金融の世界、最後は出鱈目に回帰するのが常

金融の世界、最後は出鱈目に回帰するのが常

WBCで村上の逆点さよならに沸いたけれど、あすはいよいよ日米決戦になる。金融危機が去って楽観相場に戻りつつあるような米国市場だから、月曜の大勝負は今のところ完敗するのがほぼ確定的。でも正直、株式投資をしてるよりWBCの方が面白いし楽しいからなぁ・・・。TV観戦しちゃうかも。それに米国市場がまともなら今夜は下げてくると思ってるんで、多少の期待はしているんだけど・・・。火傷が少しでも軽くなれば・・・という感じです。

さて、話題はやはり金融システム懸念になるけれど・・・なんか株式市場が楽観してるのが、ある意味滑稽に見えるほど、今の状況は悪いと思うんだよね。それにまずはクレディ吸収に関してもあまりにふざけ過ぎてるかなって感じるのでね。クレディのAT1債(CoCo債)が株式転換されずに無価値になったというのも、酷い話だなと思ったので、そのことから。

AT1債(CoCo債)とは偶発転換社債ということでトリガー条項付き高利回り劣後債と言えばなんとなく分る感じがする。要するに例えば発行する銀行の自己資本率が低下してしまった場合には、(トリガーに抵触すれば)AT1債は劣後債ではなくて株式に転換されてしまうという性質がある。通常の弁済順位は高い順に(借入金)ー(普通社債)ー(劣後債)ー(CoCo債)ー(株式)となるはずだけど、UBSによる買収は全額株式交換で行われるので、株式はUBS株22.48分の1で何とかゼロにはならない。

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このAT1債(CoCo債)全額償却という発表は、銀行は強制的に弁済順位を変えてしまったということになり、このことはとんでもない前例となるかもね。債券の契約内容にもよるけれど、株式に転換されるはずだったのに償却では、明らかにステークホルダーにとっては無理筋だろうし、金融モラルも無視している最悪の措置だから。こんなことがまかり通るのであれば、破綻を何が違うのか?ってことになる。

なのでこれだけでも、欧州金融危機が起こってもおかしくない内容で、同様にAT1債(CoCo債)を連発して自己資本は大丈夫としてるドイツ銀行もこれ以上株価が下がり続けると同様の措置になるのでは?と投資家は考えるだろう。

そもそも現在金融機関に適応されているバーゼルⅢは株式・内部留保合わせて8%の自己資本率を維持することが求められていて、特に普通株式、内部留保、優先株式といったTeir1分類、の比率は4.5%以上。従来の低金利時代に社債を発行しても逆ザヤになるだけなので、バーゼルⅢのバッファーとしてCoCo債なるヘンテコな債券を発行するという、いつもの金融機関のインチキに過ぎないのだけど、こんな勝手な社債がよく起債できるものだと感心する。とりあえず株主責任を追及されない少し利回りの高い劣後債ということで、恐らく金融機関同士の持ち合いなどで使われているのかも・・・。

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そうやって本来は株価低迷でボロボロになった自己資本率を定期的に株式転換して補充するんだろうと。もう何でもありの世界なんだけどね。と言うことは今回約2兆円のAT1債(CoCo債)が吹っ飛んだわけなのに、ほとんど文句が出ないというのは、お互い様だから?ってことかも。もうほとんど一般常識的に考えて出鱈目の世界なんだよなぁ・・・。

で、こういうことになってつまりは欧州発の債券のたたき売りが始まっているために、一気にドル不足が顕著化してきたから、こんなことを始めたんだよ。

ヤバいので連日ドルスワップをやりますという合意だけどね。もちろん米国債の金利低下にともなって米国債売りが多発するために準備でもあるけれど。このことは今後米国債売りが相当出ることを事前に対策する意味もあるんだけど。またぞろ米国債10年物金利が上昇を始めたら・・・こんな時米国債は欲しくないだろうから流動性が一気に失われることも十分に考えられる。

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その最中に米国政府は債務上限拡大で新規国債を大量に発行するわけで、バイデン政権は大口引受先だった中国と対立を深め、中東(特にサウジアラビア)とは完全に決別してしまったわけで(サウジは米国債売りを宣言している)、ババを掴むのは無能な岸田政権、つまりは日本ということになる。

そういう状況が見えているのでイエレン財務長官は各国を訪問して引き受けの確約を取りたい。けれど、今の状況ではそれが難しく、おまけにドル不足ともなれば、米国債暴落の目も十分にある。インフレを考えるとFRBも明日どう決断するか分からないし、このままではQT継続もままならない状況・・・。

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もう世界の金融状況は、とても個人レベルでは測れない状況と言うことだよね。ただし結局FRBは金融機関が危ないとなれば一気に大量の資金供給をするしか手段を持っていないんだよ。その足元を見た米中規模銀行団体(MBCA)は、愚かなことに米当局に対し米連邦預金保険公社の預金保証を全額とし、全行の預金を対象にしてくれと、気の狂ったことを言いだした。

気が振れてるとしか言いようがないこの要求は、2000兆円を超える荒唐無稽なもので、そんなことをしなくては立ち行かないと公言しなければならないくらい、預金流出が続いて危機的と言う事だろうね。利上げをしてインフレ退治を目論んだFRBだけど、その結果国民の預金はひたすら減り続け、カードローンは増え続けて限界となり、各種ローン金利の急上昇で預金を取り崩すしかなくなっているという一般国民やキャッシュフローが減りまくって留保取り崩しを迫られてる企業など、いよいよ副作用が顕著化してきたという事だよ。

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もう現在の金融システムを維持してゆく方法が見当たらないくらい、複雑に拗れてしまっている。目先の金融懸念が一応決着したと言って株式市場は上昇を始め、VIXは急激に低下してきたけれど、もしも明日のFOMCでFRBが利上げを一時停止したら・・・このまま株式市場はぶっ飛んでいくのか?って考えると、俺にはどうしてもそう思えない。現実は利上げ出来ないほど悪化してると考えてしまうから。でも金融の世界って最後は出鱈目に回帰して危機を乗り越えてきたわけで・・・。

なので米国投資家が、このまま楽観して買い続けるのか?明日のFOMCでの0.250pの利上げになったときどう反応するのか?利上げ見送りの場合はどうなるのか?全く想像も出来ないけれど、もし急騰するようなことになるなら、米国市場は間違ってると思うしかないね。

やっぱ明日はWBCかな(苦笑)