日米株式市場は下落トレンドでの戻り相場!?

日米株式市場は下落トレンドでの戻り相場!?

ようやく米国雇用統計が弱くなりはじめ、いままで高インフレ下で続いてきた、異常なまでに好調だった個人消費に陰りが見えてきつつある兆候と受け止めてる。UAWのストライキの影響もあるらしいけど、今後失業率が4.5%程度になれば、FRBの言うインフレ2%に近付くのだろうけど、そこに至るプロセスがマイルドならば、それはまさにFRBの狙い通りと言うことになるんだろうね。

10月米雇用統計と・・・

21:30 (米) 10月 非農業部門雇用者数変化 [前月比] 33.6万人
(29.7万人)
18.0万人 15.0万人
21:30 (米) 10月 失業率 3.8% 3.8% 3.9%
21:30 (米) 10月 平均時給 [前月比] 0.2%
(0.3%)
0.3% 0.2%
21:30 (米) 10月 平均時給 [前年同月比] 4.2%
(4.3%)
4.0% 4.1%

一方雇用統計はいいとして、個人的に気になるのは、急激に悪化しつつある10月ISM非製造業景況指数の方。

23:00 (米) 10月 ISM非製造業景況指数(総合) 53.6 53.0 51.8

いままで米国経済を支えてきたサービス部門の数値が妙に悪化を始めたこと。で、ここには異常なまでに高騰していた自動車関連費用(リペアなど)やら、家賃なんかも入ってるんで、好ましいと言えば好ましいのだろうけど、それにしてもISM製造業景況指数よりも、端的に米国経済を表現している数値なわけで・・・。

これが雇用統計とほぼ同時に発表されるというのは、非常にいいこと。こうしたことをFRBパウエル議長は利上げの効果がようやく出始めた、と表現したけれど、まさにその通りだよ。いずれにしても米国の実体経済はタイトになり始めたというのは間違いないと思う。

FRBは利上げ終了だが

10月時点でこの雇用統計の数字が出たことは、ほぼ完全にFRBの利上げは終了したとマーケットは捉えたし、実際にその通りだと思う。この流れで米国債10年物金利は、結局5.000pで天井打ちとなったわけで、4.500~5.000くらいでは買いという選択になるんだろうと思う。そして、財務省・日銀が介入する必要もなく、ドル円は現在¥149.330辺りまで円高になった。

そこで日本企業は恐らく今期想定レートを変更してくるんじゃないか?と思ったら以外に¥135前後で据え置いている企業が多いんだね。でもトヨタなんかは¥141に切り上げてきたし、SUBARUなんかも¥140と切り上げた。だから今のところ日本企業は下期でも為替差益が相当に積み上がる計算になる。もちろん円高になればなるほどその額は減るのだろうけど、それでも海外の景気が悪化しても通期予想は堅いということになるかもしれないね。

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さて、それでも今回、米国財務省のイエレン財務長官は、大きすぎるノンバンクをFRBに管理下に置く準備をしていると発表してる。ノンバンクと言ってもそれって何?みたいな部分もあるけれど、大きなファンドとか金融を取り扱う銀行以外の金融機関全般と言う意味らしい。来年の大統領選挙を控えて大きな事故が起こっては大変ということで、銀行だけでなくノンバンクもFRBに管理させる法律を作ってしまえ!ということ見たい。

その意味は、此の先例えば商業用不動産関連が破裂したとき、ノンバンク融資が大きく傷つく可能性を示唆してるわけ。いまは、商業用不動産融資が多いのは地方銀行だ、と言われてるけれど、そんな地銀ごときの融資では今の不動産開発は出来なかったと思うよ。リーマンショックの時に最も傷ついたのは銀行ではなくAIGという保険会社だったわけで、その時はCDSの引き受けとか、大量の債券とか、その他ありとあらゆるものに投資していた実態があった。

なのでそうならないように今の内に手を打っておこう、という意味なのか、景気悪化に伴って米国金融がさらにこの先タイトになるということなのか、すでに何件かヤバイ報告を受けているのか・・・そうした可能性はかなりある。だって、FRBの金利引き上げ効果が出始めているんでしょ!

