世界は金融危機を回避するも景気後退は急激に!

世界は金融危機を回避するも景気後退は急激に!

今夜の相場、米株が反転してくれて何とか日経CFDも、一時は引け値よりも▲¥300と言うところ辺りまで突っ込んだものが戻ってきてくれたので、ようやく一安心して寝れるかな?という心境です。まぁ、戻すだろうと踏んでの買持越しであったわけだから、ヤバイと書いたけれども今夜中には戻すんじゃなかろうか?という期待はあったけれどね。まだ始まったばかりでどうなるかは分からないけれど、多分今夜は余計なニュースが出なければ大丈夫だろうと思ってます。

で、さっきまでせっせといろいろ調べてましたけど、どうやら今回の金融危機は一旦は整理がついたかもしれない、と思ったのでその辺を書きます。(結構気合を入れて調べたので、役に立つかもしれません)

SVB破綻のからくり

今回のSVB破綻に関してはどうも腑に落ちない部分が多くて、一体何が原因で破綻に追い込まれたのか?をいろいろ調べてみたけれど、結局どの情報も曖昧なことばかり書いてある。まともなものでは「米国債30年物、10年物といった長期債に偏重して他行よりもはるかに大きな比率で債券投資をしていた。それがFRBの利上げによって時価が毀損しているという噂がSNSで拡散されて取付騒ぎとなり預金流出によって極端に減少した準備金確保のために保有長期国債を損切せざるを得なくなった」ということだと・・・。

でもこんな記事突っ込み処満載で、普通は経営が危なくなるほどの預金流出などはあり得ないし、許さないだろう。例えば邦銀メガだって個人の場合、限度額とか実に様々な規制がある。法人でも多額の資金移動が出たら必ずチェックが入るしね。けれど、とにかく容赦なくSVBからは預金が引き出されたということ。それも(邦貨換算で)億単位、数十億円という預金がバンバン引き出されたわけだよ。

と言うかVC専門の投資会社と紐付き取引が大半だったらしいから、大きな資金がバンバン預金されてきたので、とりあえずそうした資金を長期国債偏重で運用するという素人経営をしてたみたいだけどね。

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なのでこの構図から考えると、大量の預金流出と言うのがなぜかノーチェックで行われた結果、気が付くと準備金が枯渇したということで、手持ち債券を一気に売却せざるを得なかった。その時毀損した資産を補充しないと、と言うことで増資を発表するけれど、SNSで破綻の噂が飛んでいて時間も無くなっていた。つまり今のペースで預金を引き出されると準備金枯渇が露呈して一気に信用喪失し破綻に追い込まれてしまう。そうなると他行に飛び火して大規模な金融危機に瀕する恐れがあるということで、カリフォルニア州はいち早く破綻認定して連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に置くとした。

けれどもこれだけではどうも納得できないんだよ。だって準備金残高なんて常にモニタリングしていただろうし、FRBの利上げは1年前から始まっていて0.750pを連発してから半年も経ってるわけで、当然国債もだがMBS(不動産担保証券)の価値下落も急速とは言え昨年秋から顕著になり始めたこと。なので、どう考えても今の今まで気づかないはずがないんだよ。どんな経営者でもね。

だから今回のSVB破綻の原因は、「仕掛けられたもの」としか考えられないんだよね。そしてそれが分かってるから、州当局もFRBも緊急で口座を閉鎖するとともに破綻認定してしまって、債券売却の資金流出を防ぎ、預金全額保護を打ち出してパニックを防止したという事だろう。これは多分に経済犯罪的な匂いがプンプンする破綻劇だよ。

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米国金融不安は収束へ

SVB破綻は当然ニュースとなって全米に配信されたわけで、当然米国中の中小銀行では預金の取り付け騒ぎとなったけれど、今の時代なので窓口に出向いて現金を引き出す、というのはニュース映像としては成り立つのかもしれないけれどたいした金額は引き出されない。それよりもネットバンキングで米国メガバンク口座に移す方が圧倒的に大きい。個人も企業もそうした行動に出たことは確かで、シティやバンカメなどでは数日で数兆円の預金流入があったらしい。

結局SVB以外に仮想通貨絡みのシルバーゲート銀行、シグネチャー銀行の破綻とかがあったけれど、金融不安が波及したという性質でもなくて、仮想通貨の下落が原因だったりするし、破綻に瀕しているサンフランシスコのファースト・リパブリック銀行は恐らく身売りとなる可能性が高い。

けれどもいずれの場合でも債券投資の毀損とは言っても、流動性を失ったサブプライム債券の価値毀損とはまったく事情が違うわけで、米国債投資や社債投資などは、金利上昇で価格は時価は毀損しているかもしれないけれど、償還を前提ならば価値毀損とは言えないし全額保全なのだ。その意味ではリーマンショックのような金融システム崩壊とは全く異なるものであるという点、そしてトリガーになったSVB破綻は多分に意図的な操作によるもの、という点でも米国でのこれ以上の金融不安は拡大することはないと思う。

