がある。仮にウクライナ支援をするということになれば、そのロシアに反意を翻すことになるから出来ない。しかしサウジがイラン攻撃を認めたらサウジ領空から攻撃できるという選択肢もあるわけだが、サルマン皇太子はYESと言わなかった。あえて危険に身をさらすようなことは出来ないし、過去に何度もサウジ石油施設はイランの攻撃を受けているから、安易に同意は出来ないだろう。

しかしIAEA(国際原子力機関)がイランの各濃縮レベルを公式に84%と発表したことで、逆算すれば3月末にも核弾頭を完成させるとみられることが、イスラエルの独裁者にどう圧力をかけているのかが分からない。恐らくモサド(イスラエル諜報機関)の作戦行動としてイラン攻撃は行われると思うが、そのレベルは分らない。

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ただし、イランはロシアに対しイラン製自爆ドローン1万機を輸出すると伝わっていて、明らかにウクライナではロシア軍を助けていてこれはこれで世界の批判の的ではある。なので、イランに関しては水面下での作戦行動を米国が支援するという形をとる一方表面的にはイスラエルのイラン攻撃に同意する立場はとれないかもしれない。

北朝鮮のミサイルに自国の核弾頭を搭載すれば、イランはイスラエルを射程に収めるだろうし、北朝鮮の昨今のミサイル発射実験での軌道は、明らかにイランからイスラエルへの軌道をアピールしている。それを独裁者の趣のネタニヤフ首相がどう感じるか・・・。その辺りが気がかりであるものの、有事はすぐには報道されないから・・・。原油先物のポジションも失敗だということになるね。

週末、米国市場は一段度下げたけれど、ドル円が¥136.500あたりまで進んだことを考えると、月曜火曜辺りには日経平均が戻り相場になるかもしれない。けれど、来週の局面、どう考えても10日のMSQを意識すると「下」を考えざるを得ないのかも。今のところ水曜の後場あたりのポジションが勝負かな、と思ったりしてます。

いつも厄介極まりないドル円だけど・・・。いやいや本当に厄ネタだね。