こんな状況でもFEDは利上げするのかなぁ・・・

こんな状況でもFEDは利上げするのかなぁ・・・

今夜(と言っても明朝3時30分)に米国の政策金利が発表される。コンセンサスは90%以上0.250pの利上げと言うことだけど、今夜本当にFRBは利上げするのか?って個人的には懐疑的なんだよねぇ・・・。俺はヘソが曲がってるせいもあるし、どうもコンセンサスというのを盲目的に信じるのが嫌なんだよ。

いまの株式市場の希望は、米国経済がソフトランディングして欲しいということ。みんなある程度景気後退は覚悟しているのだろうけど、だからこそ年後半には利下げをして欲しいし、そうすれば米国経済が深みに嵌る前に立ち直りを見せるというシナリオだよね。

もちろんそれについては俺みたいなへそ曲がりが「そんなに甘いもんじゃない」という人も多いとは思うけれど、株式市場の関係者は大抵ポジショントークなのでね、どちらにしても願望なんだろうけどね。

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金融緩和し過ぎて問題が複雑化

でも問題をややこしくしてるのは、とにかくいままで極端な金融緩和を長期に渡って遣り過ぎたことだよ。そのためにとにかくマーケットには資金があふれたままだし、インフレの下落相場で多少は遣られたけれど、まだまだ資金はたっぷりあるし、今度はどんな投資をしようか?って手薬煉引いて待ってるわけ。だからちょっとポジティブと見るや一気にブル相場になるんだよ。

もちろん投資の世界だけじゃなくて、企業の投資活動も活発だったし、個人消費も好調だった。借金などいくらしても怖くない、という感覚。普通に借金して普通に投資や消費していれば自然に、ごく普通にやってこれた。スタートアップで成功すればあっという間に富裕層の仲間入り、という感覚も大いにあったろう。テック企業に就職すれば望外なサラリーも手にできたし、だからこそ高額な奨学金を借りてでも大学を卒業したいと思ったし、実際ペイできたのも事実。

こういう状況だから、新型コロナも終わりインフレが収まりそうならば、ソフトランディングして景気回復軌道へ、と考えるのももっともなことだとは思う。だから景気が悪くなりそうだけど、みんなまた投資に向かうし、株価を押し上げるだけの資金はまだまだ十分にあるって事かもね。

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日米の事情

で、米国と比較して日本はどうか?というと、どうやら企業業績は普通に伸びるらしいと。状況は米国企業よりもはるかに良好ということで、海外勢は日本株を買ってるって市場関係者は異口同音に言ってる。日本株はこれから大相場を演じるという大胆な予測をする人までいるけれど、まぁそれらはみなポジショントークなんだろうなって感じるけれどね。

けれど例えば米国の場合ならば、金利急上昇で経営がきつくなったら、物の値段を下げられなくなる。物価が下がるのは売れなくなってきたらの話で、それまでは出来るだけ高く売ろうとするよね。日本の場合は大企業はエネルギーや原材料費・人件費が高騰してるから値上げしますといって、とにかくバンバンと値上げラッシュになっている。その結果はどうか?と言えば内需企業はほとんど爆益を計上してるんだよね。

儲かってるから賃金を上げますと言っているのが大企業。中小や個人事業主はそれどころじゃないのよ。事業環境だけが高コストになってしまって、売り上げなんか伸びないからむしろ利益はますます圧迫されてしまう。こうした中小の事情は米国も似たり寄ったりだけど。

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米国で起きていること

いま米国で何が起きてるか?と言うと、言うまでもなく銀行破綻による金融不安。これなんか面白くて、中堅銀行以下が債券価格の下落で痛い目を見てるけれど、モルガンやバンカメといったメガバンクはむしろ預金残高が増えて自己資本が厚くなってるかないか。これなんか大企業が儲かって中小が儲からないという典型のような気がするよね。

銀行だけじゃなくて他の業界もすべてがこんな傾向になってる。だから上場大手の決算が良好ならばいくら経済が悪化しつつあると言っても株高になるんだ。要するに実体経済と株価が遊離してゆくんだね。株価が高いと経済も好調のように見えてしまう。だから状況が悪化しているのに景気は上向きと錯覚してしまうんだよ。

米国よりももっとその傾向が強いのが日本で、給与が安定保証されている公務員や、金融資産を多く保有する高齢者、そして大企業勤務の一部の層は、正直物価上昇にたいして文句も言わない。多少の愚痴は出ても自民党に票を入れてしまうしね。もちろん大企業の業績は思ったよりもはるかに良好だから、株価は上がってきた。

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経済の行方を左右する分岐点

そういうことを考えると、今がまさに分岐点なんだと思うんだよ。今夜FRBが利上げしないんじゃないか?って考えるのは、このままソフトランディングを指向するなら利上げによって「景気は悪化するけれど物価は下がらない」という恐ろしい結果に近付く気がするのよ。ブルームにもちょっと記事が出ていたけれど、所謂スタグフレーションという状況に陥る可能性が否定できないということ。

もちろんFRBもその辺のリスクは考えているとは思うけれど、「物価と雇用の安定」と言うことが政策目標である以上、インフレは下げなきゃならない、これど雇用は出来るだけ悪化させたくない、と言うのが本音かも。でも、今回利上げすると、その双方が崩れるような気がしてならない。

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とりわけ利上げして物価が下がらなかったら・・・これはメチャメチャ危険なことだと思うしね。もちろん今回利上げしてインフレが低下すれば、それはそれでリセッション入り確定となるだろうし。

サマーズ辺りは「銀行トラウマの大半は片付いた」なんて発言してるけど地銀株の下げは全然止まってない。それって単に取り付け(預金引き出し)が起きてるだけじゃなくて、預金者がファイナンス危機を抱えてるという意味もある。なので銀行不安は容易には解消できないだろうし、さらに商業用不動産融資やら自動車ローンやら、住宅ローンやら・・・。米国民の目線で景気が悪化していると感じている間は収まらないよ。

目いっぱいカードローンを借りてるところに金利が20%近くまで跳ね上がったら、返せないし借りられない。国民目線ではいま、恐ろしい事態になっているはず・・・。もちろん日本も値上げと増税で酷いことになりそうだけど。

なので今夜、FEDの英断に期待したいんだよ。すでに原油で大火傷を負ってるけど、俺は「利上げナシ」に賭けたいけどね。