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日米株式市場暴騰だけど

さて雇用統計を受けて、米国三市場は戻り足を鮮明にした。けれどそれ以上にぶっ飛んだのは日経平均CFDで、何と夜間で¥768高と大暴騰状態になって戻ってくることになった。でも既に書いたようにこういうことになっても別に不思議には感じていない。日経225 EPS¥2,157になったのであれば、CFD\32,718はPER15.17でしかないわけで・・・。

兎に角雇用統計を受けて、これはヤバイというので先物ショート(CFD)が一気に買い戻されたという事なんだと思うし、それほどインパクトのある数字だったという事だろうけどね。こうなると月曜の日本市場は現物・先物ともに嫌でも買いが先行して始まらざるを得ないので、下手をすると¥1,000高なんていうこともあり得るんじゃないかな?

今頃焦ってる投資家も多いだろうし・・・。焦ってるという意味は「踏み上げられたショート勢」と「乗り遅れたロング勢」という意味でね。だからここは日経平均¥33,000上がどこまであるんだろう?と言うのが目先の読みになるんだろうけどね(そうするとやはり・・・¥33,500前後ってことになるんかね?)。

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問題はいつ相場が反落するか

FRBが利上げ終了することの意味は、景気が徐々に陰ってきてるという意味でもある。そしてそれは景気指標の遅効性を含んだ判断だと思うので、必ずしも米国経済の現状を反映しているものではないという意味もある。流石に1ヵ月や2ヵ月でコロコロ景気が変わるはずもないだろうけど、いずれにしてもジワジワと悪化するフェーズに突入していることは確か。

仮に景気が徐々に低下するというプロセスだとすれば、FRBの金利据え置きっていうのは、利上げと同じような意味を持ってくるよね。実体経済が悪化してくれば同じ金利でも実質的には金利上昇と同じ意味だから。

なので、本来株式市場は、利上げ停止を好感して急騰するというのは、一時の感情論に近い値動きと言うことなんじゃないか?だから戻り高値を今回は慎重に見極める必要があると思ってる。株式市場が金利を意識するのは、最終局面なんだと思うし、ここから先は景気が先行して悪化してゆくプロセスで、FRBはインフレ低下が十分に確認できた時に利下げに向かうことになる。

結局イエレン財務長官の発言は、完全にそのことを意識しているんじゃないかな。

じゃ銀行以外のノンバンクがFRB管理下に置かれるということは、有事の時にはまたぞろFRBがジャブジャブ資金投入して救済するという意味でしょ。結局はこの繰り返しなんだね。

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日本株は所詮ドル円連動

ならば此の先日本株がどうなるか?それを考えたとき、いまはまた日本株独歩高論が出始めるだろうけど、所詮は今の日本企業の好景気はドル円と外需に支えられたものだということを、忘れたらいけないと思うんだよね。第一、これだけ政治家が狂った様なことをしてて、官僚も隙あらば増税、なんて考えている国の経済が良くなるはずがないもの(米国もそんな感じだけど)。

所詮は偶然頼みの経済だってこと。いい時代になればいい思いが出来て、悪い時代になったらそれこそ我慢するしかない、みたいな企業経営をしてて経済が良くなるはずがない。それでも企業や政治家、役人はいいけれど、個人にいい時があったか?では今は個人にとっていい時代なのか?

とんでもないよ。個人はいつも、ここ30年間、いいことなんかまったくなかった。

これから米国はますます、日本から絞ろうとするでしょ。そもそも米国経済なんて日本も含めたGDPなんて考えてるんじゃないの?最近岸田が従順なのでますます、日本は米国の州のひとつ、くらいに思ってると思うよ。ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカってそういう意味でしょ。

だから2度と日本経済独歩高なんて許さないだろうしね。

というわけで、日本株はまだまだ下落トレンドの中に居ます。