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FRBは全行検査を4月に実施する

これら一連の事件を通して米国政府(財務相)とFRBは、上限のない預金全額保護を打ち出すとともに、4月中に全米の銀行に対して全行検査を行うと発表した。従来のストレステストでは上位行指定や対象選別が行われたが、今回は一斉全行検査ということで、米国中の銀行の財務状況がすべてチェックされることになる。

その場合、資本状況や準備金状況、融資や投資の検査はもちろん、ハイリスク取引のチェックや貸出金利のチェックなども行われるわけで、すべてとは言えないものの、かなりの部分で米国銀行の健全性が担保されることになるだろう。勿論銀行側も検査前に身綺麗にするという自浄作用も加わるので、銀行そのものの財務体質は従来よりもはるかに改善されることは間違いない。

しかし問題は、4月以降銀行の貸出基準はさらに引き上げられることになり、場合によっては貸し剥がしや条件変更などが発生しやすくなるために、米国経済は相当な影響を受けると想定されること。今まで出回っていた資金の縮小や新たな融資も従来のようにはできなくなるために、FRBの0.250p利上げよりもはるかに大きな影響になると思われること。

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これは日本のバブル崩壊後の金融危機に至る10年間の間に幾度となく行われ、結果として規模の大きな銀行はこうT系資金の注入で資本の回復を図ったという経緯とほぼ同じだろう。その間に融資を受けられなくなった最も著しい分野が不動産で、以来不動産価格は20年間にわたって下落し続け、それが資産デフレの主要因を作り出したという経験がある。

さらにレバレッジド取引に関する融資も大幅に規制されることになるわけで、恐らくFXや仮想通貨などは影響がを受けやすくなる。またFRBの利上げ効果が出始めたところで、銀行一斉検査が行われるということは、米国の景気後退を能動的に促進する効果があるだろう。

クレディ・スイス問題の行方

米国の金融不安と同時に欧州でもクレディ・スイス銀行の株価暴落で、急激に破綻懸念が高まったことで、今回の金融危機が助長された部分がある。同時に財務的な脆弱性を抱えるドイツ銀行やBNPパリバなども槍玉に挙がっているけれど、スイス中銀が約7兆円を上限とする支援を発表し、現在では沈静化に向かいつつある。

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クレディ・スイス懸念は同行の財務実態が不透明ということで、今回のスイス当局の支援で足りるのか?と言う懸念や、破綻は回避できないのではないか?という不安が株式市場に蔓延しているわけだが、見方を変えるとスイス中銀は単純に約7兆円もの融資を実行するのではなく、結果的にクレディスイスを国有化することになると思われる。

つまり、米国の銀行一斉検査以上にクレディ・スイスの内部実態を解明し、根本的な改善が行われるということで、そうなって初めてクレディ・スイスの財務実態が判明するのだと思う。そもそもクレディ・スイスは株式や債券だけでなく子会社を通じてコモディティ投資への多額の融資を行っていたり、ドイツ銀行同様に期限付き株式転換を条件とした高利回りのCOCO債もあり、また個別契約のデリバティブを多額に抱えているわけで、破綻するようなことにでもなればあっという間に全世界の金融に波及することが分かっているわけで、安易な処理は絶対に出来ない。

さらに昨日今日の原油や米国債金利の不可解な動きからも、クレディ・スイスの影響があってのことと思われる。したがって、クレディ・スイスの抜本的な財務体質の改善は始まっていると個人的には見ているので、現時点では破綻懸念は無くなったとみても良いのではないか?

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日本株は戻りを試すフェーズへ

基本的に日本株投資しかしない身として、株式投資の様々なリスクを考察しながらブログを書いてきた。でも、流石にこのところの日本株下落の動き、特に金融株の強烈な下落には、何の根拠も見いだせないという結論です。メガバンクや生損保株の下落などは本当にオーバーシュートしていると感じて、買いポジションを持ち越したわけだが。

これから高配当銘柄を中心に戻りを試すフェーズになるかもしれないと思った。今夜の米国市場も大幅にリバウンドしているけれど、株式市場には一定の安心感が出たのではないか?

さらに言えばゴールドマン・サックスのアナリストは、FRBは3月利上げをしないのではないか?というレポートも出してきた。コンセンサスは0.250pの利上げと言うことだけど、個人的には利上げをしたら4月には景気が急降下するだろうし、株価は5月~6月に底を打つような動きになると思っている。なので今夜調べた限り、ゴールドマン同様にFRBは利上げを中止する可能性もあると思っている。

なので日本株は明日から戻りを試すだろうけど、22日のFOMCが非常に重要になってきた。