FRBに疑心暗鬼なマーケットとバイデン降ろし

FRBに疑心暗鬼なマーケットとバイデン降ろし

今の相場の難しさ・・・それは経済を論じただけでは正解を導き出せないということかもしれないと、いろいろな情報を知れば知るほど感じるようになってきたよなぁ・・・。いま最も疑問なのは、なぜ市場はFRBに逆らうのか?ってこと。マーケットの鉄則は当局に逆らうな、ではないの?

表面上はウォール街はFRBを尊重するような態度を見せるけど、本当はかなりFRBに対して懐疑的なんじゃないか?って思うよ。なぜならFRBは今のインフレが高まってきた最中(2021年夏~秋)に「このインフレは一過性で年内には沈静化する」とはっきり言っていたわけで、結局それが思うに任せずに年初(2022年)には、苦し紛れにQEを3月に終了すると言い出した。

イエレン財務長官などはもっときっぱりと2021年末までに正常化すると言っていた。イエレンは前FRB議長だったし、その辺の判断というのは今考えると全く的外れもいいところだった。けれど2月になるとロシアがウクライナに侵攻してエネ資源を筆頭とするコモディティ価格が急騰し、インフレが止まらないことがはっきりすると、今度はFRBの金融政策の及ばぬ次元、と言い出した。

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少なくともロシアのウクライナ侵攻は、インフレ高騰の直接的な原因にはなったことは確かだけど、根本的な部分は過剰な金融緩和による大量の資金バラ撒きだったということは間違いないわけで、その反省は今日まで正式には行われていないよね。新型コロナだったから仕方ないという言い訳はあるにしても、その時に金融当局として「インフレを覚悟」する必要があったのではないかな。結局それがなかったから、インフレ対策が約1年後手に回ったというのは否めない。

そうした経緯から、マーケットはFRB万能説をすっかり見縊っているように感じるんだよね。FRBだって間違えるという感覚、FRBへの信頼感がかなり希薄にならざるを得ないということを、投資家は心の底に抱いているんじゃないかって気がするよ。いや、それは投資家だけでなく、個人も同じで、だからこそ米国の個人消費が落ち込まないんじゃないかって思える。楽観的と評される今の米国経済(マーケット・個人消費)は、FRBがタカ派的になればなるほどそれに反発するセンチメントの表れじゃないか?

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でもこれはこれで、非常に危険であることは確かで、馬鹿げた金融緩和でジャブジャブになっていたからこそ、こんな急激な利上げをしても金利高を吸収して経済は極端には後退しないで済んでいる。つまり世の中に余力が有り余ってたってことなんだろうと思う。でも、ここでインフレが高止まりするようならば、FRBは利上げを止められない。世の中に余力がなくなって来て、いよいよ膨大な債務に対する利払い等の問題が噴出してくると、デフォルトの連鎖になることも十分に考えられわけだが・・・。

こんな状況だから、インフレは高止まりしてしまうのは、ちょっと避けられないかもしれないと。さらにインフレに追い打ちをかけるような出来事がもうすぐそこまで来ているかも、と思っている。それがウクライナ・ロシア停戦なんじゃないかって思うんだよ。

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この戦争ってますます泥沼化するんじゃないか?って思っていたけれど、正直これ以上戦争する余力は、ロシアにもウクライナにも残っていないと思う。そもそもロシア軍の主戦力はワグネルという民間軍事会社のいわば傭兵だ。緊急で徴兵された兵士はもちろん戦場では使い物にならなくていわばワグネルにとっては人間の盾のようなもの。一方ウクライナ軍もいまやほぼ戦力は壊滅していて、戦闘の主力はポーランドの4万人以上に上る義勇軍だからね。それでもどちらかと言えばロシアに分があると思うし、これ以上戦争を続ければ、恐らくウクライナは負けるんじゃないか?って思うよ。

この戦争を民主主義と独裁主義の戦、みたいに考えるのはちょっと違ってて、やはり原点に回帰するとNATOとロシアの戦なんだと。そもそもNATOの加盟国拡大が、ロシアにとっての最大の脅威であって、それがポーランドまで迫ってきたことやウクライナがNATO加盟を主張したことが、プーチンを刺激したことは間違いない。はっきりNATOの仮想敵国はロシア以外に考えられないからね。

つまりはNATOの勢力が拡大すれば欧米の軍事産業にとってはビジネスチャンスの拡大になるわけで、現にその思惑通りになってきた。徐々にNATOの勢力圏が拡大してそれが隣国にまで迫る、というのは、そしてそこがかつてのロシア領土だとすれば、それはどう考えてもロシアにとっては軍事的・経済的に脅威だろうしね。

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そこでこの時期になってバイデン大統領はキーウまで出向き、ゼレンスキー大統領と会談した。しかし・・・ロシア軍はいまだにキーウにミサイルを撃ち込んでるんじゃなかった?そんなところに出向いたデヴィ夫人も大したものだけど、米国の大統領がポーランドから列車に乗って行くって何それ?って感じするよね。米国はロシアに事前通告して攻撃を控えさせたということだけど、なんじゃ?それ?ってこと。つまり現時点では米国とロシアでは相応の話し合いがついてるってことなんじゃないか?

となるとウクライナや北欧三国のNATO加盟はしないという条件で、そう遠くない将来にドネツク、ルガンスク、そしてクリミアは諦めるという恰好で手打ちになるかもしれない。そういうのを利用するやねこい中国が停戦案を勝手に出してきたりしてるしね。

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米国では完全にバイデン降ろしが始まってる。次期大統領選挙に出馬すると意気盛んらしいけど、そんなことを真に受けてる米国民も少ないし、民主党内部でもどうやってバイデンを降ろそうかっていう動きがある。だからこそ今頃になって米国の機密文書がガレージにあった、車中にあった、などという仕掛けとしか思えないことをFBIが発表するわけだよ。もちろ息子のハンターPCのことも出始めてるしね。先だってトランプ前大統領も機密文書が押収されたけれど、それって公平を演じるポーズだったんだね。後になって大統領には機密解除の権限があるので、問題にならないなんて言うことになったけどね。バイデンのは副大統領時代のものだからアウト、みたいなことになってる。

そういうことをバイデンも分かっていて政権は次期選挙を睨んで、今回のロシア・ウクライナを停戦に持ち込んで何とか人気回復を図りたい、民主党の指名を勝ち取りたいと思ってる。そのために動いてるとしか言いようがないしね。

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と言うわけで、今度は停戦というサプライズが、欧米のインフレを助長するんじゃないかって思うよ。なんとなく天然ガス価格は底打ちしたような動きになりつつあるし、金(ゴールド)や銀(シルバー)や銅の相場は、有事のプレミアムが剥落するような動きになってきた。そして原油価格はどうなるか分からないし、米国は$72以下になれば放出した国家備蓄の補充を始めるというんで、相場を下支えしてしまってるしね。

それにそもそも停戦したからと言ってロシアに対する経済制裁が即解除されるわけでもないし、そうなるとマーケットは停戦を好感して沸き上がるから、またしてもエネ価格、コモディティ価格が上昇してしまうだろうしね。

なんか、そんなシナリオをマーケットは描いているのかな?と思ったり。そうでも考えないと、今の株式市場、債券市場、ドル円、コモディティなんてとても理解できたものじゃない。個人的には相場が急落、暴落するのは、その騒動の後かなって思ってるけどね。そういうのってFRBの管轄外だからねぇ・・・。