米中対立:新冷戦は深刻な消耗戦へ 株価は危険信号!
- 2019.06.18
- 海外情勢
米中対立の影響は中国経済を直撃しました。米国議会は中国の様々な違法活動の制限を2018年になってようやく法案化し、トランプ政権下で米国内のみならず資本主義圏からの排除を開始しました。
中国マネーは民主党を汚染
中国経済の台頭は米国のクリントン政権下で、グローバル化を推進した米国民主党に対するマネー戦略で2001年、WTOに加盟したことがきっかけとなり急速に拡大しました。
以来、米国民主党はクリントン財団を筆頭に中国マネー・ズブズブの状況がオバマ政権まで引き継がれています。
特に前回の大統領選挙では、ヒラリー・クリントンとトランプの一騎打ちで、ヒラリーが勝っていたなら、今頃世界の覇権は中国が握っていたのは間違いないでしょう。
汚職や贈収賄、などという生易しいものではなく、米国の政治は中国マネーに汚染されきっていたのです。
そこに、トランプという中国マネーとは無縁の候補者が登場し、ある意味米国は土壇場で息を吹き返したと言えます。2020年の大統領選挙は民主党バイデンが対立候補と言われていますが、この人も中国マネー・ズブズブの候補者ですね。
中国の居直り
国内経済の悪化に打つ手を失っている中国は、米中交渉決裂後完全に居直り状況になっています。
現状ビットコン高騰からして、中国や香港から大量の資金流出が起こっていることは明らかで、外貨準備は急激に減少しています。また不動産投資やインフラ整備等の国内投資は、既に共産党への信用だけでかろうじて維持されている状況・・・。
実態は完全に崩壊しています。
WTOを踏みにじった中国
トランプ政権が指摘する中国の数々の法律違反行為の裏付けは、WTO加盟条件の無視に起因しています。
中国共産党支配の根幹
そしてこれら一連のWTO違反こそが中国共産党体制の維持に必須な条件なのです。経済活動をすべて共産党下に置いて、蓄積されたドル資金をすべて掌握することが、共産党支配の根幹であるわけです。
中国企業が稼ぐ外貨(ドル・ユーロ・円)はすべて中国人民銀行にプールされ、国内には人民元だけが流通する仕組みです。その海外での外貨の稼ぎ手としての最大手がファーウェイでありアリババである訳です。
習近平は居直るしかない
この共産党支配体制を米国の要求で変えることなど、習近平の選択肢にはありません。
つまり、トランプ政権によって突きつけられた数々の要求に対抗する手段はなく、居直って独自の経済圏構築の方向に動くしか道はありません。
米国の焦り
一方米国もまた、米中対立の痛みが米国経済に徐々に表れ始めてきました。経済絶好調と言われる米国とて、関税政策はすばわち米国民が負担するという意味ですから、トランプ減税の効果は剥落し徐々に国内消費を圧迫することは確実です。
そうなると、バブル状態と言われている債券市場や企業業績悪化による莫大なディリバティブの急落懸念が台頭します。ジャンク債の起債残高はリーマンショック以前を遥かに超え、CLO(企業ローン担保債券)をはじめとする高利回り債が次々に登場しています。
企業業績悪化はそうしたハイリスク債券を直撃する可能性が否定できません。
雇用統計ショック
5月の米国雇用統計(非農業部門雇用者数)は、大幅に鈍化しました。株式市場は、FRBの利下げ期待からほとんど反応することはありませんでしたが、天候不順とうの要因はなく、また税還付も終了した5月の数字としては、ショッキングなものです。
ニューヨーク連銀ショック
6月のニューヨーク連銀製造業景況指数は、統計が始まって以来の大幅な低下を記録しました。これに対しても株式市場はほとんど反応していませんが、内容は非常に悪いものでした。
米国経済は米中対立の悪影響が明らかに出始めていますが、18日、19日のFOMCでの利下げ期待によって株価は支えられているのでしょう。
FOMC利下げだけが頼り
現在の米国株式市場は、イラン情勢や香港情勢等の悪材料を一切無視して今月18・19日に開催されるFOMCでの利上げ期待に焦点が絞られています。
米中の対立色は日に日に強まってきて、(米国の)景気指数の悪化も鮮明になりつつある今、株式市場はあまりに「利下げに対するウエイト」が高すぎる状況になっていると判断せざるを得ません。
実際に利下げが行われても、FFレート0.250程度では、効果は極めて限定的です。
トランプ大統領のプレッシャー
トランプ大統領は、現在FRBに対する利下げプレッシャーと中国に対するG20での譲歩を迫るプレッシャーを掛けまくっています。
トランプ政権自身、今回のFOMCで利下げが行われ、さらに将来段階的な利下げに対するフォワードガイダンスが行われなければ、中国の態度次第では株価暴落ということを事前に覚悟しているからだと思われます。
香港大規模デモ
トランプ政権はさらに民主化問題・人権問題という点でも中国にプレッシャーをかけ始めています。今回の香港大規模デモは、明らかにトランプ政権の関与があり、さらにはCIAも工作したと言われています。
これに対し中国は強硬な姿勢を崩しておらず、この大規模デモは今後エスカレートする可能性が濃厚です。
株式市場は暴落前夜
こうした状況を踏まえると、米中対立の終結は望めず事態はエスカレートしてゆくと考えるべきでしょう。しかし、株式市場は異常に鎮静化しています。
19日にFRBが政策転換を明確に打ち出すかどうかの一点の焦点が絞られているからでしょう。
しかしFRBは、G20での米中交渉の結果トランプ政権が関税を引き上げるのかを注視したいのではないかと思われ、その結果次第では0.500の利下げを7月に行うという選択肢も視野に入れているのかもしれません。
おそらく19日に0.250を引き下げても市場はポジティブな反応ができないのでは?と思っています。
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