11月相場:現時点での日米株式市場の地合いと懸念

11月相場:現時点での日米株式市場の地合いと懸念

立会日ならば今、大引けを迎えたところだけど、日経平均CFDは¥32,425(△¥475)と絶好調。もちろんアップルの決算がちょっと・・・という状況で▲3.6%下げているにもかかわらず、ダウCFDは△$58と続伸模様、NASDAQ CFDは流石に▲0.25%くらいで推移しているけれど、まぁ、日本株には影響なしと言ったところ。

今の株式市場の地合い

さて、今日見るべきところは、個人的には「世界同時株高」であるという事だと思ってます。もしかしたら底打ちしたのではないか?と見られてる欧州経済はウクライナへの関心が薄れつつあるということもあって、日本株同様に3日続伸したし、香港の裁判所が中国恒大の清算命令を12月に先送りしたことで反転しているし、他のアジア株も大きく戻してます。

この傾向は中東情勢がイスラエルとハマスの紛争に留まり、他国へは波及しないとマーケットは決めてかかることにした、とも受け取れる・・・。相変わらずドルインデックスは高止まりして揉みあっているけれど、米国債10物金利が下がってきたことを好感しているということじゃないかな。

これはとても今夜米国10月雇用統計の発表があるという当日の動きじゃないよね。雇用統計はやはり大きくブレない限り無風と言うコンセンサスが暗黙の内に出来上がってるという事かもしれない。となるとやはり、今日書いたように少なくとも11月の懸念要素は仮に14日の10月CPIと15日の10月小売り売上高を凌ぐようなことになると、これで8割方11月の株高は決まりなんじゃないか?ってことになる。

もちろんそれに呼応するようにVIX指数も15台に急落したからね。

ならば、売り坊の俺としては11月に何を気にするか?と言えば、FOMCを凌いで今夜の雇用統計に異変みたいなものが起こらない限りは、まだ景気後退は回避できる水準を米国経済は十分に維持してしまうということ。実態はもう少し悪化しているのだと思うけど、少なくともマーケットは次の景気指標で確認するまではそう見てるし、14日、15日を凌ぐとこのまま年末ラリーまで一直線という目もあるかなと。

なのでそれらの条件を覆す要素が出るか出ないかを注意深くウォッチする。1)米国債10年物金利の再上昇、2)ハイイールド債(HYG等)の状況、3)原油価格、4)企業破綻、と言うことになる。で、全力売りポジで向かうという時は、この中で一つでも懸念が増大したときなんだよね。

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米国経済の何を見るのか?

1)米国債10年物金利はそう簡単には低下しないし、今回のように5.000付近から4.675まで急低下したときにはやはり揺り戻しが起こる。で、今回の金利低下でドル円は¥1程度しか円高にならなかったことを考えると、揺り戻しが出れば今度は¥152突破の可能性が高くなってその時には介入懸念が一気に高まるから自動車売りとかポジるわけだ。

2)この2,3日、実は米債への安心感からHYGが急騰してる。同様にビットコインも500万台まで急騰してるけど、それらは地合いがしっかりしてきたことの証拠になるよね。もっと言うと例えばハイイールド債(ジャンク債)なんかが買われる背景は、ちょっとヤバイ企業が破綻する可能性が地合いの好転で激減したという読みを米国投資家はしてると見れるし、ビットコインのようなリスキーな資産に資金を入れる安心感がでたということも言える。

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3)原油価格については、WTIの下値が$80.2辺りまで昨日突っ込んで、いまは$82.8近辺まで戻してる。これなんかは$95手前辺りからショートを仕掛けたヘッジファンドのポジションはまだ動いていないだろうけど、そろそろ実需の買いが入り始めてるのかも。もしも、ここでヘッジファンドが苦戦するようならば、どこかのタイミングでショートカバーしてくるはず。その時期を中東紛争と掛け合わせて考えて、俺は上手くいかなかったんだけど、読み自体は悪くないと思ってるんだ。

多分ね、中国恒大の清算命令を12月に先送りしたことで一番がっかりしたのはショートを仕掛けていたヘッジファンドじゃないかな。本当に中国ってロクなもんじゃないね。でも、もしも原油が暴落するようなことがあると、やっぱりいち早くHYGが暴落するだろうから、インフレよりもその方が怖いわけだけど。

4)企業破綻はやはり、商業用不動産関連とかのHYGをたくさん起債した企業だよ。FRBのパウエル議長はQTは続けると力んでいたけれど、地銀に対する資金投入もこのまま続けるはずで、金融システムは多分大丈夫なんだろうと。けれども債券価格の下落は耐えても融資の穴を埋めることは出来ないだろうから。やはり今の米国経済では不動産のバブル崩壊となると、やはり景気後退入りは避けられないと思うのでね。

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日本株が買われる理由

日本株は絶好調と言ってもそれって日本企業を評価して買われてるわけじゃないのよ。だから本当は評価なんかしたくないけれど、嫌々でも評価せざるを得なくなってるのはトヨタくらいなもので、後はGAFAMのような企業があるわけではないしね。

では何故買われるのかと言えば、ドル高だから。そんな単純なものでもないけれど、今の金融界と言うのはこれだけ日米の金利差もでて為替が円安になってくると、儲ける手法はいくらでもあるからね。要はギャップが出さえすれば技術的にいくらでも儲けることが出来るようになってる・・・くらいしかここでは書けないけどね。

でもやはりそうは言っても日本市場は米国市場と連動する傾向がある。というかいつだって特殊な事情が生じたとき以外は連動相場でしょ。それは、海外勢の資金が・・・と言うよりも今の金融の仕組みに依存するんです。ある程度連動するように回さなければ利益が出ないような仕組みになってる、と言った方が正解かも。

だからこそ、米国を注意深く見なければ勝てないということになるんだよね。もしかしたら、病状によっては引退するかもしれないし、だから機会あるたびにちょこちょこと投資手法を書いて行こうと思ってます。